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SOCIETY

四日勤務制は日本で広がる?自治体の導入例と海外実証から見える現実

Photo by Nicolas Gonzalez on Unsplash

「週休3日って、結局どこまで本当に広がっているの?」「給料は減るの?」「1日の労働時間が長くなるだけでは?」と、ニュースを見て首をかしげた方は多いのではないでしょうか。四日勤務制(週4日勤務)は、日本でも自治体を中心に動きが出てきました。ただ、一口に四日勤務制といっても中身はまちまちで、名前だけで判断すると思わぬ誤解につながります。

この記事では、東京都や宮城県といった公的機関の導入例、海外の大規模実証、日本全体の普及度という3つの角度から、日本の四日勤務制の現在地を整理します。数字は公的資料や報道で確認できた範囲にとどめ、確認できなかった部分は確認できなかったと書きます。

この記事で学べること

  • 四日勤務制に「3つのタイプ」があり、賃金や労働時間の扱いが違うこと
  • 東京都・宮城県の導入内容と、日本全体での普及度の見方
  • 海外の実証結果を日本にそのまま当てはめにくい理由
  • 自分の職場で今日から確かめられる、具体的な1つの行動

四日勤務制とは何が違う?まず「3つのタイプ」を分けて考える

最初に、よくある誤解を解いておきます。「週休3日=働く量が減って、給料もそのまま」というイメージを持つ方がいますが、実際の制度設計はそう単純ではありません。定義の細かな議論はここまでにして、実務で押さえるべき違いだけを見ていきます。

総労働時間を保ったまま4日に圧縮するタイプ

1つ目は、週の総労働時間は変えず、5日分の仕事を4日に詰める圧縮型です。1日の所定労働時間が長くなる代わりに、休みが1日増えます。賃金は基本的に変わりませんが、1日あたりの負担は重くなります。

日本の自治体や企業で目立つのは、このタイプです。「休みが増える」と聞くと魅力的ですが、育児や介護で終業時間に制約がある人には、1日が長くなること自体が壁になる場合があります。

労働時間を減らして賃金を維持するタイプ

2つ目は、週32時間程度まで総労働時間を減らし、賃金は据え置くタイプです。海外の実証実験で注目されたのはこの形です。生産性の工夫が前提になるため、業務の見直しや会議の削減といった準備が欠かせません。

労働時間とともに賃金も減るタイプ

3つ目は、働く日が減る分だけ賃金も下がるタイプです。副業や学び直しの時間をつくりたい人には合う一方、生活費の面で選べない人もいます。

3つを並べると、同じ「四日勤務制」という言葉でも、働く人の暮らしへの影響がまったく違うと分かります。ニュースを読むときは、まず「どのタイプか」を確認するのが近道です。

日本ではどこまで進んでいる?東京都と宮城県の例から

次に、「日本ではまだ海外の話では?」という疑問に答えます。結論から言うと、民間全体への普及はまだ限定的ですが、自治体が制度を整える動きが出ています。

東京都は2025年4月から選択制の週休3日を導入

小池百合子東京都知事は2024年12月、都職員が選べる週休3日の仕組みを2025年4月から導入する方針を示しました。報道によると、これまで4週間に1回だった平日の休みを、毎週取れるようにする内容で、4週間あたりの勤務時間は155時間のままとされています。あわせて、小学3年生以下の子どもを持つ職員が1日最大2時間まで勤務を短縮できる育児部分休業の拡充も発表されました。

つまり東京都のねらいは、育児と仕事の両立を支える選択肢を広げることにあります。休みを増やすこと自体が目的というより、「働き続けやすさ」を高める手段と位置づけられていると読めます。

宮城県は対象を一部の職員から約5,000人へ拡大

宮城県は、もともと介護や育児を理由とする職員に限って、選択的な週休3日を認めていました。2024年10月の知事記者会見では、理由が明確な職員に限らず対象を広げる方針が示され、勤務の形として「1日7時間45分の5日分を4日間で勤務し、1日分を休みにする」という説明がなされています。当時の目標時期は2026年4月1日でした。

その後、地元紙の報道では、制度の対象を知事部局などの職員約5,000人に拡大し、2026年1月1日から実施するとされました。当初の見通しより早く動いた形です。ただし、実際の利用者数や利用後の変化については、今回確認できた公開資料の範囲では数字を見つけられませんでした。効果の評価はこれからの課題といえます。

民間企業を含めた全体の普及度はどう見る?

「結局、日本全体ではどれくらい?」という点も気になるところです。厚生労働省の就労条件総合調査では、「完全週休2日制より休日日数が実質的に多い制度」を設けている企業は、調査年や企業規模によって差はあるものの、全体では数%台にとどまると報告されています。月1回以上の週休3日制や、3勤4休のような形も含めた数字で、完全な週休3日に限れば、さらに少ない水準とみられます。

この数字を見ると、「話題になっているほど普及してはいない」というのが実情です。一方で、従業員数の多い企業ほど導入割合が高い傾向もあり、制度を整える余力の差が表れているとも読めます。

海外の実証は日本の働き方にも当てはまる?

「海外ではうまくいっているそうだけど、日本でも同じ?」という疑問には、成果と限界の両方を見て答える必要があります。

英国のパイロットで見えた成果

代表的なのが、2022年6月から12月に英国で行われた6か月の実証です。報道によると、61社が参加し、賃金を維持したまま週32時間労働を試しました。終了後に継続の意向を示したのは56社で、うち18社は恒久化するとされています。従業員の71%が燃え尽き(バーンアウト)の水準が下がったと答え、離職も減ったと報告されました。

数字だけ見ると明るい結果です。ただし、参加企業は自ら手を挙げた企業であり、サービス業や専門職の小規模な企業が多かったとされています。全産業に当てはまる結果とは言えません。

日本に当てはめるときの3つの注意点

英国の結果を日本にそのまま重ねるのは危うい面があります。たとえば、日本では長時間労働が前提になりやすい職場も残っています。時間を減らす前に、そもそも仕事量が多すぎないかを見直さなければ、4日に詰めた分の負担が増えるだけになりかねません。

また、日本の導入例の多くは圧縮型です。英国のように「時間を減らして賃金は維持」という形とは、期待できる効果も違います。休息が増えて心身の負担が軽くなる効果はありうるものの、1日の拘束が長くなる分、疲労が蓄積する人もいるはずです。

さらに、取りたい人が取りにくい空気があると、制度は形だけになります。選択制にしても、同僚への遠慮や業務の偏りが解消されなければ、利用は伸びにくいでしょう。

公開情報から見える、導入で分かれやすい3つの分岐点

ここからは、自治体や企業の公開情報、報道を並べて見たときに浮かぶ傾向を整理します。調査にもとづく統計ではなく、あくまで公開されている事例の読み解きとしてお読みください。

「誰のための制度か」で設計が変わる

東京都は育児との両立、宮城県は人材確保と介護・育児への配慮という、導入の動機が比較的はっきりしています。動機が明確な制度ほど、対象や運用ルールが具体的になる傾向が見られます。逆に、動機があいまいなまま「流行だから」と導入すると、現場は何を優先してよいか迷うことになります。

「選べる」ことと「選びやすい」ことは別

制度があることと、実際に使えることは同じではありません。使われる制度には、上司や同僚の理解、業務の引き継ぎの仕組み、利用しても評価で不利にならない保証といった条件が共通してそろっています。制度の名前より、こうした運用の土台のほうが利用のしやすさを左右します。

「休みが増えた」後の設計まで考えているか

休みが増えても、その時間の使い方が本人に委ねられるだけでは、効果の実感に差が出ます。家族との時間や学び、休養など、自分の生活に合った使い方ができるかどうかが、満足度を分けるポイントになります。制度の導入と同時に、フォローや相談の窓口を用意しているかも、見るべき点です。

今日から試せる1つのアクション

「自分の職場にも関係あるかな」と思った方は、まず次の1つだけ試してみてください。

今週の自分の労働時間を書き出して、「5日分を4日に詰めたら、1日は何時間になるか」を計算してみることです。たとえば週40時間なら、1日10時間になります。その長さが自分の生活(通勤、家事、育児、介護、睡眠)に収まるかを確かめるだけで、圧縮型が自分に合うのか、そもそも労働時間を減らす議論が必要なのかが見えてきます。来年度の制度見直しが話題になりやすいこの秋は、人事や上司に相談する前の下準備として、ちょうどよい時期です。

まとめ

日本の四日勤務制は、自治体を中心に動き始めたものの、全体としてはまだ一部の取り組みにとどまっています。東京都や宮城県の例は、育児・介護との両立や人材確保という目的がはっきりしており、制度の中身は「総労働時間を保って4日に圧縮する」タイプが中心です。英国の実証のように、時間を減らして賃金を維持する形とは前提が違うことを押さえておく必要があります。

大切なのは、「週休3日」という言葉の印象で判断せず、どのタイプなのか、誰のための制度なのか、使いやすい運用になっているかを見ることです。自分や家族にとって合う働き方は人によって違います。まず1週間の労働時間を書き出すところから、始めてみてください。

  • 四日勤務制には、圧縮型・時間短縮型・賃金減型の3タイプがある
  • 東京都は2025年4月、宮城県は2026年1月から選択的な週休3日を拡大している
  • 日本全体では、休日日数が実質的に多い制度を持つ企業は数%台にとどまる
  • 英国の実証は有望だが、日本の圧縮型にそのまま当てはまるとは限らない
  • まず週の労働時間を4日で割り、自分の生活に収まるか確かめる

参考文献

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