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再エネ特措法とは?制度の仕組みや2024年改正点をわかりやすく解説

再エネ特措法とは?制度の仕組みや2024年改正点をわかりやすく解説

近年、太陽光パネルや風力発電機を目にする機会が増えていませんか?これらの普及を支えているのが「再エネ特措法」という法律です。この法律は、日本の電力供給の仕組みを大きく変え、私たちの電気料金にも直接関わっています。2024年の改正により新たなルールも加わった再エネ特措法について、その仕組みと社会への影響を詳しく見ていきましょう。

この記事で学べるポイント

  • 再エネ特措法の基本的な仕組みと社会での役割
  • FIT制度とFIP制度の違いと電気料金への影響
  • 2024年改正による新たなルールと地域との共生

再エネ特措法とは何か

再エネ特措法とは何か

再エネ特措法は、日本の電力システムにおける再生可能エネルギーの位置づけを決める重要な法律です。この法律により、太陽光や風力などで作られた電気を電力会社が買い取ることが義務化され、再生可能エネルギーの普及が大きく進みました。

正式名称と法律の概要

再エネ特措法の正式名称は「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」といいます。2011年8月に成立し、2012年7月から施行されました。

この法律の中心となるのは、再生可能エネルギーで発電された電気を国が定めた価格で一定期間買い取ることを電力会社に義務付ける制度です。例えば、住宅の屋根に太陽光パネルを設置した家庭は、余った電気を電力会社に売ることができます。この仕組みにより、設備投資の回収が計算しやすくなり、多くの人が再生可能エネルギー設備の導入を検討するようになりました。

法律では、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの5つの再生可能エネルギー源を対象としています。それぞれの特性に応じて買取価格や買取期間が設定されており、事業者が長期的な計画を立てやすい環境が整えられています。

FIT法からの名称変更の経緯

当初、この法律は「電気事业者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」という名称で、通称「FIT法」と呼ばれていました。FITとは「Feed-in Tariff」の略で、固定価格買取制度を意味します。

しかし、2020年の法改正により、従来のFIT制度に加えて新たにFIP制度が導入されることになりました。FIP制度とは「Feed-in Premium」の略で、市場価格に一定の補助金を上乗せして再生可能エネルギーを支援する仕組みです。

この変化に合わせて、法律の名称も現在の「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」に改められました。名称変更は、再生可能エネルギーの普及支援が単なる固定価格買取から、より幅広い手法を用いた総合的な取り組みへと発展したことを表しています。

再エネ特措法が制定された背景と目的

再エネ特措法が制定された背景と目的

再エネ特措法の制定には、日本のエネルギー政策を根本から見直すきっかけとなった重大な出来事と、地球規模の環境問題への対応という2つの大きな背景があります。

東日本大震災と福島原発事故の影響

2011年3月11日に発生した東日本大震災と、それに伴う福島第一原子力発電所の事故は、日本のエネルギー政策に大きな転換点をもたらしました。原子力発電への依存度の高さが明らかになり、エネルギー源の多様化が急務となったのです。

震災前の日本では、電力供給の約3割を原子力発電に依存していました。しかし、原発事故により多くの原子力発電所が停止し、電力不足が深刻な問題となりました。この経験から、特定のエネルギー源に過度に依存することのリスクが浮き彫りになり、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの重要性が再認識されました。

再エネ特措法は、このような状況を受けて、国内のエネルギー自給率向上と電力供給の安定化を目指して制定されました。法律により再生可能エネルギーの導入を促進することで、エネルギー安全保障の強化を図ることが大きな目的の一つとなっています。

地球温暖化対策とエネルギー自給率向上

再エネ特措法のもう一つの重要な背景は、地球温暖化対策です。日本は京都議定書やパリ協定などの国際的な枠組みの中で、温室効果ガスの削減目標を掲げており、その達成には化石燃料への依存度を下げることが不可欠です。

石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料を燃やして電気を作る従来の発電方法では、大量の二酸化炭素が排出されます。一方、太陽光や風力などの再生可能エネルギーは、発電時に二酸化炭素をほとんど排出しません。再エネ特措法による再生可能エネルギーの普及は、日本の温室効果ガス削減に直接貢献しています。

また、日本のエネルギー自給率は約12%と先進国の中でも特に低い水準にあります。石油や石炭などの化石燃料の多くを海外からの輸入に頼っているため、国際情勢の変化や資源価格の変動に大きく影響を受ける構造となっています。再生可能エネルギーの普及により、国内で作り出せるエネルギーの割合を高めることで、エネルギー安全保障の向上を図ることも法律の重要な目的です。

FIT制度とFIP制度の仕組み

FIT制度とFIP制度の仕組み

再エネ特措法の核となるのが、再生可能エネルギーの普及を支援する2つの制度です。これらの制度により、発電事業者は安定した収入を得られ、一般消費者は再生可能エネルギーの普及を支える仕組みが構築されています。

固定価格買取制度(FIT制度)の仕組み

FIT制度は、再生可能エネルギーで発電された電気を、国が定めた固定価格で一定期間買い取ることを電力会社に義務付ける制度です。「Fixed Price」つまり「固定価格」という名前の通り、買取価格は契約期間中変わることがありません。

例えば、住宅用太陽光発電(10kW未満)の場合、10年間にわたって同じ価格で電力会社が電気を買い取ります。事業用太陽光発電(10kW以上)では20年間、風力発電も20年間の買取期間が設定されています。この長期間の価格保証により、設備投資にかかった費用の回収計画が立てやすくなり、多くの事業者が再生可能エネルギー事業に参入するきっかけとなりました。

FIT制度の費用は、再生可能エネルギー発電促進賦課金として、すべての電力利用者が電気料金と一緒に負担しています。2024年度の賦課金単価は1kWhあたり3.49円で、一般的な家庭の月額負担額は約1,000円程度となっています。この仕組みにより、国民全体で再生可能エネルギーの普及を支えています。

市場連動型プレミアム制度(FIP制度)とは

FIP制度は2022年4月から新たに導入された制度で、再生可能エネルギーで発電された電気を電力市場で売買し、市場価格に一定のプレミアム(補助金)を上乗せして事業者を支援する仕組みです。

FIT制度との大きな違いは、収入が電力市場の価格変動に連動することです。電力需要が高い時間帯には市場価格が上がり、発電事業者の収入も増加します。逆に、電力需要が少ない時間帯には市場価格が下がり、収入も減少します。

この仕組みにより、発電事業者は電力需要の高い時間帯に電気を供給するインセンティブが働きます。例えば、蓄電池を活用して昼間に発電した電気を夕方の需要ピーク時に販売したり、電力需要の少ない時間帯には発電を控えたりするようになります。これにより、電力システム全体の効率性向上が期待されています。

現在、FIP制度の対象となっているのは、主に大規模な太陽光発電や風力発電です。小規模な地域密着型の発電設備については、引き続きFIT制度による支援が継続されています。

対象となる再生可能エネルギーの種類

対象となる再生可能エネルギーの種類

再エネ特措法では、5つの再生可能エネルギー源を支援対象として定めており、それぞれの特性に応じた支援制度が設けられています。

5つの再生可能エネルギー源

太陽光発電は、太陽の光エネルギーを直接電気に変換する技術です。住宅の屋根に設置する小規模なものから、広大な土地を活用したメガソーラーまで、様々な規模で導入が進んでいます。設置が比較的容易で、発電時に騒音や排出物がないことが特徴です。

風力発電は、風の力でタービンを回して発電する技術です。陸上風力発電と洋上風力発電があり、特に洋上風力は安定した強い風を活用できることから、今後の普及拡大が期待されています。大型の風力発電機1基で、数千世帯分の電力を供給することができます。

水力発電は、水の流れを利用して発電する最も歴史のある再生可能エネルギーです。再エネ特措法では、出力3万kW未満の中小水力発電が対象となります。河川の流れや農業用水路などを活用した小規模な水力発電も普及が進んでいます。

地熱発電は、地下深くの熱エネルギーを利用して発電する技術です。日本は火山国として豊富な地熱資源を持っており、天候に左右されない安定した電力供給が可能です。温泉地での導入には地域との調整が重要となります。

バイオマス発電は、植物や動物由来の有機物を燃料として発電する技術です。木材チップや農業残渣、家畜の糞尿などが燃料として活用されます。廃棄物の有効活用にもつながり、地域循環型のエネルギー供給が実現できます。

認定要件と事業計画

再エネ特措法による支援を受けるためには、事業者は「再生可能エネルギー発電事業計画」を作成し、経済産業大臣の認定を受ける必要があります。この事業計画には、発電設備の概要、設置場所、運転開始予定日、保守管理体制などの詳細な情報を記載します。

認定の条件として、設備が調達期間にわたって安定的かつ効率的に発電できることが求められます。また、設備の安全性や環境への配慮、地域との調和なども重要な要素となります。特に大規模な発電設備の場合、周辺住民への説明や環境影響評価が必要となることもあります。

認定を受けた事業者は、計画に従って適切に事業を運営する義務があります。計画と異なる運営を行った場合や、必要な手続きを怠った場合には、認定の取り消しや支援の停止などの措置が取られることもあります。このような仕組みにより、再生可能エネルギー事業の質の向上と持続可能な運営が確保されています。

2024年改正で何が変わったのか

2024年改正で何が変わったのか

2024年4月に施行された改正再エネ特措法では、地域との共生と事業の適正化を重視した新たなルールが導入されました。これらの改正により、再生可能エネルギー事業がより地域に根ざした形で展開されることが期待されています。

住民説明会の義務化

改正法では、一定規模以上の再生可能エネルギー発電事業を行う際に、住民説明会の開催が義務化されました。これは、事業者と地域住民との間のコミュニケーションを促進し、事業への理解と協力を得ることを目的としています。

説明会では、発電設備の概要や環境への影響、工事のスケジュール、運営期間中の保守管理体制などについて詳しく説明することが求められます。規模の小さい事業であっても、ポスティングによる事前周知などの措置を実施する必要があります。

この制度の背景には、過去に一部の事業者が地域住民への十分な説明なく事業を進めたことで、景観や環境への懸念、災害時の安全性への不安などが生じたケースがあることが挙げられます。住民説明会の義務化により、事業者は地域社会との良好な関係を築きながら事業を進めることが求められるようになりました。

委託先監督義務の強化と違反時の交付金停止

改正法では、認定事業者の委託先に対する監督義務が強化されました。再生可能エネルギー事業では、設計・施工・保守管理などの多くの工程を専門企業に委託することが一般的ですが、委託先の不適切な作業により問題が生じるケースが指摘されていました。

新たなルールでは、認定事業者は委託先の選定から作業の監督まで、より厳格な管理を行う責任を負うことになります。委託先が法令違反や不適切な作業を行った場合、認定事業者も責任を問われる可能性があります。

さらに、事業計画に違反して運営を続ける事業者に対しては、FIT・FIP交付金の一時停止措置が導入されました。従来は、計画違反があっても売電収入や交付金を受け取ることができていましたが、改正により違反が確認された時点で交付金が停止されるようになりました。この措置により、事業者の計画遵守に対するインセンティブが強化されています。

再エネ特措法の社会への影響と今後の展望

再エネ特措法の社会への影響と今後の展望

再エネ特措法の施行から10年以上が経過し、日本の電力構造と社会に大きな変化をもたらしています。今後も継続的な制度改善により、さらなる再生可能エネルギーの普及が期待されています。

再生可能エネルギー普及率の変化

再エネ特措法の導入により、日本の再生可能エネルギー普及率は大幅に向上しました。2011年度の再生可能エネルギー比率は10.4%でしたが、2022年度には21.7%まで上昇しています。この短期間での約2倍の増加は、FIT制度による安定した投資環境の提供が大きく貢献しています。

特に太陽光発電の普及は目覚ましく、住宅用から大規模な事業用まで全国各地で導入が進みました。風力発電についても、陸上風力に加えて洋上風力発電の開発が本格化しており、今後の大幅な拡大が見込まれています。

一方で、海外の主要国と比較すると、日本の再生可能エネルギー比率はまだ低い水準にあります。ドイツでは40%を超え、デンマークでは50%以上の電力を再生可能エネルギーで賄っており、日本にもさらなる普及の余地があることがわかります。

2030年に向けた政府目標

日本政府は、2030年度の電源構成において再生可能エネルギーの比率を36~38%に引き上げることを目標として掲げています。この目標の達成には、現在の約1.7倍の普及拡大が必要となります。

目標達成に向けて、政府は洋上風力発電の大規模導入、既存設備の有効活用、蓄電池技術の向上などに重点的に取り組んでいます。また、地域との共生を図りながら、適地の確保や系統連系の強化なども進められています。

FIT・FIP制度についても、技術進歩によるコスト低下を反映した価格設定や、より効率的な電力システムの構築に向けた制度改善が継続的に行われています。2024年の改正も、持続可能な再生可能エネルギー普及に向けた重要な一歩と位置づけられています。

まとめ

まとめ

再エネ特措法は、日本の電力システムに再生可能エネルギーを普及させる重要な政策手段として機能してきました。FIT制度により安定した投資環境を提供し、2022年度には電源構成の約22%を再生可能エネルギーが占めるまでに普及が進みました。

2024年の改正では、地域との共生と事業の適正化に重点を置いた新たなルールが導入され、より持続可能な形での再生可能エネルギー普及を目指しています。住民説明会の義務化や委託先監督義務の強化により、事業者はより責任を持った事業運営が求められるようになりました。

今後、2030年の36~38%という政府目標の達成に向けて、技術革新と制度改善の両面からの取り組みが継続されることになります。再エネ特措法は、日本のエネルギー自給率向上と温室効果ガス削減を実現する上で、引き続き重要な役割を果たしていくと考えられます。

参照元
・経済産業省 資源エネルギー庁「なっとく!再生可能エネルギー」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/index.html

・e-Gov法令検索「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/423AC0000000108

・経済産業省 資源エネルギー庁「再エネ特措法改正関連情報」 https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/FIP_r5.html

・経済産業省「「法制度」の観点から考える、電力のレジリエンス ⑤再エネの利用促進にむけた新たな制度とは?」 https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/denjihokaisei_05.html

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