「持続可能な都市」とは、そこに住む人々の生活の質を高めながら、経済成長を支え、環境への負荷を最小限に抑え、長く続けられるまち作りのことを指します。わかりやすく言えば、今を生きる人が快適に暮らしながら、未来の世代も同じように暮らしていけるまちづくりの仕組みのことです。
持続可能な都市の3つの柱
持続可能な都市は、経済成長を促し、そこに住む人々の基本的なニーズを満たすと同時に、全ての人に持続可能な生活環境を提供するものでなければならず、エコロジー・エコノミクス・政治・文化の四つの領域に渡り、永続的な生活様式を作ることが理想的です。
実際には、大きく3つの側面が重要です。
まず環境面では、エネルギーや水資源を効率的に使い、ごみを減らし、再生可能エネルギーを活用することが求められます。再生可能エネルギーによる電力供給、公共交通機関の充実、廃棄物の循環利用なども、この柱に含まれます。
次に社会面では、老若男女を問わず、すべての住民が快適で心豊かに暮らしていくことが目標です。教育やヘルスケア、公共施設の充実、コミュニティの形成など、人間関係や生活の質を高める施策が必要です。
そして経済面では、その都市に新しい産業や雇用が生まれ、地域経済が活性化し続けることを目指しています。単なる成長ではなく、環境と社会を損なわない形での経済発展を意味しています。
世界が注目する背景
世界の都市の持続可能性は大きな関心事となっており、2012年に国連持続可能な開発会議(リオ+20)が開催され、持続可能な都市も重要な7つの課題の1つとして挙げられました。
これが注目される理由は、都市が抱える課題の大きさにあります。
急速な都市化は、初期には無計画な住宅建設やスラム拡大、基礎インフラと行政サービス不足を生じ、成熟期には高齢化や人口減少とそれに伴う経済力、生活水準低下、過剰インフラやその老朽化といった問題をもたらします。また、都市においては、一次エネルギーの約7割を消費し、温室効果ガスの80%以上を排出し、様々な問題が一定の地域内で連鎖しているのが特徴です。
都市は環境負荷が大きい一方で、世界人口の多くが住む場所でもあるため、ここを改善することが地球全体の持続可能性に直結するのです。
実際の取り組み例
持続可能な都市を実現するための取り組みは、世界中で進んでいます。
松島国際都市は仁川にある計画都市で、環境に配慮した多くの機能を備えており、海水を灌漑した中央公園、地下鉄、自転車専用道路、雨水貯留システム、空気圧式ゴミ収集システムなどが設置されています。
エネルギー面では、多くの都市が再生可能エネルギーへの転換を進めています。
米国バーモント州バーリントンでは、住民の電力がバイオマス、水力、風力、太陽光を組み合わせた多様な再生可能エネルギーでまかなわれており、オーストラリアのアデレードでは2020年7月から自治体運営の電力が全て再生可能エネルギーになりました。
交通面では、公共交通機関の整備が重視されています。
都市内は徒歩や自転車で快適に歩くことができ、都市内や郊外をつなぐ路面電車やバス網が整備されることで、市民の健康に役立つのみならず、環境にも良い影響を与えるとされています。
日本における課題と展望
日本の都市も持続可能性に向けて動き始めています。
日本の都市は、高齢化・人口減少、財政危機といった難しい条件下で持続可能な都市を実現しなければならない一方で、鉄道をはじめとする公共交通網の発達は、持続可能な都市を実現するうえでの優位な点です。
既存のインフラを活かしながら、新しいまちづくりの仕組みを構築していく工夫が求められています。
私たちにできること
持続可能な都市は、行政や企業だけでは実現できません。一人ひとりの行動も大切です。毎日の生活の中で、公共交通機関を利用する、ごみを減らす、地元の産業を支える、地域コミュニティに参加するといった小さな選択が、まちの未来を形作っていきます。また、自分たちが住むまちの課題に目を向け、市民参加やタウンミーティングなどに参加することも、持続可能な都市づくりの第一歩となります。
持続可能な都市は、一朝一夕には実現しませんが、長期的なビジョンを持ち、多くの主体が力を合わせることで、確実に前に進んでいくのです。

