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省エネ住宅の基準、2025年義務化で何が変わった? 断熱等級とZEHの違いを選び方目線で解説

Photo by Kévin JINER on Unsplash

「省エネ住宅」という言葉は聞いたことがあっても、その基準が具体的に何を指すのかは意外と説明しにくいものです。筆者はふだんフェアトレード商品の選び方などエシカル消費について発信していますが、家づくりの相談を受けるたびに感じるのは「省エネ住宅=なんとなく環境に良さそうな家」という漠然としたイメージで止まっている人が多いということです。2025年4月からは新築住宅にも省エネ基準への適合が原則義務化されており、これから家を建てる人・買う人には無関係ではいられないテーマになりました。この記事では、省エネ住宅の基準がどう決まっているのか、ZEHや長期優良住宅とどう違うのか、そして住宅選びの際に何を確認すればよいのかを、読者が実際に抱きやすい疑問に沿って整理していきます。

省エネ住宅の基準は2025年からどう変わったのか

「うちは大きな家を建てるわけじゃないし、省エネ基準なんて関係ないのでは」と考える方もいるかもしれません。しかし実際には、改正建築物省エネ法により2025年4月1日以降に建築確認を申請する新築住宅・非住宅建築物は、原則としてすべて省エネ基準への適合が義務付けられています。これまでは大規模な建築物を中心に義務化が進み、小規模な住宅は届出や説明義務にとどまっていましたが、この段階的な適用範囲拡大がついに一般の戸建て住宅にも及んだ形です。

ここでいう「省エネ基準」とは、住宅の断熱性能を示す「断熱等性能等級」と、冷暖房や給湯などで使うエネルギー量を示す「一次エネルギー消費量等級」の2つの指標で構成されています。義務化のラインになっているのは、断熱等性能等級4以上・一次エネルギー消費量等級4以上の水準で、これは以前から「次世代省エネ基準」と呼ばれてきたものに相当します。つまり2025年の変化は、まったく新しい基準が生まれたというより、これまで任意だった基準がすべての新築住宅の最低ラインになったという点が本質です。

断熱等級と一次エネルギー消費量等級、結局どちらを見ればいいのか

住宅性能の説明を受けると「断熱等級6です」「一次エネ等級はまだ確認していません」のように、片方の数値しか案内されないケースがあります。よくある誤解として、断熱等級が高ければ省エネ住宅として十分だと思われがちですが、実際には断熱性能(熱の逃げにくさ)と一次エネルギー消費量(設備込みでどれだけエネルギーを使うか)は別の指標です。断熱等級は主に窓や壁の断熱材によるUA値(外皮平均熱貫流率)で評価され、等級1から7まで段階があります。一次エネルギー消費量等級は、断熱性能に加えて給湯器やエアコン、太陽光発電の有無なども含めた設計上のエネルギー消費量(BEI)で評価される仕組みです。どちらか一方だけを確認して「省エネ住宅です」と案内された場合は、もう片方の等級も書面で確認することをおすすめします。

ZEH・長期優良住宅との違いで迷う人が多い

「省エネ基準に適合していればZEHと呼んでいいのか」という質問もよく聞かれます。答えは「いいえ」です。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は、断熱等性能等級5以上・一次エネルギー消費量等級6以上を満たしたうえで、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備を導入し、年間の一次エネルギー消費量を正味でゼロ以下にすることを目指す住宅を指すと資源エネルギー庁の説明で整理されています。義務化された最低基準(等級4)よりも一段階以上高い性能に加えて、創エネ設備の導入までがセットになっている点が大きな違いです。

もう一つ混同されやすいのが長期優良住宅です。長期優良住宅は2022年10月の認定基準改正により、断熱等性能等級5以上・一次エネルギー消費量等級6以上が求められるようになりましたが、これはあくまで省エネ性能の条件の一つに過ぎません。耐震性、劣化対策、維持管理のしやすさ、居住環境への配慮など、長期にわたって良好な状態を保てるかどうかを総合的に審査する制度であり、省エネ性能だけを見る基準ではない点がZEHや単純な省エネ基準適合住宅との違いです。

筆者が住宅相談の場でよく整理して伝えているのは、この3つを「最低ライン」「省エネ性能を高めた住宅」「省エネ以外も含めた総合品質の住宅」という3段階で捉えると分かりやすいということです。義務化された省エネ基準(等級4相当)はスタートラインであり、ZEHはそこから省エネ性能を伸ばして創エネまで踏み込んだ住宅、長期優良住宅は省エネ性能に加えて建物としての長期的な質を担保する住宅、という位置づけで整理すると、営業担当者から提示される複数の認定名に振り回されにくくなります。

補助金や税制優遇は基準によって変わるのか

「どうせ最低基準を満たせば補助金がもらえるのでは」と期待する方もいますが、実際には基準の段階によって使える支援策が変わってくることが多いと報告されています。国は「住宅省エネキャンペーン」として、子育て世帯や若者夫婦世帯を対象に高い省エネ性能の住宅取得を後押しする事業や、断熱窓への改修を支援する事業などを継続的に実施してきました。対象となる補助額や要件は年度ごとに見直されるため、検討時点の最新情報を国土交通省・経済産業省・環境省の公式ページで確認する必要がある点は留意してください〔要確認〕。義務化された最低基準を満たすだけでは対象外となる支援策も多く、ZEHや長期優良住宅など一段上の認定を取得することで初めて補助対象になるケースがある、という構造を知っておくと、住宅会社からの提案を評価しやすくなります。

住宅選びで実際に何を確認すればいいのか

ここまでの内容を踏まえると、次に気になるのは「自分が家を建てる・買うときに、具体的に何を尋ねればいいのか」という実践面です。エシカル消費の分野でも同じことが言えるのですが、「環境に配慮しています」という言葉だけを鵜呑みにせず、根拠となる数値や第三者評価を確認する姿勢が、グリーンウォッシングを避けるうえで欠かせません。住宅の場合も同様で、次のような点を書面ベースで確認することをおすすめします。

  • 断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級を、それぞれ数値(等級・UA値・BEI)で提示してもらう
  • 建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)のラベル取得の有無を確認する
  • ZEHや長期優良住宅を名乗る場合は、認定通知書や第三者機関の評価書の提示を求める
  • 冷暖房費や給湯費の年間シミュレーションを、断熱等級ごとの比較で見せてもらう

特に「等級」という言葉だけが独り歩きしていて、UA値やBEIの具体的な数値が示されない見積もりには注意が必要です。等級はあくまで数値を区分したラベルであり、同じ等級でも窓の仕様や日射の取り方によって実際の暮らしやすさや光熱費は変わってきます。数値そのものを見せてもらう習慣をつけると、住宅会社ごとの説明の丁寧さの違いも見えてきます。

中古住宅や既存住宅の場合はどうなるのか

「今住んでいる家や、購入を検討している中古住宅も義務化の対象になるのか」という疑問もよく寄せられます。2025年4月の義務化はあくまで新築の建築確認申請以降の住宅が対象であり、既存の住宅にさかのぼって適用されるものではありません。ただし、中古住宅を選ぶ際にもBELSのような省エネ性能表示制度を任意で取得している物件であれば、断熱性能を数値で比較できます。断熱性能が低い既存住宅であっても、窓の交換や壁の断熱改修によって等級を引き上げられる場合があり、こうした改修を支援する国の事業も継続的に案内されています。新築だけでなく、リフォームの選択肢としても省エネ基準の考え方は活用できます。

確認漏れが起きやすいのはどんな場面か

住宅の省エネ性能をめぐるやり取りを公開情報の傾向として見ると、確認漏れが起きやすい場面にはいくつかの共通パターンがあると整理できます。一つは、営業担当者の口頭説明にある「省エネ基準クリアです」という言葉を、断熱等級・一次エネ等級のどちらか一方の数値だけで判断してしまうケースです。もう一つは、ZEHという言葉の響きだけで契約を決め、実際にはZEH Oriented(断熱性能は満たすが創エネ設備は未設置)などの派生区分だったと後から気づくケースです。こうした確認漏れは、悪意ある説明というよりも、専門用語が多く整理されないまま話が進んでしまうことが背景にあると考えられます。数値と認定区分をセットで書面確認する習慣を持つことが、こうしたすれ違いを防ぐ一番の近道だといえるでしょう。

今日からできる具体的な一歩として、今検討中の物件やこれから相談する住宅会社があれば、担当者に「この家の断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級は、それぞれ何等級ですか」と数値付きで質問してみてください。口頭での「省エネ住宅です」という返答だけで終わらせず、性能評価書やBELSラベルなど根拠資料の提示を求めることが、基準を正しく理解する第一歩になります。

まとめ

省エネ住宅の基準は、2025年4月の義務化によって「任意で目指すもの」から「新築なら満たして当たり前のもの」へと位置づけが変わりました。断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級という2つの指標を土台に、ZEHや長期優良住宅はそこからさらに性能や総合品質を積み上げた制度だと理解しておくと、住宅会社からの説明を整理しやすくなります。基準の名前だけで安心せず、数値と根拠資料を確認する視点を持ってみてください。

  • 2025年4月から新築住宅は原則すべて省エネ基準(断熱等級4・一次エネ等級4相当)への適合が義務化された
  • ZEHや長期優良住宅は義務化された基準よりも一段高い性能や総合品質を求める別制度であり、義務化ラインと同一視できない
  • 「省エネ住宅です」という説明だけでなく、断熱等級・一次エネ等級の具体的な数値やBELSラベルなど根拠資料を確認することが後悔しない住宅選びにつながる

本記事はMIRASUS編集チームが公的資料・企業公式情報をもとに作成しています。

参考文献

  • 国土交通省「建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律)」(mlit.go.jp)
  • 資源エネルギー庁「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)について」(enecho.meti.go.jp)
  • 国土交通省「長期優良住宅のページ」(mlit.go.jp)

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