上場企業が温室効果ガス(GHG)の排出量を有価証券報告書で開示することが、いよいよ義務づけられます。サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は「温室効果ガス排出の開示に対する改正」として3つの基準改正を公表しており、2027年1月1日以降に開始する年次報告期間から適用される見込みです。IR・サステナビリティ担当者は、早めの準備が求められています。
SSBJが3つの基準改正を公表|2027年度から順次適用
サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は、「温室効果ガス排出の開示に対する改正」として3つの基準改正を公表しました。適用は2027年1月1日以後に開始する年次報告期間からとなり、2025年12月11日以後に終了する年次報告期間からの早期適用も可能とされています。これにより、対象となる上場企業は有価証券報告書において財務情報と非財務情報の統合開示が求められることになります。金融庁も内閣府令改正を通じてSSBJ基準の義務化や人的資本開示の項目追加を進めており、企業の情報開示のあり方が大きく変わろうとしています。
なお、義務化のスケジュールは段階的に設定されており、まず2027年3月期は時価総額3兆円以上のプライム上場企業を対象に適用が開始され、その後2028年3月期は時価総額1兆円以上、2029年3月期は時価総額5,000億円以上と順次対象が拡大される方向で議論が進んでいます。
改正のポイント|企業が何を開示する必要があるか
SSBJの基準改正では、温室効果ガスの排出量に関する開示が義務づけられます。Scope 1(自社の直接排出)、Scope 2(購入電力に伴う間接排出)に加え、サプライチェーン全体の排出を示すScope 3についても、カテゴリー別に分解した開示が求められます。投資家や取引先が企業の気候リスクを評価しやすくなる一方、開示の準備にはデータ収集や算定方法の整備が必要となり、大企業であっても対応に時間がかかることが想定されています。
企業が取り組むべきこと|スケジュールと準備
2027年度適用ということは、実質的には1年程度の準備期間があるということです。排出量の算定には、エネルギー使用量の把握、サプライヤーからのデータ収集、算定ルールの理解など、複数の工程が必要です。すでにCDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)やGRIスタンダードに沿った開示を行っている企業は、SSBJ基準との整合を図る作業が中心になります。未着手の企業は、まずはScope 1・2の算定から始め、段階的にScope 3へ拡大していくスケジュールを組むことが現実的といえます。
開示がもたらす変化|透明性と競争力
GHG排出の開示義務化は、単なる「ルール遵守」ではありません。開示されるデータを元に、投資家は気候リスクを評価し、融資や投資の判断に反映します。取引先や消費者も、環境対応を選ぶ材料として参照する機会が増えるでしょう。自社の排出を正確に把握し開示することは、脱炭素の進捗を可視化し、中長期的な競争力にもつながる取り組みです。

