プラスチック、電子機器、太陽光パネル…毎日、私たちのもとからは大量の廃棄物が生まれます。これらの廃棄物を単に捨てるのではなく、質の高い再生材に生まれ変わらせる。そんな資源循環を進める新しい法律が、日本で2024年に誕生しました。それが「資源循環高度化法」です。この法律は、環境保全と経済成長の両立を目指す、注目すべき施策です。
資源循環高度化法とはl基本的な定義
「資源循環高度化法」の正式名称は「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律」で、2024年5月29日に公布されました。
この法律は、廃棄物をより効率的にリサイクルする技術やプロセスを進化させ、温室効果ガスの排出を減らしながら、高品質な再生材を確保することを目的としています。
簡単に言うと、「これまで以上に環境にやさしく、効率的なリサイクルを実現し、社会全体で再生材をしっかり供給する仕組みを作る」という法律です。
背景|なぜこの法律が必要なのか
この法律が生まれた背景には、世界的な動きがあります。
2023年7月に欧州委員会は、「新車の製造に使用されるプラスチックの25%にリサイクル材を使用すること、そのうち25%は、廃車部品からリサイクルしなければならないこと」等を定める規制案を発表しました。
欧州を中心に、製品製造に再生材の利用を求める動きが広がっているのです。
日本も国際競争で遅れを取らないよう、資源循環の質と量を高める必要がありました。同時に、2012年以降再生可能エネルギーの固定価格買取制度の開始により導入が進んだ太陽光発電パネルが、25年~30年を経てその製品寿命を終え、今後大量に廃棄されると見込まれること、その再資源化を促進させるものとしても期待されています。
「高度化」とは何か|この法律の核
再資源化事業等高度化法における「高度化」とは、再資源化に伴って温室効果ガス(GHG)の排出削減効果を増大させることです。
具体的には、リサイクルプロセスをより環境効率的にし、より高品質な再生材を得られるようにすることを意味します。
つまり、「ただリサイクルするだけ」ではなく、「環境にやさしく、高い品質で、たくさんリサイクルする」という3つの条件を同時に達成することが求められているのです。
法律の主な内容
法案の内容には、1)資源循環の高度化に向けた基本方針を決めること、2)資源循環の高度化の基準を決めて公表すること、3)特に処分量の多い産業廃棄物処分業者に再資源化の実施状況の報告及び公表を求めること、4)資源循環の高度化に向けた認定制度を創設することなどが盛り込まれています。
廃棄物処理業者には、再生材の需要把握、技術の向上、温室効果ガス削減のための設備改善といった具体的な基準に従うことが求められます。同時に、新たな認定制度により、最先端技術を用いたリサイクル事業は廃棄物処理法上の許可が一部不要になるという優遇措置も設けられました。
認定制度|企業にできることの広がり
三つの認定制度が導入されます。第一の認定は「高度再資源化事業計画」、第二は「高度分離・回収事業計画」、第三は「再資源化工程度化計画」に関するもの。
これらの認定を受けることで、廃棄物処理法上の許可取得の手続きが簡略化され、先進的な技術導入がしやすくなります。太陽光パネルやリチウムイオン電池など、新しいリサイクル技術が必要な廃棄物を扱う企業にとって、大きなチャンスが生まれたのです。
私たちにできることl資源循環への参加
この法律が進む社会では、企業だけでなく、消費者である私たち自身の役割も大切です。例えば、電子機器や太陽光パネルなどを正しい回収ルートに出す、廃棄物の分別を丁寧に行う、再生材を使った製品を積極的に選ぶといったことが、資源循環を支える重要な行動になります。
一人ひとりの選択が、企業の再生材利用を後押しし、より環境負荷の少ないリサイクルシステムへの転換につながるのです。

