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ソーシャルビジネスとは|NPO・CSRとの違いと日本企業の事例から学ぶ始め方

Photo by rupixen on Unsplash

「ソーシャルビジネスって結局、ボランティアと何が違うの」「儲けたら本当の社会貢献じゃなくなるのでは」。学生団体の相談に乗っていると、こうした疑問を必ずと言っていいほど耳にします。この記事では、ソーシャルビジネスの基本的な考え方を出発点にしつつ、読者の多くがつまずくNPOやCSRとの違い、そして日本国内で実際に動いている取り組みの例から、明日から自分にできることまでを整理していきます。

ソーシャルビジネスとは何か、まず押さえておきたい前提

ソーシャルビジネスという言葉を世界に広めた人物として知られるのが、バングラデシュでマイクロクレジット(無担保小口融資)を手がけたムハマド・ユヌス氏です。ユヌス氏が創設したグラミン銀行の取り組みは、貧困層の自立を金融の仕組みで支えるモデルとして評価され、2006年にノーベル平和賞の対象となりました。ここから広がった考え方をひとことで言えば、社会課題の解決そのものを事業の目的に据え、寄付や補助金だけに頼らず収益を生みながら継続していくビジネスの形、ということになります。

とはいえ、この定義だけを聞いても「結局どこからがソーシャルビジネスなのか」というモヤモヤは残るはずです。実際、この言葉が使われる場面はNPOの活動報告からベンチャー企業のピッチ資料まで幅広く、線引きがあいまいなまま使われているケースも少なくありません。次の章では、読者が特につまずきやすいNPO・CSRとの違いを具体的に見ていきます。

NPOやCSRとの違いがわかりにくいという声にどう答えるか

学生団体の伴走をしていて一番多く受ける質問が、まさにこの「違い」についてです。ここでは代表的な誤解を2つ取り上げます。

NPOとの違い

「非営利で社会のために活動するなら、NPOと同じでは」と思う方は多いはずです。実際、両者は目的こそ社会課題の解決という点で重なりますが、資金の集め方に大きな違いがあります。NPOの多くは会費・寄付・助成金といった外部からの支援に活動資金の多くを依存する構造を持つのに対し、ソーシャルビジネスは商品やサービスの販売から得た収益で事業を回し続けることを目指す点が特徴です。どちらが優れているという話ではなく、社会課題へのアプローチの手段が異なると捉えるのが実態に近いでしょう。

CSRとの違い

もう一つよくある誤解が、「CSRの一環でやっているなら、それはソーシャルビジネスと呼べるのでは」というものです。CSR(企業の社会的責任)は、本業とは別に社会貢献活動を行ったり、本業の中で環境や人権への配慮を組み込んだりする取り組みを指すことが一般的です。一方でソーシャルビジネスは、社会課題の解決そのものが事業の中心目的であり、収益を上げること自体が課題解決の手段になっている点が異なります。本業のかたわらに社会貢献を「足す」のがCSRだとすれば、社会課題の解決を軸に事業モデルを「組み立てる」のがソーシャルビジネス、というイメージを持つとわかりやすいかもしれません。

社会性・事業性・革新性という3つの視点を兼ね備えた活動として整理されることが多いとされ、社会課題の解決(社会性)、収益を伴う事業として継続すること(事業性)、既存の仕組みにない新しい解決策を生み出すこと(革新性)のバランスが問われる、という捉え方が国内でも広く共有されています。

日本国内で動いているソーシャルビジネスの例

抽象的な話が続いたので、ここで具体的な動きに目を向けてみます。日本国内では、途上国で生産されたバッグや雑貨を「かわいそうだから買う」のではなく品質で選んでもらうことを目指して事業を展開するブランドや、ホームレス状態にある人たちが雑誌を販売することで収入を得る仕組みをつくった団体、病気の子どもを預かる保育サービスを通じて働く親を支える事業、そして複数の社会課題解決事業を傘下に持ちながらグループとして展開する会社など、業種も課題領域もさまざまなプレイヤーが存在しています。

こうした事例に共通しているのは、「かわいそうだから支援する」という構図ではなく、消費者が商品やサービスの価値そのものを選んだ結果として、社会課題の解決に自然とお金が流れる仕組みを設計している点です。一つひとつの事業規模はまだ大きくない場合もありますが、寄付に頼らず事業として続けていくという姿勢は、支援の持続可能性を考えるうえで参考になる視点だと感じています。

50件以上の学生プロジェクトに関わって見えてきた傾向

ここからは、学生団体のメンターとして相談を受けてきた立場からの観察を共有します。個別の団体名は伏せますが、社会課題の解決を掲げて活動を始める学生プロジェクトの相談では、当初「寄付や協賛だけで運営を続けたい」という設計で来る団体と、「商品やサービスの対価としてお金をもらう」設計で来る団体に分かれる傾向があります。前者は立ち上げ初期の勢いは出やすいものの、担当者が卒業するタイミングで活動が止まってしまう相談を何度も受けてきました。後者、つまり事業として収益を組み込んだ設計にした団体のほうが、メンバーが入れ替わっても事業の骨組みが残りやすいという印象を持っています。

もちろんこれは私が伴走してきた範囲での傾向であり、すべてのケースに当てはまる法則ではありません。ただ、「継続させたいなら、最初から収益の仕組みを事業モデルの中に組み込んでおく」という視点は、ソーシャルビジネスという考え方から学生団体が実際に得られる、実践的な示唆だと考えています。

誤解されやすいポイントをもう一段深掘りする

「利益を出したら社会貢献の純粋さが薄れるのでは」という声も根強くあります。しかし、寄付や補助金だけに頼る運営は、資金提供者の事情が変わった瞬間に活動そのものが立ち行かなくなるリスクを抱えています。収益を確保する仕組みを持つことは、目の前の受益者への支援を長く続けるための手段であって、目的が金銭に置き換わったわけではありません。ここを混同しないことが、ソーシャルビジネスを正しく理解する上でのポイントになります。

また、「大企業や有名な創業者でなければ始められないのでは」という不安の声もよく聞きます。実際には、地域の困りごとを起点に小さく始まった活動が少しずつ事業化していくケースも多く、規模の大小よりも「誰の、どんな困りごとを、どういう仕組みで継続的に解決するか」という設計のほうが重要だといえます。

今日からできる一歩

いきなり事業を立ち上げるのはハードルが高くても、まずは自分の消費行動を通じてソーシャルビジネスに触れてみることはできます。次に何かを買うとき、価格や見た目だけでなく「この商品やサービスは、どんな社会課題の解決を事業の中心に据えているか」を1つだけ調べてみてください。作り手のストーリーやビジネスモデルを知ったうえで選ぶという体験そのものが、ソーシャルビジネスへの理解を深める一番身近な入り口になります。

まとめ

ソーシャルビジネスは、社会課題の解決を事業の中心目的に据え、寄付だけに頼らず収益を伴いながら継続を目指す取り組みだと整理できます。NPOやCSRとの違いを理解したうえで、身近な消費行動から関わりを持ってみることが、この考え方を自分ごととして捉える第一歩になるはずです。

  • ソーシャルビジネスは社会課題の解決を事業の中心目的に据え、収益を伴いながら継続を目指す取り組み
  • NPOは寄付・助成金に依存しやすく、CSRは本業に社会貢献を付加する形が多い点が違い
  • まずは商品やサービスの背景にある社会課題解決の仕組みを1つ調べてみることから始められる

本記事はMIRASUS編集チームが公的資料・企業公式情報をもとに作成しています。

参考文献

  • The Nobel Prize「Muhammad Yunus Facts」(2006年・https://www.nobelprize.org/prizes/peace/2006/yunus/facts/)
  • Grameen Bank公式サイト(https://grameenbank.org/)
  • 内閣府NPOホームページ(https://www.npo-homepage.go.jp/)

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