プラスチック製品は日常生活に欠かせないものですが、環境への影響が急速に深刻化しています。特に注目されているのが「マイクロプラスチック」です。この小さな存在が、海の生き物や私たちの体にどんな影響を与えているのか、わかりやすく解説します。
マイクロプラスチックとは
マイクロプラスチックは、5mm未満の微細なプラスチックごみの総称です。
目に見えにくいほど小さいため、気づかないうちに環境中に放出されています。
マイクロプラスチックは、発生過程によって「一次的マイクロプラスチック」と「二次的マイクロプラスチック」の2種類に分類されます。一次的マイクロプラスチックは、洗顔料や化粧品などのスクラブ剤、または製品原料となる樹脂ペレットなど、工業的に小さい状態で生産されるものです。一方、二次的マイクロプラスチックは、海に漂流したり海岸に漂着したりしているプラスチックが、長い年月をかけて環境中で小さくなったもので、波による物理的な力で砕けたものや、太陽光による光化学的に分解されたものがあります。
マイクロプラスチックはどこから来るのか
マイクロプラスチックの主な発生源は身近な製品です。
人工芝や衣料品などに使用されている合成繊維が発生源の一つとされています。
衣類を洗濯するときに出る繊維くずも、マイクロプラスチックとなって流出してしまいます。
また、陸域においてポイ捨てされたプラスチックごみが河川を下って海洋プラスチックごみとなり、やがてマイクロプラスチックになります。
プラスチックは自然に分解されないため、細かく砕かれても環境に残り続けるのです。
どのくらい海に流出しているのか
現在、世界全体で海洋に流出するプラスチックごみは増加傾向にあり、5mmより小さなマイクロプラスチックだけでも年間数百万トン以上が海洋に流出していると推計されています。
日本の海洋環境への流出も深刻で、プラスチックごみの海洋流出がこのまま増え続けた場合、特に日本周辺や北太平洋中央部では、2030年までに海洋上層でのマイクロプラスチックの重量濃度が現在の約2倍になること、さらに2060年までには約4倍となることが示されています。
海の生き物と生態系への影響
マイクロプラスチックは、海洋生物の体内に誤食により取り込まれることによって、炎症反応や摂食障害などにつながる場合があることがわかっています。
小さいサイズのため、魚や貝などの海洋生物が食べ物と勘違いして飲み込んでしまうのです。
私たちの体への影響
マイクロプラスチックが人体にも検出されるようになっています。
マイクロプラスチックは、食品や水、大気を通じて人体に取り込まれる可能性があり、体内に蓄積すると、分泌系や免疫系の乱れを招き、アレルギーや炎症反応を引き起こす恐れがあると考えられています。
ただし、現在観察されているマイクロプラスチックの環境濃度では、ヒトへの健康リスクが顕著に高まっていることを示唆する証拠はほとんどありません。
ただし、長期的な影響については研究が進められている段階です。
私たちにできることは何か
マイクロプラスチック問題を減らすために、私たちにはできることがあります。
合成繊維の衣類を洗濯するときに、マイクロプラスチック流出を防ぐ洗濯ネットを使うことがおすすめです。また、衣類やタオルをコットンやリネンなどの天然繊維に切り替えるのも、マイクロプラスチックファイバーを流出させない対策になります。
また、一人ひとりがプラスチックごみを減らすこと、また、ポイ捨てをしないことが重要です。
さらに、家庭で出たプラスチックは正しくリサイクルに出すことで、新しいマイクロプラスチックの発生を防ぐことができます。
社会全体での対策
個人の取り組みだけでなく、企業や行政の対策も進んでいます。
環境省では、マイクロプラスチックの発生抑制、流出抑制、代替、回収等に資する日本企業などの最新の取組や技術をグッド・プラクティス集として取りまとめています。
また、2019年6月に開催されたG20大阪サミットにおいて、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が提唱されています。
マイクロプラスチック問題は、一度広がると回収が難しいため、発生を防ぐことが最も重要です。小さな存在だからこそ、一人ひとりの行動が大きな変化をもたらします。
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