「キリン 午後の紅茶」を販売しているキリンビバレッジ株式会社は、スリランカを中心にSDGsの目標に基づき「飢餓をなくし、持続可能な農業を」という取り組みをしています。
今回は、この目標に取り組み続けるキリンビバレッジ株式会社の事例について解説します。
スリランカで取り組むキリンビバレッジ株式会社
SDGsは、社会問題を解決することを目標として掲げる持続可能な目標のことをいいます。
2015年の国連サミットで全会一致により採択されたもので、2030年までに目標を達成しようと様々な取り組みが行われています。
キリンビバレッジで販売されている大ヒット商品として有名な「午後の紅茶」は、スリランカの農園で栽培された茶葉を使用しています。
年間で13億本もの販売が行われるため、茶葉も大量に必要となり、商品の販売にスリランカの茶葉は欠かせない存在といえるのです。
スリランカの茶葉は質が高く、香りもよいことから多くの国に輸入されており、世界でも茶葉の生産が盛んに行われていることで有名です。
そのためキリンビバレッジ株式会社では、「午後の紅茶」の販売を安定して行えるよう、午後の紅茶の原料であるスリランカの紅茶葉を栽培し続けられるような仕組みを作る必要があると考えました。
そしてキリンビバレッジ株式会社は、SDGsに基づき「飢餓をなくし、持続可能な農業を」という取り組みとして「キリンスリランカフレンドシッププロジェクト」を2007年にスタートさせました。
このトレーニングをスリランカの農園で働く人々が理解することにより、SDGsの達成に向けて動き出すことができるのです。
キリンビバレッジ株式会社のレインフォレスト・アライアンス認証について
レインフォレスト・アライアンス認証は、国際的な認証制度です。
農業の経営を続けることが可能であるかどうか、農園で人が働き続けることが可能であるかどうか、自然環境を守り続けることが可能であるかどうかという点で審査され、持続可能なシステムが基準を満たしていると認められた証明として与えられる認証です。
また、レインフォレスト認証を得られた農園には、レインフォレスト・アライアンス認証のマークを使用することが許可されます。
「飢餓をなくし、持続可能な農業を」でスリランカに伝えるトレーニング内容
キリングループがレインフォレスト・アライアンスと協力してスリランカの紅茶農園の人々に行うトレーニングでは、今後も安定した持続的な農業を続けるための基本的な知識が提供されます。
トレーニング内容としては、農園の紅茶葉を安全に守る方法や労働者の健康管理に関することなどが伝えられています。
さらに具体的にお伝えすると、児童労働の禁止の徹底、茶摘みの仕事をする人の健康管理などの経営面はもちろん、農薬の正しい管理方法、使用可能な農薬などの作業面なども伝えていくのです。
つまり、フォレスト・アライアンス認証取得のためのトレーニングを受けるなかで、働く人の健康のこと、働きがいを得られる環境のこと、農園の環境のことなどを学ぶことができるトレーニング内容となっています。
このトレーニングによって、スリランカの農園で働く人々はレインフォレスト・アライアンスの価値を知り、この認証を得たいと感じることで、より懸命に茶摘みなどを行うようになります。
そして、より農園が良くなるようにと全力を尽くすように意識が変わっていくのです。
SDGsに向けた取り組みがスリランカの人々と農園を豊かにする
紅茶農園の茶葉の品質を保つには、きれいな水が欠かせません。
このきれいな水資源を持続的に使用できるように、キリンビバレッジ株式会社は「水源の森活動」を始めました。
この取り組みは、飲料業界でもキリンビバレッジ株式会社が初めて着手した取り組みとされています。
また、この取り組みの理解を広げるための体験イベントも開催されました。
この体験イベントは、キリンビバレッジ株式会社の従業員と地元の住民とのコミュケーションの場を設ける目的もあり、スリランカの紅茶農園で働く人にやりがいを与えることができています。
キリンビバレッジの取り組み事例は、これだけではありません。
持続可能な農業を行えば飢餓は減るため、農業に関わる環境についての取り組みが行われています。
例えば、スリランカの大人や子どもにゴミを分別して捨てることを伝え、森林保全の大切さなどを伝えることで、より持続可能な農業の実現へ向けて支援をしているのです。
この取り組みによって、スリランカの農園で働く人の意識が変わり、ゴミがきちんと決められた場所へ捨てられるようになりました。
そして環境に対する多くの人の意識が変わり、農園の収入も上がり、誇りをもって農園で働く人も増えたのです。
さらに、キリンビバレッジ株式会社では、商品のパッケージにもSDGsに関する取り組みを行なっています。
飲料業界としては珍しい「自社で容器包装が可能な研究所」を社内に設置したのです。
これにより使いやすさと軽量化を重視し、2050年を目標にしたバイオマスやリサイクル材100%という容器の製造が進められています。
このような環境に配慮された容器の製造は、キリンビールなどの事業にも広がりつつあり、持続可能な環境保全として考えられています。
また、2050年までに自社の使用エネルギーを活用して再生可能エネルギー100%という状態を目指し、取り組みが継続されているのです。
まとめ
キリンビバレッジが取り組んでいる SDGsの目標達成に向けた取り組みをご紹介しました。
キリンビバレッジは企業なので規模が大きく感じますが、スリランカの人々のようにゴミの分別などは私たちでも取り組むことが可能な範囲だといえます。
さらに、ゴミの分別は持続可能なのですから、 まさにSDGsの取り組みなのです。
私たちもキリンビバレッジ株式会社のように SDGsを意識して目標達成に向けて力を合わせていきましょう。