ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト結晶を用いた太陽電池です。
3種類のイオン(代表的にはA:有機アンモニウム、B:鉛、X:ヨウ素)がABX3のペロブスカイト結晶構造で配列する材料を発電層に用いています。
難しい説明になりますが、簡単に言えば、特殊な結晶構造を持つ材料を使って光を電気に変える太陽電池です。
2009年にこの画期的な太陽電池を最初に提案したのが桐蔭横浜大学の宮坂力教授で、世界的な注目を集めました。
ペロブスカイト太陽電池の特徴|従来型との違い
従来のシリコン系太陽電池と比べて、ペロブスカイト太陽電池にはいくつかの大きな特徴があります。
最も注目されている点は、軽さと柔軟性です。
シリコン系太陽電池が1平方メートルあたり11~13kgの重量があるのに対し、ペロブスカイト太陽電池はその10分の1程度の重量を実現できるとされています。
このため、従来型の太陽電池では設置が困難な耐荷重性の低い屋根や建物の壁面等への導入が可能になります。
ビルの壁や条件の厳しい屋根にも設置できるようになるため、都市部での太陽光発電の活用が広がる可能性があります。
もう一つの大きなメリットは、製造がシンプルで低コストだという点です。
塗布技術を用いた簡単な製造工程で作ることができるため、製造コストを大幅に削減できます。従来のシリコン系太陽電池が高温処理や真空環境を必要とするのに対し、ペロブスカイト太陽電池は材料を溶解して塗布・印刷するだけで製造可能です。
実用化に向けた日本の取り組み
日本は、ペロブスカイト太陽電池の開発と実用化を国家戦略として推進しています。
経済産業省のロードマップによると、ペロブスカイト太陽電池の実用化は2024年度の社会実証を皮切りに、段階的に進められる計画で、短期目標として2025年からの5年間で発電コスト20円/kWh、数百MW/年規模の生産体制の確立を目指しています。
さらに、2025年9月4日に環境省では、ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業の公募を開始しました。
国や企業による実証実験が全国で広がり、屋根や壁面への設置可能性、耐久性、発電性能が検証されています。
課題と今後の展望
ペロブスカイト太陽電池が実用化に向けて進む一方で、いくつかの課題があります。
最初の課題は耐久性です。
現状のペロブスカイト太陽電池の耐用年数は5~10年程度と、従来のシリコン系太陽電池が20年以上であるのに対し短く、赤外線や紫外線による結晶の劣化、および湿気による性能低下が主な原因です。
安心して長く使える太陽電池にするため、20年相当の耐久性を実現するための技術開発が進められています。
もう一つの課題は、ペロブスカイト太陽電池には、鉛や臭素などの有害物質が含まれており、廃棄や製造時に適切に処理されないと、環境汚染や人体への悪影響が懸念されます。
有害物質の安全な処理方法の確立も重要な課題となっています。
しかし、ペロブスカイト太陽電池の主な原料であるヨウ素は、日本が世界シェアの約30%を占めるなど、再生エネルギー導入拡大や強靭なエネルギー供給構造の実現にも貢献します。
これは日本にとって大きなビジネスチャンスでもあります。
私たちにできること
ペロブスカイト太陽電池が実用化されれば、建物の壁や屋根での発電が広がり、都市部での再生可能エネルギー導入が加速する見込みです。私たちは、このような新技術の実用化を応援することで、脱炭素社会づくりへの貢献ができます。また、導入補助制度や実証実験の情報に注目し、学校や地域施設での導入が広がるよう、関心を持つことも大切です。

