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LIFESTYLE

レンタルはサステナブル?借りる前に知っておきたい環境面の分かれ目

Photo by Archer Fu on Unsplash

秋は衣替えの季節です。クローゼットを開けて「着ていない服がこんなにある」と気づく人は多いのではないでしょうか。そこで頭に浮かぶのが「買わずに借りればいいのでは」という発想で、「レンタル サステナブル」と検索する人が増えている背景にもなっています。

ただ、国の資料や研究を読んでいくと、レンタルは「借りれば自動的に環境にやさしい」というものではありません。モノの持ち方を変える有力な選択肢ではあるものの、使い方次第で効果が逆転することもあります。この記事では、衣類と家電を例に、レンタルが環境面で意味を持つ条件と、借りる前に確かめたい点を整理します。

この記事で学べること

  • レンタルがサステナブルといわれる理由と、日本の衣類をめぐる数字
  • レンタルのほうが環境負荷が大きくなりうる条件
  • 借りる前に確認したい3つの分かれ目
  • 家電のレンタルやリファービッシュ(再生品)に取り組む企業の動き
  • 今日から試せる、借りる前の1つの行動

レンタルがサステナブルといわれる理由

レンタルが注目される出発点は、私たちが「買ったのに使い切れていないモノ」を大量に抱えているという事実です。まず衣類の数字から見てみます。

日本の衣類は供給も廃棄も大きい

環境省のサステナブルファッションのページによると、日本で供給される衣服は1990年の約20億着から2019年には約35億着へと、1.8倍に増えています。一方で、1年に1回も着られていない服が一人あたり約25着あり、人は1年に約12着の服を手放しているとされています。

手放された衣服のうち、リユースやリサイクルに回る割合は約34%です。家庭から出る衣類の廃棄は年間約48万トンで、これは1年間に供給される新品衣類の約6割に相当する量だと示されています。

借りることで稼働率を上げられる

レンタルの環境面での強みは、1つのモノを複数の人が使うことで、「使われない時間」を減らせる点にあります。着る機会が少ない服や、使う頻度が低い道具ほど、この効果は大きくなります。

たとえば、結婚式用のフォーマルウェアや、子どもの成長で数か月しか使わないベビー用品、引っ越し直後だけ必要な家具などです。私が国や自治体の資料を読むときに意識するのは、「環境にいいか」よりも「そのモノが何回使われるか」という視点です。この見方をすると、レンタルが向く場面がかなりはっきりします。

「借りれば環境にやさしい」と言い切れない理由

ここで一度、慎重になる必要があります。レンタルには、買う場合にはない環境負荷が加わるからです。

衣類レンタルの排出量を比べた研究

2021年に学術誌『Environmental Research Letters』で発表されたフィンランドの研究では、衣類のリサイクル、転売、レンタルなど複数のシナリオで温室効果ガスの排出量が比較されました。メディアの報道によると、この研究ではレンタルが最も気候への影響が大きいと結論づけられています。

理由として挙げられたのは、顧客のあいだを行き来する輸送と、その間に行われるドライクリーニングです。研究者は、最もよい方法は衣類を長く着て、最後に転売や寄付をすることだとしています。

改善の余地も示されている

同じ研究は、レンタル自体を否定しているわけではありません。低炭素の輸送手段を使うことや、長く着られるアイテムを揃えることで、レンタルは改善しうるとも示唆されています。

注意したいのは、この研究が海外の事例を前提にしている点です。日本の宅配網や洗濯の条件にそのまま当てはまるとは限りません。「レンタルは悪い」と受け取るのではなく、「輸送とクリーニングの分だけ、使用回数で取り返す必要がある」と読むのが実態に近いと考えています。

借りる前に確認したい3つの分かれ目

ここからは、公開されている資料から読み取れる論点を、借りる前の判断基準として3つに整理します。調査データではなく、考え方の枠組みとして使ってください。

自分で持った場合の使用回数は多いか少ないか

年に数回しか使わないモノなら、借りるほうが稼働率の面で合理的です。反対に、毎週のように着る服や毎日使う家電は、長く持って使い切るほうが、輸送や洗浄の負荷が加わらない分だけ有利になりやすいと考えられます。

輸送とクリーニングの回数は多すぎないか

借りる、返す、洗うという往復が頻繁なほど、負荷は積み上がります。月に何度も入れ替えるサブスク型は便利ですが、入れ替えの頻度そのものが環境負荷に直結する点は意識しておきたいところです。一度借りたモノを長く使うほうが、輸送の回数を抑えられます。

返却後にモノがどう循環するか

借りたモノが返却後に修理・クリーニングされ、次の利用者に渡るなら、レンタルの意味は大きくなります。サービスの公式サイトで、返却品の再利用や修理の方針、使用できなくなったときの扱いが書かれているかを見てみてください。書かれていなければ、問い合わせる価値があります。

家電や家具のレンタルで広がる動き

衣類だけでなく、家電や家具の分野でも、借りて循環させる仕組みづくりが進んでいます。ここでは複数の企業の動きを紹介します。

大手メーカーの再生品とサブスク

日立グローバルライフソリューションズは2022年8月、同年度後半からサブスクリプションとリファービッシュ事業を始める方針を発表しました。パナソニックも、家電のサブスクや、検査済みの再生品の販売に取り組んでいると公表しています。メーカー自身が返却品を整備し直して再び世に出す仕組みは、品質面の安心感にもつながります。

再生品をレンタルで回す実証

オリックス環境がソニーと、使用済みのテレビを再生してから個人向けレンタルで循環させる実証実験を始めたとも報じられています。返却後にもう一度再生して流通させる形を探るもので、1つの製品をより長く使い続ける方向を目指す取り組みです。

これらはいずれも動き始めた段階にあり、環境面の効果がどの程度かは今後の検証が待たれます。それでも、「借りる」と「再生する」を組み合わせることで、先ほどの3つ目の分かれ目、つまり返却後の循環を担保しようとしている点は注目できます。

今日から試せる1アクション

おすすめしたいのは、次に「欲しい」と思ったモノについて、買う前に「このあと1年で何回使うか」を数字で書き出してみることです。スマートフォンのメモで十分です。

回数が少ないと分かったら、まずレンタルを候補に入れます。回数が多いなら、購入して長く使う前提で、修理や手入れのしやすいモノを選びます。そのうえで、レンタルを選ぶ場合は、返却品の扱いが公式サイトに書かれているサービスかどうかを確認してください。

この確認だけでも、「なんとなく環境によさそう」という印象から一歩進んだ選び方ができます。レンタルに限らず、持ち方を考える入口にもなります。

エシカルな買い物の考え方を広く知りたい方は、こちらも参考になります。

まとめ

レンタルは、使用回数が少ないモノを共有して稼働率を上げられる点で、サステナブルな選択肢になりえます。日本では衣服の供給が約35億着にのぼり、1年に1回も着られていない服が一人あたり約25着あるとされており、「持ちすぎ」を見直す意味は大きいといえます。

一方で、輸送やクリーニングの負荷が加わるため、借りれば必ず環境にやさしいわけではありません。使用回数、入れ替えの頻度、返却後の循環という3つの分かれ目を確認すると、自分にとって意味のあるレンタルかどうかが見えやすくなります。

まず1つだけ、次に欲しいモノの年間使用回数を数えてみてください。

  • レンタルは、使用回数が少ないモノほど環境面で意味を持ちやすい
  • 輸送とクリーニングの負荷があるため、頻繁な入れ替えは環境負荷を高めうる
  • 借りる前に、使用回数・入れ替え頻度・返却後の循環の3点を確認する
  • 家電では、再生品とレンタルを組み合わせた循環の取り組みが始まっている
  • 買う前に年間の使用回数を書き出すことが、最初の一歩になる

参考文献

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