日本政府は2026年3月13日、閣議において第6次男女共同参画基本計画を決定しました。旧姓の単独使用を法制度として認めることの検討を盛り込んだこの計画は、今後5年間のジェンダー平等に向けた取り組みの指針となります。国連の審査機関からの指摘や企業への開示義務強化も重なり、日本のジェンダー平等をめぐる動きが一気に加速しています。
第6次男女共同参画基本計画とは何か
2026年3月13日、日本政府は最新の男女共同参画基本計画を閣議決定しました。この計画は今後5年間にわたる施策をまとめたもので、政府は関連法案を現在の国会会期中に提出することを目指しています。
計画には、「旧姓の使用をさらに広げ、旧姓の単独使用を可能にする法整備などの制度的措置を検討しながら、その周知・啓発に取り組む」との方針が明記されています。
こうした法整備が実現すれば、結婚によって姓を変えた人が公的書類において旧姓だけを記載できるようになる見込みです。
これは、職場でのキャリアの継続性や本人確認書類における一貫性を求める声に応えた措置とされています。
今回の基本計画は、政治・経済・教育・防災などあらゆる分野でジェンダー平等の視点を取り込む「ジェンダー主流化」をさらに推し進めるものです。
2015年に国連で採択されたSDGsを中核とする「持続可能な開発のための2030アジェンダ」においても、「ジェンダー平等の実現は、すべての目標とターゲットにおける進展に死活的に重要な貢献をするものである」とされており、日本政府もこの考えを踏まえた取り組みを進めています。
日本のジェンダー平等の現状|国際的な評価は依然として厳しい
計画の策定と前後して、国連の審査機関も日本に対して強い警鐘を鳴らしています。
2026年3月8日、国際女性デーに合わせて女子差別撤廃委員会(CEDAW)の委員・秋月弘子氏が、日本が根深いジェンダー不平等に向き合うための専門の議会・政府機関の設置を求めました。秋月氏は「日本人は現実に向き合うべきだ」と述べ、ジェンダーギャップ指数で148か国中118位という日本の現状を指摘したとされています。
世界経済フォーラムが公表した2025年版のジェンダーギャップ指数では、日本はG7諸国の中で最下位となっており、なかでも政治参加の分野での格差が最も大きいとされています。
世界経済フォーラムが2025年6月に発表した「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート2025」によると、日本の総合順位は148か国中118位(総合スコア0.666)で、2024年と同順位でした。
スコアが1に近いほど男女平等を意味しており、0.666という数値は依然として大きな格差があることを示しています。
分野別に見ると、日本は教育分野と健康分野では引き続き世界トップレベルの平等性を達成している一方で、経済・政治の分野での格差が指数全体の評価を引き下げています。
企業への開示義務も2026年4月から強化
政府の計画策定と並行して、企業に対するジェンダー平等の取り組みの透明性を求める制度変更も迫っています。
2026年4月1日から、従業員数100人超の企業に対して新たな情報開示義務が適用されます。開示が求められる項目には、男女間賃金格差や女性管理職の割合などが含まれています。
具体的には、301人以上の企業には女性管理職比率の開示が追加義務化され、101人以上の企業にはさらに男女間賃金格差と女性管理職比率の両方の開示が求められるとされています。
企業には今まで以上にジェンダー平等の推進が求められており、グローバルでは人権デューデリジェンスの義務化が、日本では改訂コーポレートガバナンス・コードや改正女性活躍推進法、改正育児・介護休業法などの制度整備が進んでいます。
こうした開示の義務化は、単なる数字の報告にとどまらず、企業の採用・昇進・給与制度の見直しを促す重要な契機となるとみられています。
残る課題|職場・政治・地域における構造的なギャップ
取り組みが加速する一方で、課題も山積しています。
厚生労働省の「令和5年度雇用均等基本調査」によると、正社員・正職員に占める女性の割合は27.3%と低い水準にとどまっています。また、内閣府男女共同参画局のデータによると、非正規労働者の割合は男性が21.8%、女性が53.6%と、非正規で働く人の多くは女性です。
政治参加の分野では格差がとくに顕著です。
2025年版の男女共同参画白書によると、都道府県知事に占める女性の割合は4.3%(47人中2人)にとどまっています。
意思決定の場に女性が少ない構造は、政策立案において女性の視点が反映されにくい状況を生み出しているとも指摘されています。
地方における課題も根深く残っています。
内閣府男女共同参画局がまとめた「地域で輝く女性起業家サロン」での意見交換からは、固定的な性別役割分担意識が地域に根強く残ること、女性起業家にとって身近にロールモデルや仲間・メンターが少ないといった問題が浮き彫りになっています。
私たちにできること
政府の政策や企業の取り組みが進む一方で、日常の中でも変化を起こす行動は数多くあります。
まず、家庭において家事・育児の分担を意識的に見直すことが第一歩です。職場では、採用・昇進・給与に関する自社のデータを積極的に確認し、不公平な制度の改善を求める声を上げることが大切です。また、選挙においてジェンダー平等を重要な政策課題として捉え、候補者の姿勢を見て投票する行動も、社会全体の変化を後押しします。
国連グローバル・コンパクトとUN Womenが策定した「女性のためのエンパワーメント原則(WEPs)」など、国際的な枠組みを参照しながら取り組みの進捗を測り、開示する企業向けのツールも整備されています。
組織に所属する立場であれば、こうした国際基準を活用して取り組みを評価・改善することも有効な手段です。
SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の達成期限である2030年まで、残り4年余りとなりました。第6次男女共同参画基本計画の決定を一つの転換点として、政府・企業・個人それぞれが本気で変化に向き合う局面を迎えています。


