「フェアトレードに関心はあるけれど、日本でフェアトレード商品を買えるショップがどこにあるのか分からない」という声は、いまも少なくありません。国内で流通する国際フェアトレード認証製品は千点以上あるとされ、専門店やECサイトだけでなく、コンビニやスーパー、輸入食品店でも出会えます。この記事では、専門店・身近な店舗・ECサイトの3つの入口ごとに主な購入先を整理し、パッケージで確かめる認証ラベルの見方と、目的別の選び方までまとめます。
日本のフェアトレード市場は今どうなっているのか
買える場所を探す前に、市場全体の動きを押さえておくと、店頭の商品が増えたり入れ替わったりする理由が読み取りやすくなります。ここでは、フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ)が公表している国際フェアトレード認証製品の推定市場規模を見ていきます。
2025年5月の発表によると、2024年の国内市場は215億円(前年比2.2%増)で、2014年の94億円から10年で2倍以上に広がりました。国民一人当たりの年間購入額も、2014年の74円から2024年の174円へ増えています。品目別ではコーヒーが78.2%、カカオ製品が12.2%を占め、この2品目が市場の中心です。
2025年は約190億円へ縮小した
一方、2026年4月28日にFLJが発表した2025年の推定市場規模は約190億円で、前年比は約88%でした。10年続いた拡大基調が、初めて目に見える形で後退したことになります。
縮小の背景にあるのは価格高騰と調達の変化
FLJは縮小の背景として、西アフリカの不作や気候変動によるカカオ国際価格の歴史的な高騰を挙げています。カカオ製品の市場規模は前年比60%でした。コーヒーも主要産地の天候不順や為替の影響で価格が高止まりし、金額ベースでは前年比93%でした。ただし重量ベースでは約1割増えており、一部の外資系外食企業の調達方針変更という個別要因が金額の減少に影響したと説明されています。
購入先を選ぶ側から見ると、価格が上がった時期に認証製品の取扱点数が入れ替わりやすいという点が重要です。以前見かけたチョコレートが店頭から消えていても、取り扱いをやめたとは限りません。商品名ではなく、パッケージのラベルを基準に探す習慣が役に立ちます。
ショップ選びの前に確認したい認証ラベルの見分け方
フェアトレードを名乗る商品がすべて同じ基準で作られているわけではありません。ラベルの種類と、それが何を保証しているのかを知っておくと、どの店で買っても迷いが減ります。
国際フェアトレード認証ラベルは「製品」を認証する
日本で最も目にする国際フェアトレード認証ラベルは、原料の生産から最終製品になるまでのサプライチェーンで、関わる事業者がそれぞれ認証を受けていることを示します。環境省の資料でも、第三者機関の監査と認証を受けた最終製品にだけ表示が認められると説明されています。対象は300以上の産品で、コーヒー、茶、カカオ、砂糖、バナナ、コットンなどが代表例です。
WFTOの認証は「団体」を対象にしている
世界フェアトレード機関(WFTO)の認証は、製品ではなく、フェアトレードの原則を守る団体そのものを対象にする仕組みです。たとえばピープルツリーを運営するフェアトレードカンパニーは、1996年にWFTO(当時の名称はIFAT)へ加盟し、2013年に保証制度による認証を受けたと、同社の発表で説明されています。専門店でハンドクラフトや衣類を買うときは、ブランドロゴやWFTOの表示が確認の手がかりになります。
オーガニック認証とは別の制度
オーガニック認証は、農産物の生産工程で化学物質の使用を規制する制度です。フェアトレード認証は、生産者への価格保証や労働条件、環境を含む総合的な基準を扱います。両方を取得している商品もありますが、片方のマークだけで「人にも環境にも配慮した商品」と判断するのは早計です。チョコレートのように複数の原料を使う商品では、どの原料が認証の対象かをパッケージの表示で確認すると、実態に近い判断ができます。
認証制度の違いを横断的に知りたいときは、次の記事が参考になります。
専門ECサイトで買う|背景まで分かる定番ショップ
専門店で買う利点は、商品の背景にある生産者や産地、取引の経緯まで確認できる点です。ここでは、国内で長く活動している専門ブランド・団体のオンラインショップを、食品中心と衣類・雑貨中心に分けて紹介します。
食品やギフトを探すなら
第3世界ショップは、1986年に日本で初めてフェアトレードを事業として始めたとされる老舗です。食品の通信販売を行い、現在はフェアトレードにとどまらず、地域の力で課題解決を目指す「コミュニティトレード」へ活動を広げています。楽天市場にもフェアトレードチョコレートが出品されています。
Fair Selectは、国際協力NGOのわかちあいプロジェクトが運営するフェアトレード専門ショップです。FLJの公式サイトでも消費者向けECサイトとして紹介されていて、ここでしか買えない国際フェアトレード認証商品も扱っています。
衣類・雑貨を探すなら
ピープルツリーは、オーガニックコットンの衣類やアクセサリーを中心に、食品も展開するエシカルブランドです。ブランド全体がWFTOの認証を受けているため、個別の商品にラベルがなくても、団体としての取り組みを確認できます。
シサム工房は、1999年の創業以来、京都を拠点にフェアトレード事業を続けています。ネパールやインドなどの職人と作る手織り・手染めのストールやバッグを扱い、自社のオンラインショップのほか、京都・大阪・神戸・東京に直営店があります。店舗の数や場所は変わるため、訪問前に公式サイトで確認してください。
フェアトレード素材の衣類や雑貨を選ぶときは、素材の違いを知っておくと比較しやすくなります。
身近な店舗で買う|コンビニ・スーパー・輸入食品店
専門店まで足を運べなくても、日常の買い物の延長でフェアトレード商品に出会える場所は増えています。以下は、メディアや各社の商品情報で紹介されている例です。商品は入れ替わりがあるため、購入前にパッケージの認証ラベルで確認してください。
コンビニで見つかる商品
セブン-イレブンのセブンプレミアムには、認証を受けたカカオを使った高カカオチョコレートがあると紹介されています。ローソンでは、国際フェアトレード認証のカカオを使ったタブレットショコラやガトーショコラが取り上げられていて、一部は首都圏のナチュラルローソンでの販売です。いずれもチョコレートなど、カカオを使った菓子が中心です。
スーパーと輸入食品店で見つかる商品
イオンのトップバリュには、フェアトレード認証を取得したダージリン紅茶があります。成城石井では、国際フェアトレード認証ラベルのついたコーヒー粉が紹介されています。カルディコーヒーファームでは、ガーナ産カカオを使ったダークチョコレートや、女性の自立支援を目的とした認証豆を配合したコーヒーが見つかります。
プライベートブランドでの取り扱い拡大は、FLJも市場動向の一要因として言及してきました。コンビニやスーパーの商品は、パッケージの裏面ではなく表面の目立つ位置にラベルがあることが多いため、棚の前で数秒確認するだけで見つけられます。
地域のマーケットやイベントで探す
千葉市が2025年8月に開いたフェアトレードマーケットでは、バングラデシュ産ジュートの雑貨、フェアトレードコーヒー、インドネシアの手作り雑貨、生活クラブ生協の販売などが一堂に出店しました。このように、自治体や学生団体が開く市やマルシェも、生産者の話を直接聞ける購入先のひとつです。
ECモールで買う|比較したい人・まとめ買いしたい人向け
専門店や実店舗に加えて、大手ECモールにもフェアトレード商品を探す入口が用意されています。FLJの公式サイトで紹介されているのは、楽天市場の中のサステナブル商品モール「EARTH MALL with Rakuten」、Amazonの認証製品検索ページ、Yahoo!ショッピングの環境配慮の取り組みなどです。
ECモールの利点と注意点
複数のショップを横断して価格や容量を比べられること、ポイント還元やまとめ買いに対応していることが利点です。一方、検索結果にはフェアトレードを名乗る商品と、国際フェアトレード認証を受けた商品が混在します。商品ページでラベルの画像や認証の記載を確認してから購入すると安心です。
職場やイベント向けの購入先
意外と知られていないのが、オフィス用品の通販サイトです。FLJの紹介ページには、ASKUL、大塚商会の「たのめーる」、コクヨの「カウネット」などが挙がっていて、オフィス向けのコーヒーやノベルティ用のコットンバッグなどが見つかるとされています。職場のコーヒーを入れ替えるだけでも、個人の買い物よりまとまった量の需要をつくれます。
確実に探したいときは、FLJが公開している製品検索ツール「Fairtrade Product Finder」が頼りになります。商品名やブランド名から、国内で販売されている認証製品を調べられます。
ほかのフェアトレード商品の買える場所や価格の違いは、次の記事でも比較しています。
目的別に選ぶ|どこで買うかの判断基準
ここまで見てきた購入先は、どれが正解というわけではなく、買う目的によって向き不向きがあります。目的ごとに考え方を整理します。
まず1つ試したいとき
最初の1回は、いつもの店で認証ラベルを探すのが負担の少ない方法です。コンビニ、スーパー、カルディなどで、チョコレート、コーヒー、紅茶のいずれかを選び、国際フェアトレード認証ラベルのついた商品を手に取ってみてください。価格が通常品より高い場合もあるため、普段買う量のうち1品だけを置き換える程度で十分です。
贈り物にしたいとき
年末のギフトを考えるこの時期は、専門店のオンラインショップが便利です。生産者の紹介や産地の背景がパッケージやサイトで伝えられていて、贈られた人が商品の由来を知るきっかけになります。ブランドを選ぶときは、国際フェアトレード認証かWFTOの保証かを確認し、説明ページが整っているショップを選ぶと、後から問い合わせもしやすくなります。
支援の形を重視したいとき
大手チェーンのプライベートブランドは、認証製品の裾野を広げる役割があります。専門店やNGO運営のショップは、収益の使い道や生産者との関係を丁寧に説明している場合が多く、購入の意味づけが異なります。どちらかを選ぶ必要はなく、普段使いは身近な店、特別な日は専門店というように使い分ければ、無理なく続けられます。
自分の街で探す|フェアトレードタウンと地域の取り組み
住んでいる地域によって、買える場所の見つけやすさは変わります。自治体ぐるみでフェアトレードを広げている街を知っておくと、近くの取扱店舗や催しに出会いやすくなります。
日本フェアトレード・フォーラムは、フェアトレードタウンとフェアトレード大学の認定を行っています。2026年4月時点で認定されているフェアトレードタウンは8都市で、熊本市、名古屋市、逗子市、浜松市、札幌市、いなべ市、鎌倉市、大府市が挙げられます。
千葉市は2026年度のフェアトレードタウン認定を目指していて、2026年3月時点で、市内のフェアトレード産品取扱店舗は110店舗とされています。認定の有無にかかわらず、市区町村の公式サイトで「フェアトレード」を検索すると、取扱店舗の一覧やイベント情報が見つかることがあります。
近くに専門店がなくても、ECサイトや地域のマーケット、学校や職場での導入など、買える場所は複数あります。まずは自宅から最も近い入口を1つ決めておくと、続けやすくなります。
まとめ
日本のフェアトレード認証製品の市場は、2014年の94億円から2024年の215億円へと10年で2倍以上に広がりました。2025年はカカオ価格の高騰などを受けて約190億円へ縮小しましたが、FLJはこれらを主に一時的な要因とみています。店頭の商品は入れ替わりがあるため、商品名ではなくパッケージの認証ラベルを基準に探すのが確実です。
購入先は、背景まで知りたいなら専門ECサイト、日常の延長で試したいならコンビニ・スーパー・輸入食品店、比較やまとめ買いならECモールと、目的で分けると選びやすくなります。国際フェアトレード認証は製品を、WFTOの認証は団体を対象にしていること、オーガニック認証は別の制度であることも覚えておくと、ラベルの意味を取り違えずに済みます。まず1つだけ、次に買い物をするときにチョコレートかコーヒーのラベルを確認してみてください。
- 2024年の国内市場は215億円、2025年は約190億円(前年比約88%)で、カカオ価格の高騰などが影響した
- 国際フェアトレード認証は製品、WFTOは団体の認証で、オーガニック認証とは別の制度
- 専門ECサイトは背景が分かりやすく、コンビニ・スーパーは日常の延長で試しやすい
- 探すときはFLJの製品検索ツールや、自治体のフェアトレード情報が役に立つ
- 最初の一歩は、いつもの買い物でパッケージの認証ラベルを1つ確認すること
参考文献
- フェアトレード・ラベル・ジャパン「2025年の国内国際フェアトレード認証製品市場規模」(2026年)
- マイナビ農業(PR TIMES掲載)フェアトレード・ラベル・ジャパン 2024年国内市場規模の発表(2025年)
- フェアトレード・ラベル・ジャパン「オンラインショップ」(2026年閲覧)
- 環境省「国際フェアトレード認証ラベル」(2026年閲覧)
- 千葉市「ちばフェアトレードマーケット2025夏」(2025年)




