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クライメートアクションとは?誰でもわかりやすくかんたん解説|日本の現状と私たちにできること

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クライメートアクションとは、英語の「Climate Action」を訳した「気候行動」のことで、気候変動の原因となる温室効果ガスを減らし、すでに起きている影響に備えるために、国・企業・地域・個人が取る行動の総称です。SDGs(持続可能な開発目標)では目標13「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」として掲げられています。言葉の意味は、これでほぼ足ります。この記事で扱うのは、その先の「日本は今どこまで進んでいるのか」「自分は何から始めればよいのか」「どんな行動が誤解されやすいのか」という疑問です。

この記事で学べること

  • 2024年に世界の気温が初めて1.5℃を超えた意味と、日本の気温の現状
  • 日本の温室効果ガス排出量が2013年度比でどこまで減ったか、新しい目標はどうなっているか
  • 脱炭素先行地域や排出量取引など、国・地域・企業が進める具体的な仕組み
  • 「緩和」と「適応」の違い、そして個人が行動を選ぶときの判断基準
  • クライメートアクションで誤解されやすい3つのポイント

世界と日本の気温は今どうなっているのか

クライメートアクションが「いつか必要になる行動」ではなく「今まさに必要な行動」とされる背景には、観測された気温の変化があります。世界と日本の両方で、記録を更新する年が続いています。ここでは、直近の公的なデータを確認します。

2024年は初めて産業革命前から1.5℃を超えた年になった

世界気象機関(WMO)が2025年3月に公表した報告書によると、2024年の世界の平均気温は、1850〜1900年の平均より1.55±0.13℃高く、175年に及ぶ観測記録のなかで最も暖かい年でした。暦年として産業革命前から1.5℃を超えた可能性が高いのは、これが初めてとされています。

ここで注意したいのは、パリ協定の「1.5℃目標」は、単年の気温ではなく長期的な平均で判断される点です。2024年に1.5℃を超えたからといって、目標がただちに失敗に終わったという意味ではありません。一方で、単年とはいえ節目の水準に達したことは、これまでの排出削減のペースが十分でない可能性を示す、重い数字だといえます。

日本でも夏の暑さが記録を塗り替えている

日本の状況も同じ方向を向いています。気象庁の観測をもとにした報道によると、2025年の日本の年平均気温は平年を1.23℃上回り、1898年の統計開始以来3番目の高さでした。平均気温の上位は2019〜2025年の7年間に集中しており、2024年が平年比プラス1.48℃、2023年がプラス1.29℃、2025年がプラス1.23℃と、直近3年が特に高い年として並んでいます。

2025年の夏(6〜8月)は平年差がプラス2.36℃となり、それまでの最高だった2023年・2024年のプラス1.76℃を大きく上回って、統計開始以降の夏として最高を更新しました。全国153の観測地点のうち132地点で、夏の平均気温が1位になっています。今年の夏の暑さを記憶している方は多いはずで、気候変動は遠い国の話ではなく、熱中症や農作物、電力需要といった身近な暮らしに結びつく課題になっています。

なぜ「行動」という言葉が使われるのか

気候変動への対応では、「対策」という言葉より「行動(アクション)」が使われることが増えています。計画や目標を掲げるだけでなく、排出量を実際に減らし、被害に実際に備えるところまでを含めて呼びたい、という意味合いがあるためです。SDGs目標13が「緊急対策を講じる」と書いているのも、同じ考え方に立っています。

日本のクライメートアクションはどこまで進んだのか

次に気になるのは、日本が実際にどれだけ排出量を減らせているのかという点です。国の最新の統計と、2025年に決まった新しい目標を、順に整理します。

2023年度の排出量は2013年度比で27.1%減

環境省が2025年4月25日に発表した2023年度の確報値によると、日本の温室効果ガス排出量は約10億1,700万トン(CO2換算)でした。前年度から4.2%、基準年度の2013年度から27.1%減少し、統計を取り始めてから最も少ない値です。森林などによる吸収量は約5,370万トンでした。

減少の主な要因として、環境省は電源の脱炭素化を挙げています。電源構成に占める再生可能エネルギーと原子力の合計が3割を超えたことが大きく、加えて製造業の国内生産活動が減ってエネルギー消費量が下がったことも影響しました。つまり、削減のすべてが省エネや技術革新だけによるものではなく、生産量の変動といった要因も含まれています。数字を読むときは、この点を頭に置いておくと過度な楽観や悲観を避けられます。

2035年度60%・2040年度73%という新しい目標

2025年2月18日、政府は地球温暖化対策計画を閣議決定し、新しい国別目標(NDC)として、2035年度に2013年度比60%削減、2040年度に73%削減を目指すと定めました。2050年のネット・ゼロ(排出量と吸収量を差し引きでゼロにすること)に向けて、直線的な経路をたどる計画です。2030年度の46%削減という従来の目標も、引き続き掲げられています。

2023年度の27.1%減という実績は、2030年度の目標水準と比べるとなお差があります。今後の数年間で、削減のペースを上げていく必要があるということです。

目標の水準をどう受け止めるか

この目標が十分かどうかについては、さまざまな見方があります。国際的な1.5℃の経路に照らして不足だと指摘する立場もあれば、産業構造やエネルギー事情を踏まえて現実的だと評価する立場もあります。大切なのは、どちらかの意見を鵜呑みにすることよりも、目標と実績が毎年公表されているので、自分で数字を確かめられると知っておくことです。環境省は排出量の確報値を毎年春ごろに公表しており、ニュースの見出しだけでなく元の資料に当たる習慣は、グリーンウォッシュ(実態以上に環境配慮を装うこと)を見抜く力にもなります。

国・地域・企業は何をしているのか

クライメートアクションは、個人の努力だけで成り立つものではありません。排出の大部分は事業活動や社会インフラに由来するため、制度と地域、企業の動きが成果を大きく左右します。

地域の動き「脱炭素先行地域」

環境省は、2050年を待たずに前倒しでカーボンニュートラルを目指す地域を、「脱炭素先行地域」として選定してきました。選ばれた地域には、2030年度までに民生部門(家庭や業務施設など)の電力消費に伴うCO2排出を実質ゼロにすることが求められます。運輸部門や熱利用も含めて、地域の特性に応じた削減を進める枠組みです。

2026年2月13日時点で、第1回から第7回までに102件の計画提案が選定され、45道府県133市町村が参加しています。「2025年度までに少なくとも100か所」という目標に届いたため、募集は第7回で終了しました。代表的な地域として、複数の企業と連携して民生部門の脱炭素化を進める北海道札幌市、林産業と結びつけて再生可能エネルギーを導入する岡山県西粟倉村、小水力発電や風力に力を入れる高知県梼原町などがあります。都市部と農山村で、同じ脱炭素でも手段がまったく異なる点が特徴です。

企業の動き「排出量の見える化」と取引制度

企業では、自社の排出量を測って公表し、削減目標を立てる動きが広がっています。パリ協定の水準に整合した目標を設定する国際的な枠組みである「SBT」では、環境省が目標設定の支援を行っており、大企業だけでなく中小企業への波及も目指されています。

制度面では、2025年5月の改正GX推進法により、一定規模以上の排出事業者に排出量取引制度(GX-ETS)への参加が法律で義務づけられたとされています。2026年度から本格的に動き出す見通しで、排出枠の上限を設けて、企業間で取引する仕組みです。対象は排出量の大きい企業に限られるため、すぐに多くの人の暮らしが変わるわけではありません。ただ、取引先である中小企業にも、サプライチェーン全体での排出量の把握を求める動きが及んでいます。

投資家の動き

原稿の元になった考え方として、機関投資家が排出量の多い企業と対話し、気候変動対策の強化を促す取り組みもあります。企業が資金を調達するうえで気候への対応が評価される流れができつつあり、企業の行動を後押しする外側の力として働いています。私たちが年金や投資信託を通じて、間接的にその資金に関わっている点も見落とされがちです。

気候変動対策の2つの柱「緩和」と「適応」

クライメートアクションという言葉を聞くと、排出削減ばかりを思い浮かべがちです。しかし、国の枠組みでは、削減だけでなく被害への備えも同じ重さで扱われています。

緩和は原因を減らす行動

温室効果ガスの排出を減らしたり、森林などで吸収を増やしたりする取り組みを「緩和」といいます。再生可能エネルギーへの切り替え、省エネ、食品ロスの削減、移動手段の見直しなどが当てはまり、先ほど見た排出量の目標も、この緩和に関するものです。

適応は影響に備える行動

すでに温暖化が進んでいる以上、将来の被害を回避したり軽くしたりする「適応」も欠かせません。日本では2018年12月1日に気候変動適応法が施行され、国・自治体・事業者・国民それぞれの役割が定められました。国立環境研究所が運営する「気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)」では、地域ごとの影響予測や取り組み事例を調べられます。

具体的には、熱中症への備え、ハザードマップの確認、高温に強い農作物の品種への転換、雨水を一時的にためる街づくりなどが適応にあたります。自治体では地域気候変動適応センターを置く動きが進み、2023年時点では概ね都道府県で設置されています。

両方が必要になる理由

緩和が進まなければ、将来の被害は大きくなり、適応の負担も重くなります。逆に、緩和だけでは、すでに避けられない影響には対応できません。つまり、2つはどちらか一方を選ぶものではなく、組み合わせて進めるものです。個人の暮らしでも、省エネに取り組むこと(緩和)と、住んでいる地域のハザードマップを確認すること(適応)は、別々の意味を持つクライメートアクションになります。

個人のクライメートアクションは何から始めればいいのか

ここまで読んで、「大きな話すぎて、自分には関係がない」と感じた方もいるかもしれません。ここでは、個人が行動を選ぶときの考え方を整理します。

暮らしのなかで取り組みやすい分野

環境省が進める「デコ活(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)」では、日常生活のなかでの具体的な行動が示されています。たとえば、断熱性の高い住まいで電気を省エネする、エコグッズを選ぶ楽しさを持つ、食べ残しをしない、テレワークなど柔軟な働き方を取り入れる、といった内容です。国・自治体・企業・団体・消費者が連携して参加する枠組みになっています。

10月のこの時期は、暖房を使い始める前の見直しにちょうどよい時期です。窓まわりの断熱を整えたり、設定温度を見直したり、冬の食卓に向けて食材を使い切る計画を立てたりと、季節に合わせた行動を選べます。

行動を選ぶための3つの問い

やれることは多く、何から手をつけるか迷います。ひとつの考え方として、次の3つの問いで絞り込む方法があります。

  1. 自分の暮らしのなかで、エネルギーや資源を最も使っている場面はどこか
  2. 無理なく1年以上続けられるか
  3. 家族や職場など、周りの人にも広がりそうか

たとえば、車で通勤している人なら移動手段が最初の候補になりますし、一人暮らしで自炊が多い人なら食品ロスが入口になるかもしれません。一度に完璧を目指すと続かなくなるため、まず1つに絞ることが、結果として排出の削減を長く積み重ねる近道です。

職場・学校・地域で動くという選択肢

個人の行動は、家庭の中だけに限られません。職場で使用電力の見える化を提案する、学校の環境委員会で取り組みを議論する、地域の再生可能エネルギー事業や森林保全の活動に参加する、といった関わり方もあります。気候変動について学び、周囲の人に伝えることも、立派なクライメートアクションです。

クライメートアクションで誤解されやすい3つのポイント

最後に、行動を始める前後でよく出てくる疑問や誤解を取り上げます。当事者を責めたり、特定の立場を断定したりせず、事実に沿って考えるための材料として整理します。

「個人が頑張っても意味がないのでは」という疑問

排出の大きな部分が事業活動や発電に由来するのは事実で、個人の行動だけで目標が達成されるわけではありません。ただ、個人の選択は、企業が何を作るか、自治体が何を優先するかに影響します。購入する商品、利用するサービス、投票や意見の表明を通じて、社会全体の方向に関わることができます。個人の行動は、それ自体の削減量だけでなく、周りへの波及でも意味を持ちます。

「環境に優しい」という言葉をそのまま信じてよいか

「エコ」「脱炭素」といった表示は、根拠が示されていないと実態を判断できません。確認するポイントは、何を基準に削減したのか、製品の一部なのか全体なのか、第三者が検証しているか、という3点です。数字や出典が示されていない場合は、断定せずに「そう説明されている」と受け止め、公式の情報で確かめると安心です。

我慢を重ねる行動だけがクライメートアクションではない

クライメートアクションを「我慢すること」と捉えると、続けにくくなります。断熱で冬の暖房費が下がる、食材を使い切って食費が減る、公共交通や自転車で移動して健康的に過ごせる、といったように、暮らしの質を保ちながら進められる行動も多くあります。無理をして生活を縮めるのではなく、自分に合う形を探す姿勢が、長続きの鍵になります。

まとめ

クライメートアクションとは、気候変動の原因を減らす「緩和」と、影響に備える「適応」の両方を、国・企業・地域・個人がそれぞれの立場で進める行動の総称です。世界の気温は2024年に初めて産業革命前から1.5℃を超え、日本でも2025年の夏が観測史上最高の暑さになりました。一方で、日本の2023年度の温室効果ガス排出量は2013年度比で27.1%減り、統計開始以来の最少水準にあります。

2035年度に60%、2040年度に73%という新しい目標も決まり、脱炭素先行地域のように、地域ごとに具体的な形が生まれています。個人にとっては、使うエネルギーが大きい場面を1つ選び、続けられる形で変えていくことが現実的な第一歩です。数字や表示は出典を確かめながら、焦らず、でも止まらずに進めていくことが、結果として大きな変化につながります。まずは今日、暖房を使い始める前に、住んでいる地域のハザードマップか家の窓まわりのどちらかを1つだけ確認してみてください。

  • 2024年に世界の平均気温が産業革命前から1.55℃上昇し、日本でも2025年の夏が観測史上最高になった
  • 日本の2023年度排出量は2013年度比27.1%減で、2035年度60%・2040年度73%の新目標が定まった
  • 脱炭素先行地域は102件が選定され、地域ごとに異なる手段で2030年度のCO2実質ゼロを目指している
  • クライメートアクションは削減(緩和)と備え(適応)の両方で、個人は最も使っている場面から1つ選ぶとよい
  • 環境配慮の表示は、基準・範囲・第三者の検証を確認して受け止める

参考文献

  • 記事を書いたライター
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