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CSR

外国人労働者は200万人超え 日本が向き合う「問題」を数字と企業の工夫から読み解く

Photo by Daniele Buso on Unsplash

コンビニのレジ、工場のライン、建設現場、介護の現場。日常のなかで外国人スタッフと接する機会は、この10年で確実に増えました。厚生労働省が公表している「外国人雇用状況」の届出状況まとめによると、外国人労働者数は届出が義務化された2007年以降ほぼ一貫して増加を続け、2023年10月末時点で200万人を初めて超えたと報告されています。単なる人手不足対策という言葉だけでは片づけられない課題も、統計や現場の報告から見えてきます。この記事では「外国人労働者 問題」と検索した方に向けて、何が問題とされてきたのか、そして制度や企業がどう変わろうとしているのかを、数字を追いながら整理します。

技能実習制度で指摘されてきた「低賃金」と「失踪」という現実

外国人労働者をめぐる「問題」という言葉で、真っ先に語られてきたのが技能実習制度です。技能実習制度は本来、開発途上国への技能移転を目的とした国際貢献の枠組みとして1993年に始まりました。しかし実際には人手不足を補う労働力として機能してきた面が強く、転職の自由が制限されていることが、賃金未払いや長時間労働といった問題の温床になっていると繰り返し指摘されてきました。出入国在留管理庁が公表してきた失踪動機に関する調査では、「より高い賃金を求めて」という回答が毎年上位を占めており、低賃金が失踪の主要な引き金になっていることがうかがえます。

労働基準監督署による技能実習実施者への監督指導でも、労働基準関係法令違反が確認された事業所の割合は例年高い水準で推移していると報告されており、賃金台帳の未整備や割増賃金の未払いといった基本的な労務管理の不備が繰り返し指摘されています。大学院で環境政策や労働政策の一次資料を読み込んできた立場から見ても、この種の違反率の高さは一時的な現象ではなく、制度設計そのものに構造的な無理があったことを示しているように感じます。

「育成就労制度」が2027年をめどにスタートする

こうした批判を受けて、政府は技能実習制度を段階的に廃止し、新たに「育成就労制度」を創設する方針を打ち出しました。育成就労制度の創設を盛り込んだ改正法は2024年6月に国会で成立しており、公布から3年以内、2027年ごろの施行が見込まれています。最大の変更点は、一定の条件のもとで労働者本人の意思による転籍(転職)を認める仕組みが整理された点です。転職の自由がほぼ認められなかった技能実習制度に対し、育成就労制度では人材育成と労働力確保を制度の目的として明記し、より実態に即したルールへの転換が図られています。制度が変わっても、受け入れる企業や監理団体側の運用が伴わなければ問題は繰り返される、という点は数字を追う立場として強調しておきたいところです。

外国人労働者をめぐる制度全体の見取り図としては、格差や不平等という切り口から整理した記事もあわせて参考にしていただけます。

特定技能制度の拡大と、現場で進む複数企業の工夫

技能実習制度とは別に、即戦力となる人材を対象とした「特定技能」制度が2019年4月に導入されました。特定技能制度は当初14分野でスタートしましたが、その後対象分野が拡大され、2024年3月には今後5年間の受け入れ見込み数の上限が大幅に引き上げられる方針が閣議決定されています。介護、建設、外食、宿泊など人手不足が深刻な分野を中心に、5年間で最大82万人程度の受け入れ枠が示されたと報じられています。国籍別に見ると、ベトナムが最も多く、中国、フィリピンなどが続く構成になっているとされ、特定のアジア諸国からの人材に依存する構造が続いている点も、日本側が向き合うべき課題です。

特定の国籍・職種に受け入れが偏る構造や、日本人と外国人労働者の賃金差といったテーマは、格差や不平等という視点からも読み解くことができます。

コンビニ・小売・製造業で広がる「やさしい日本語」対応

受け入れ数が増えるなかで、複数の業界で独自の工夫が進んでいます。コンビニエンスストア各社は、外国人スタッフ向けに難しい漢字や敬語を避けた「やさしい日本語」でのマニュアルや研修を導入する動きを広げてきました。小売・製造業の現場でも、多言語対応のマニュアル整備や、生活相談窓口の設置、日本語学習支援を福利厚生に組み込む企業が増えているといわれます。業界団体からは、技能実習生や特定技能人材の適正な処遇を求める人権デューデリジェンスの考え方を会員企業に周知する取り組みも進められています。ひとつの企業の成功事例として語られるより、業界横断で標準的な対応に引き上げていく段階に入っている、というのが複数の取り組みを見比べたときの実感です。

読者が今日からできる小さな一歩

外国人労働者の問題は制度や企業だけの課題ではありません。職場や地域で外国人スタッフと接する私たち自身の対応も、働きやすさを左右する要素のひとつです。次のような視点を持っておくと、日常の中で無理なく向き合えます。

  • お店や職場で外国人スタッフに話しかけるときは、早口や専門用語を避けた「やさしい日本語」を意識する
  • 採用や取引を検討する立場であれば、賃金台帳の整備状況や相談窓口の有無を確認する
  • お住まいの自治体が設けている多文化共生相談窓口や日本語学習支援の情報を一度調べてみる

まずは今日、身近なお店や職場で外国人スタッフと接する場面があれば、いつもより少しゆっくり、やさしい日本語で話しかけてみてください。小さな対応の積み重ねが、統計の数字の裏にある一人ひとりの働きやすさにつながっていきます。

まとめ

外国人労働者数が200万人を超え、技能実習制度から育成就労制度へと枠組みが変わろうとしているいま、数字の変化だけでなく、その裏にある賃金や労務管理の実態にも目を向けることが欠かせません。制度は変わっても、受け入れる側の運用が伴わなければ同じ問題が形を変えて残ってしまいます。

  • 外国人労働者数は2023年10月末時点で200万人を初めて超え、増加傾向が続いている
  • 技能実習制度は低賃金や転職制限が問題視され、2027年をめどに育成就労制度へ移行する
  • 特定技能制度の拡大とあわせ、複数企業がやさしい日本語対応など受け入れ環境の整備を進めている

参考文献

  • 厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」(2024年・https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/index.html)
  • 出入国在留管理庁「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」(2024年・https://www.moj.go.jp/isa/index.html)
  • 公益財団法人国際人材協力機構(JITCO)「技能実習制度について」(2024年・https://www.jitco.or.jp/)

本記事はMIRASUS編集チームが公的資料・企業公式情報をもとに作成しています。統計や制度の詳細は今後見直される可能性があるため、最新情報は各省庁の公式発表もあわせてご確認ください。

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