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LIFESTYLE

エシカルコットンとは|オーガニック・フェアトレードコットンとの違いと選び方

Photo by Ch Photography on Unsplash

Tシャツやタオルのタグに「エシカルコットン使用」と書かれていても、その中身がオーガニックなのかフェアトレードなのか、実はひとことでは説明できません。非財務情報の開示資料を追いかける記者として複数の企業のサステナビリティ報告書を読み比べてきましたが、この言葉の使われ方は会社によってかなり違います。この記事では「エシカルコットン」という言葉が指す具体的な基準の違いと、買い物の場でどこを見ればよいかを整理します。

エシカルコットンとは何か

エシカルコットンとは、栽培や加工の過程で環境や生産者への負荷をできるだけ抑えたコットンを指す言葉として使われています。ただしこれは法律で定義された用語ではなく、企業やメディアが便宜的に使っている呼び方です。実際にはオーガニックコットン、フェアトレードコットン、Better Cotton(旧Better Cotton Initiative、BCI)由来のコットンなど、複数の異なる基準を持つ原料がまとめて「エシカルコットン」と紹介されることが多いというのが実情です。まずこの前提を知っておくと、タグの表示を見たときに「具体的に何が保証されているのか」を確認する視点が持てます。

オーガニックコットン・フェアトレードコットン・Better Cottonの違い

「エシカル」という言葉の内側にある代表的な基準を、それぞれ見ていきます。

オーガニックコットン

オーガニックコットンは、化学合成された農薬や肥料を使わずに栽培された綿花を指します。代表的な認証にGOTS(Global Organic Textile Standard)があり、繊維の栽培から紡績、染色、縫製までの工程で有害な化学物質の使用を制限し、一定割合以上のオーガニック繊維の使用を求める仕組みになっているとされています。栽培方法に軸を置いた基準だという点が特徴です。

フェアトレードコットン

フェアトレードコットンは、生産者である農家の取引条件に軸を置いた基準です。国際フェアトレード基準では、生産者に対して最低取引価格を保証し、地域のインフラや教育に使われるプレミアム(奨励金)を上乗せする仕組みが設けられているとされ、強制労働や児童労働の禁止といった労働条件面の基準も含まれています。栽培方法そのものではなく、農家がどのような条件で取引できているかに重点があります。

Better Cotton(旧BCI)

Better Cottonは、農家に対して水の使い方や農薬の使用量を減らすための研修を行い、土壌や生物多様性への配慮、労働者の権利保護を促す仕組みです。ここで見落としがちなのが、Better Cottonは栽培された綿花そのものを製品まで一本の線でたどる「分別管理」ではなく、生産量を全体としてカウントする「マスバランス」という方式を採用しているとされる点です。つまりBetter Cottonのロゴがついた製品の繊維が、そのTシャツ1枚の中に物理的に含まれているとは限らない仕組みになっています。オーガニックコットンやフェアトレードコットンの一部が採用する分別管理とは前提が異なるため、同じ「エシカル」という言葉でくくられていても、保証している内容は基準ごとに違うということになります。

なぜコットン栽培にエシカルな視点が必要なのか

コットンは私たちの衣類のなかでも身近な素材ですが、栽培には水や農薬が集約的に使われる作物のひとつとして知られています。資料によっては、1着のコットンTシャツを作るために大量の水が必要とされ、2000〜3000リットル前後という数字が紹介されることもあります。また単位面積あたりの農薬使用量が多い作物として国際的な環境団体から指摘されることも少なくありません。加えて、綿花の主要産地の一部では農家の収入の不安定さや労働条件の問題が長年課題として挙げられてきました。エシカルコットンという言葉が広がってきた背景には、こうした栽培過程の環境負荷と、生産者の暮らしという二つの課題があります。

日本の企業に見るエシカルコットンへの取り組み

日本国内でも、複数のアパレル企業がコットンの調達方針を見直す動きを公表しています。良品計画(無印良品)は国内でオーガニックコットンを使った製品展開に早くから取り組んできた企業のひとつとされています。ファーストリテイリング(ユニクロ)はBetter Cottonのメンバー企業として、より持続可能に栽培されたコットンの調達比率を高める方針を示しています。海外に目を向けると、IKEAやH&Mといった企業も、オーガニックコットンやBetter Cotton由来の原料への切り替えを進めてきたと公表しています。こうした動きは業界全体でコットンの調達基準を見直す流れの一部として捉えることができます。

エシカルコットン製品を選ぶときに確認したいポイント

タグや商品ページの表示を確認するときに、次のような点を見ておくと基準の違いが分かりやすくなります。

  • 「オーガニック」「フェアトレード」「Better Cotton」のどの言葉が使われているかを確認する
  • GOTSやフェアトレード認証など、具体的な認証ロゴがついているかを見る
  • 「エシカル」という言葉だけで具体的な基準名がない場合は、企業の公式サイトで根拠を調べてみる
  • 価格が極端に安い場合は、認証コストや生産者への還元がどう反映されているか気になるポイントとして持っておく

タグ表示でよくある誤解

「エシカルコットン」という表示を見て、てっきりすべてがオーガニック栽培だと思い込んでしまうのは、実はよくある勘違いです。筆者自身も、あるアパレル企業の統合報告書で「エシカルコットン使用率」という表記を見つけたとき、GOTS認証のことだと思い込んで記事の下書きを進めてしまい、後から確認するとBetter Cotton由来の調達比率を指していたと分かって訂正した経験があります。この経験から言えるのは、「エシカル」という言葉自体は基準を保証するものではなく、その先にある具体的な認証名や基準名を確認する一手間が必要だということです。

エシカル消費という広いテーマの中で、コットンはその代表的な入り口のひとつです。次に洗濯物を干すとき、手元にあるコットン製品のタグを1枚だけめくって、どの言葉が書かれているか確認してみてください。それだけでも、次に服を買うときの見方が変わってくるはずです。

まとめ|まずタグの認証マークを1つ確認してみる

  • エシカルコットンはひとつの基準ではなく、オーガニック・フェアトレード・Better Cottonなど複数の考え方の総称として使われている
  • 基準ごとに保証している内容が違うため、タグの言葉だけでなく認証名まで確認することが見分けるポイントになる
  • まずは手持ちのコットン製品のタグを1枚確認し、書かれている言葉を意識してみることから始められる

本記事はMIRASUS編集チームが公的資料・企業公式情報をもとに作成しています。

参考文献

  • 環境省「サステナブルファッション」(https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/)
  • フェアトレード・ジャパン公式サイト「フェアトレード基準」(https://www.fairtrade-jp.org/)
  • Better Cotton公式サイト(https://bettercotton.org/)

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