グリーンビルディングとは、設計、建設、運用、解体までのライフサイクル全体において環境負荷を抑えつつ、生活の質を向上させる建物のことです。
「サステナブル・ビルディング」や「グリーン・アーキテクチャー」とも呼ばれ、建物そのものだけでなく、そこで働く人や暮らす人の健康と快適性も大切にしています。
グリーンビルディングが注目される理由
建物の使用によるCO2排出量は、環境省の2021年度発表によると、商業やサービス業などの「業務その他部門」で1億9,000万トン(17.9%)、「家庭部門」で1億5,600万トン(14.7%)という結果に達し、合計32.6%で全体の3分の1に達します。
建物が排出するCO2は地球全体の排出量の約3分の1を占めており、この削減は気候変動対策において極めて重要です。
日本政府は2050年までにカーボンニュートラル(CO2排出量実質ゼロ)実現を掲げており、2030年までに2013年比で46%削減しなければなりません。
こうした背景から、グリーンビルディングは省エネルギー設計や再生可能エネルギーの利用を通じたCO2削減の一手段として注目されているのです。
グリーンビルディングの特徴
グリーンビルディングには、いくつかの共通する特徴があります。
環境への影響の少ない土地を選定し、持続可能な建設材料を使用し、自然環境と調和しながら、エネルギー効率が高くなる設備や機器を使用し、持続可能な水の利用ができることが重要とされています。
具体的には、高効率な空調設備はエネルギーの無駄遣いを抑え、LED照明は省電力の他、長寿命であるため維持コストを下げることができ、屋上や敷地に太陽光パネルを設置する場合もあります。
グリーンビルディング認証制度
世界中でグリーンビルディングの性能を評価する認証制度が実施されています。
中国のGBAS、フランスのHQE、イギリスのBREEAM、オーストラリアのNabers、シンガポールのGreen Markなど、認証制度は多種様です。
日本では、2001年に国土交通省の支援を受けて誕生した「CASBEE(建築物総合環境性能評価)」が代表的で、一般社団法人日本サステナブル建築協会が研究開発を実施しており、省エネルギー性能や環境に配慮した建材の使用をはじめ、室内の快適性、景観への配慮など、建築物の環境品質と環境負荷の両観点から総合的に評価します。
また、日本政策投資銀行が2011年4月に創設したグリーンビルディング認証制度では、エネルギー、資源、アメニティ、レジリエンス、コミュニティ、ダイバーシティ、パートナーシップなど、建築仕様や省エネルギー性能といった環境性能だけでなく、対象物件のステークホルダーとの関係性や社会的要請への配慮なども含まれています。
グリーンビルディングのメリット
グリーンビルディングは、省エネルギーの設計や運用により、エネルギーコストを削減することが可能です。断熱性の高い建材の使用や、自然光の活用、トイレやシャワーの節水などにより、光熱費や水道費を削減します。
さらにグリーンビルディングは健康や生産性向上にも寄与し、ランニングコストの削減も期待でき、長期的な視点での資産価値も向上するため、地域社会とうまく調和します。
グリーンビルディングの課題
グリーンビルディングの普及には課題も存在します。
太陽光パネルや省エネ設備を導入する必要があるため一般的なビルよりも初期コストが高くなり、また実用段階に入ってからも、維持メンテナンス費用が掛かってしまいます。
加えて、グリーンビルディング認証には多くの種類があり、国によっても評価基準が異なるため、統一規格がないため、評価が分かりにくい場合があります。
私たちにできること
グリーンビルディングは個人でも身近に関わることができます。オフィスや商業施設、アパート選びの際に、グリーンビルディング認証を取得している建物かどうかを確認することで、環境に配慮した選択ができます。また、既に働いている建物がグリーンビルディング認証を取得することを企業に提案するなど、周囲への働きかけも効果的です。
グリーンビルディングは、私たち一人ひとりの選択を通じて、カーボンニュートラル社会の実現に貢献できる重要な取り組みです。

