地球上の生物たちが今、かつてない速度で消えていってしまっています。この危機を止め、自然を豊かな状態に戻していこうという考え方が「ネイチャーポジティブ」です。難しく聞こえるかもしれませんが、私たちの暮らしと深く関わっている大切な概念です。
ネイチャーポジティブとは何か
ネイチャーポジティブとは、生物多様性の損失を止めて回復させることであり、私たちの暮らしや社会経済を持続可能としていくためにも重要な考え方です。日本語では「自然再興」とも呼ばれています。
単なる自然保護という枠にとどまりません。
2030年までに「ネイチャーポジティブ(自然再興)」を実現することが、2050年ビジョンの達成に向けた短期目標
で、さらに2050年までに「自然と調和した社会」を実現することを目指しています。
なぜネイチャーポジティブが必要なのか
地球の生物多様性は危機的な状態にあります。
現在、地球は過去1,000万年間の平均と比べて10倍~100倍もの速度で生物が絶滅していく状態にあります。これは恐竜が絶滅した時代と比べても、はるかに速いペースです。
さらに経済的な影響も大きいものです。
生物多様性の劣化は世界のGDPの半分(約44兆米ドル)以上に影響を与えると予測されています。つまり、生物多様性が失われると、食料やエネルギー、医療資源など、私たちの生活に必要なものが失われることになるのです。
国際的な目標となった背景
2022年12月に開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)においてネイチャーポジティブの考え方が掲げられるなど、国際的な認知度も高まっているキーワードです。この会議で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」は、世界中の国々が2030年までにネイチャーポジティブを達成することに合意したものです。
日本でも、2023年3月に閣議決定した生物多様性国家戦略2023-2030において2030年までにネイチャーポジティブを達成するという目標が掲げられています。
実現に向けた取り組み
ネイチャーポジティブの実現には、社会全体での変革が必要です。
従来の自然保護だけでなく、気候変動対策や資源循環等の様々な分野と連携していくことが必要
です。
企業の役割も重要です。環境省は「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」により、企業がネイチャーポジティブ経営へ移行することを支援しています。これは単なるコストではなく、新たなビジネスチャンスとして捉えられています。
私たちにできること
ネイチャーポジティブは企業や政府だけの課題ではありません。
生物多様性は私たちの暮らしや社会経済と密接につながっているからこそ、様々な主体がそれぞれの形で貢献できます。
具体的には、環境に配慮した商品を選ぶ、地域の自然保全活動に参加する、日常生活で資源を大切にする、といった身近な行動が該当します。これらの行動は、ネイチャーポジティブに向けた第一歩となります。また、企業や団体がネイチャーポジティブに取り組んでいるかを知り、評価する消費者として行動することも大切です。
まとめ|自然と経済の両立を目指して
ネイチャーポジティブは、自然が失われ続ける現状を変え、自然が豊かに回復していく状態に転換することを目指しています。それは決して難しく遠い目標ではなく、私たち一人ひとりの選択と行動が重ねられることで実現するものです。2030年、そして2050年に向けて、社会全体で取り組む時代が始まっています。

