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エコアクション21とは?認証メリットや費用をわかりやすく解説

エコアクション21とは?認証メリットや費用をわかりやすく解説

現在、気候変動対策や環境経営が企業にとって必須の課題となっています。特に中小企業では「環境への取り組みは大切だが、何から始めればよいかわからない」という声をよく耳にします。そんな企業におすすめなのが「エコアクション21」という制度です。この記事では、エコアクション21がどのような制度なのか、認証を取得するメリットや具体的な費用について詳しく解説していきます。

この記事で学べるポイント

  • エコアクション21の基本的な仕組みと特徴
  • 認証取得によって得られる具体的なメリット
  • 認証にかかる費用と取得までの流れ

エコアクション21とは何か?基本概念と特徴

エコアクション21とは何か?基本概念と特徴

エコアクション21は、環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステム(EMS)です。中小企業でも取り組みやすいよう設計された環境経営の仕組みで、環境省では、中小事業者等の幅広い事業者に対して、自主的に「環境への関わりに気づき、目標を持ち、行動することができる」簡易な方法を提供する目的で、エコアクション21を策定し、その普及を進めてきました。

この制度は1996年に「環境活動評価プログラム」として始まり、2017年には最新の「エコアクション21ガイドライン2017年版」が公表されています。パリ協定やSDGsの採択により環境経営を巡る情勢が大きく変化する中で、時代に合わせて進化し続けているのが特徴です。

環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステム

エコアクション21は国際規格のISO14001を参考にしながらも、日本の中小企業の実情に合わせて作られた独自の制度です。環境省が定めた環境経営システムに関する第三者認証・登録制度として運営されており、一般財団法人持続性推進機構(IPSuS)が中央事務局を担っています。

この制度の最大の特長は、中小企業でも無理なく環境経営に取り組めるよう配慮されている点です。複雑な国際規格とは異なり、日本の企業文化や商慣習に適した形で設計されているため、初めて環境マネジメントに取り組む企業でもスムーズに導入できます。

PDCAサイクルによる継続的改善の仕組み

一般に、「PDCAサイクル」と呼ばれるパフォーマンスを継続的に改善する手法を基礎として、組織や事業者等が環境への取り組みを自主的に行うための方法を定めています。

PDCAサイクルとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の4つのステップを繰り返すことで、継続的に改善を図る経営手法です。エコアクション21では、このサイクルを環境経営に応用し、企業が段階的に環境負荷を減らしていける仕組みを提供しています。

具体的には、まず環境方針を策定し(Plan)、環境負荷削減の活動を実施し(Do)、その結果を測定・評価し(Check)、さらなる改善策を講じる(Action)という流れを継続します。この仕組みにより、一時的な取り組みではなく、持続的な環境改善が可能になります。

中小企業に特化した取り組みやすさ

2021年12月現在、エコアクション21の認証・登録事業者数は約7,900社を超えています。製造業のほかにも、建設業、廃棄物処理業、サービス業など、様々な業種の事業者が取り組んでいます。また全体の約90%が従業員100人以下の事業者で、まさに中小事業者に適した制度と言えます。

この数字が示すように、エコアクション21は中小企業の実情に合わせて設計されています。大企業向けの複雑な環境マネジメントシステムとは異なり、限られた人員や予算でも実施できる現実的なアプローチを採用しているのが特徴です。

エコアクション21の3つの必須要素と具体的な取り組み内容

エコアクション21の3つの必須要素と具体的な取り組み内容

エコアクション21は、環境経営システム、環境への取り組み、環境コミュニケーションの3つの要素を統合したシステムです。これらの要素が一体となって機能することで、効果的な環境経営を実現します。

環境経営システムの構築

環境経営システムとは、企業が環境への取り組みを組織的・継続的に行うための仕組みです。エコアクション21では、トップによる環境方針の策定から始まり、環境目標の設定、責任体制の明確化、従業員への教育・訓練まで、体系的なシステム構築を求めています。

このシステムの特徴は、企業の規模や業種に関わらず適用できる柔軟性にあります。大企業のような専門部署を設置する必要はなく、既存の組織体制を活用しながら環境管理体制を整備できます。また、文書化についても必要最小限に抑えられており、中小企業でも負担なく運用できるよう配慮されています。

環境負荷削減への具体的行動

エコアクション21では、必ず把握すべき環境負荷の項目として、わかりやすく二酸化炭素排出量、廃棄物排出量及び水使用量を規定しています。

これらの項目は、あらゆる企業が共通して取り組める基本的な環境負荷であり、測定や管理も比較的容易です。さらに、取り組むべき行動も二酸化炭素排出量削減(省エネルギー)、廃棄物排出量削減(リサイクル)、総排水量排出量削減(節水)など、明確に提示されています。

具体的な取り組み例としては、LED照明への切り替えによる省エネルギー、分別回収の徹底によるリサイクル率向上、節水器具の導入による水使用量削減などがあります。これらは特別な技術や大きな投資を必要とせず、日常業務の見直しや意識改革で実現できる取り組みが中心となっています。

環境コミュニケーションと情報公開

エコアクション21では、企業の環境への取り組みを社会に公表することが義務付けられています。これは「環境経営レポート」として毎年作成・公表するもので、企業の環境方針、目標、実績、今後の計画などを包括的にまとめたものです。

このレポートの作成により、企業は自社の環境への取り組みを客観的に振り返ることができ、さらなる改善のきっかけを得られます。また、ステークホルダーに対する透明性の確保にもつながり、企業の社会的信頼性向上に寄与します。レポートの様式は統一されており、作成の負担も最小限に抑えられています。

エコアクション21認証を取得するメリット

エコアクション21認証を取得するメリット

エコアクション21の認証を取得することで、企業は多方面にわたる具体的なメリットを享受できます。特に中小企業にとって、限られた経営資源を効率的に活用しながら環境経営を実現できる点が大きな魅力です。

企業価値向上と社会的信頼の獲得

新しい企業価値を創るための方策が、エコアクション21といわれています。環境省のガイドラインに基づく第三者機関の認証により、企業の環境への取り組みが客観的に評価されるため、高い社会的信頼を獲得できます。

認証取得により公式のロゴマークの使用が認められ、名刺、パンフレット、ホームページ、車両などに表示することで、環境経営企業としてのブランド価値を効果的にアピールできます。特に、取引先や顧客が環境意識の高い企業との取引を重視する傾向が強まる中、エコアクション21の認証は重要な差別化要因となります。

また、環境経営レポートの公表により、企業の透明性が向上し、ステークホルダーからの信頼度がさらに高まります。このような信頼関係の構築は、長期的な事業発展の基盤となります。

金融機関からの優遇制度

エコアクション21認証企業に対する金融機関の優遇制度は、認証取得の大きなメリットの一つです。エコアクション21の取得企業に対し、多くの金融機関が低利融資制度を実施しています。環境経営のための設備資金や運転資金について、低金利で融資を受けられるという優遇措置は、経営資源の乏しい中小事業者にとって大きなメリットとなるでしょう。

具体的には、全国の地方銀行、信用金庫、信用組合などで、エコアクション21認証企業向けの専用融資商品が用意されています。通常の融資金利より年0.1%~0.5%程度の優遇を受けられることが多く、設備投資や運転資金の調達コストを大幅に削減できます。

さらに、GX(グリーントランスフォーメーション)関連融資として、温室効果ガス排出量を算定し、GXに取り組む方を対象とした融資もあり、エコアクション21の認証・登録をしている企業等については、特別利率も受けられます。これにより、脱炭素化への投資も支援されます。

組織活性化と経営力向上効果

エコアクション21の導入は、環境改善だけでなく、組織全体の活性化と経営力向上をもたらします。PDCAサイクルによる継続的改善の仕組みを通じて、従業員の環境意識が向上し、業務の効率化や無駄の削減が進みます。

エコアクション21を通じた総合的な取り組みにより、経営力向上、組織の活性化が期待できます。環境目標の設定と達成に向けた取り組みを通じて、従業員の参加意識が高まり、チームワークの向上や改善提案の活発化が期待できます。

また、省エネルギーや廃棄物削減の取り組みは直接的なコスト削減効果をもたらします。LED照明への切り替え、節水器具の導入、リサイクル率の向上などにより、電気代、水道代、廃棄物処理費の削減が可能です。これらの取り組みは、短期間で投資回収が見込めることが多く、企業の収益性向上に貢献します。

認証取得までの流れと必要な費用

認証取得までの流れと必要な費用

エコアクション21の認証取得は、明確なプロセスと手順に沿って進められます。計画的に準備を進めることで、スムーズな認証取得が可能です。

認証取得の手順と期間

エコアクション21の認証取得には、事前準備から認証まで約6か月の期間が必要です。まず、最低3か月間の環境経営システムの運用実績が必要となるため、早期の取り組み開始が重要です。

具体的な手順は以下の通りです。環境方針の策定と従業員への周知から始まり、環境負荷の現状把握、目標設定、改善活動の実施を行います。この期間中のデータや活動内容をまとめて「環境経営レポート」を作成し、審査申込の2か月前までに申請手続きを行います。

審査は書類審査と現地審査の両方が実施され、地域事務局から派遣された審査員が企業の取り組み状況を詳細に確認します。審査結果は判定委員会で検討され、基準を満たしていると認められれば認証・登録証が発行されます。

費用の目安と内訳

エコアクション21の認証にかかる費用は、主に審査費用と認証・登録料で構成されます。エコアクション21:約30万円(認証・登録期間は2年)が目安とされており、中小企業でも比較的取り組みやすい金額設定となっています。

審査費用は、審査員1人1日あたり50,000円(税別)を基準として、企業の従業員数や業種によって必要な審査日数・審査員数が決定されます。製造業や建設業など環境負荷の大きい業種では、サービス業と比較して審査日数が多くなる傾向があります。

認証・登録料は従業員数に応じて設定されており、従業員10人以下の場合は比較的少額で済みます。また、認証期間は2年間で、更新時には再度審査と費用が発生しますが、継続的な環境経営の推進により、投資以上のメリットを得ることが可能です。

認証取得費用は、前述の金融機関優遇制度による金利削減効果や、省エネ・省資源によるコスト削減効果を考慮すると、中長期的には投資回収が十分可能な水準といえます。

ISO14001との違いと選び方のポイント

ISO14001との違いと選び方のポイント

環境マネジメントシステムの導入を検討する企業にとって、エコアクション21とISO14001のどちらを選択するかは重要な決断です。それぞれに特徴と適用場面があるため、自社の状況に応じた選択が必要です。

コストと取り組みやすさの比較

エコアクション21とISO14001の最も大きな違いは、導入にかかるコストと取り組みやすさです。エコアクション21:約30万円(認証・登録期間は2年)に対し、ISO14001の初回認証費用は100万円を超える。中間年の認証を維持するためのコストも50万円ほど必要だという大きな差があります。

取り組みやすさの面でも、エコアクション21:文書の様式や基準が決められているので構築しやすく、初めての事業者でも、無理なくシステムを構築することができるのに対し、ISO14001では文書の様式や基準は独自で作成しなければならず、導入・運用に際しては一定の専門知識が求められます。

また、認証の更新期間も異なり、ISO14001は、3年更新で、維持審査を2回、3年目に更新のサイクルの繰り返しになります。エコアクション21は、2年更新で、中間審査・更新審査のサイクルの繰り返しになります。

どちらを選ぶべきか判断基準

企業がエコアクション21とISO14001のどちらを選ぶべきかは、事業規模、取引先、国際展開の有無などによって判断すべきです。

エコアクション21が適している企業

  • 従業員100人以下の中小企業
  • 国内取引が中心の企業
  • 初めて環境マネジメントシステムを導入する企業
  • コストを抑えて環境経営をスタートしたい企業
  • 地方自治体との取引が多い企業

ISO14001が適している企業

  • 大企業や国際取引を行う企業
  • 海外進出を計画している企業
  • 取引先からISO14001取得を求められている企業
  • 既に環境マネジメントの経験がある企業

中小企業の場合、環境マネジメントシステムを構築していきなりISO14001取得を目指すより、エコアクション21を目指しましょう。エコアクション21で環境経営の基礎を固めた後、事業拡大に応じてISO14001への移行を検討するという段階的なアプローチも効果的です。

エコアクション21の現状と将来性

エコアクション21の現状と将来性

エコアクション21は、環境経営を巡る情勢の変化に対応しながら、今後も重要な役割を果たしていくと予想されます。2025年に向けて環境規制が強化される中、中小企業にとってエコアクション21の意義はさらに高まっています。

現在、認証取得企業数は約7,900社を超え、着実に普及が進んでいます。特に、全体の約90%が従業員100人以下の中小企業であることからも、本制度が当初の目的を果たしていることがわかります。業種別では、製造業、建設業、廃棄物処理業、サービス業など幅広い分野で活用されています。

エコアクション21は、環境経営の基盤として多くの企業に導入されてきましたが、近年ではカーボンニュートラルやSDGsといった新たな環境課題と密接に関わるようになっています。2025年に向けて環境規制が強化される中、エコアクション21の役割も進化しており、企業にとっては制度を活用することで競争力を高める機会となります。

カーボンニュートラル実現に向けた取り組みが加速する中、エコアクション21は中小企業が体系的に環境対策を進めるための重要なツールとして位置づけられています。また、エコアクション21を活用してESG・SDGs時代をいくトップランナーの声を集めた「エコアクション21のすすめ『未来につながる』~EA21企業のトップに聞く~」を作成しましたことからも、政府が本制度の普及に積極的に取り組んでいることがうかがえます。

今後、サプライチェーン全体での脱炭素化要請が高まる中、大手企業が取引先に環境認証の取得を求めるケースが増加すると予想されます。エコアクション21は、そうした要請に応える最初のステップとして、中小企業にとってますます重要な制度となるでしょう。

また、GX関連融資の特別利率適用など、金融面での優遇措置も充実しており、企業の脱炭素投資を後押しする仕組みも整備されています。これらの支援制度と合わせて活用することで、中小企業でも持続可能な環境経営を実現できる環境が整っているといえます。

エコアクション21は、日本の中小企業が環境経営に取り組むための実用的で効果的な制度として、今後も進化を続けながら重要な役割を担っていくことが期待されます。

参照元
・環境省
https://www.env.go.jp/policy/j-hiroba/04-5.html
・エコアクション21 中央事務局 一般財団法人 持続性推進機構(IPSuS)
https://www.ea21.jp/
・エコアクション21とは?費用や認証を受けるメリットについて解説|ENECHANGE
https://business.enechange.jp/blog/eco-action-21
・エコアクション21とは?メリットやISO 14001との違いも紹介|ソーラーフロンティア
https://solar-frontier.com/jpn/blog/pages/eco_action21/
・ISO14001とエコアクション21の違いを徹底比較!|認証パートナー
https://ninsho-partner.com/iso14001/column/iso14001_ecoaction21-2/
・エコアクション21徹底解説!企業の環境経営を支える最新の取り組みとメリット|U-POWER
https://u-power.jp/sdgs/future/000668.html

  • 記事を書いたライター
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