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SOCIETY

DVの相談窓口まとめ|電話・チャット・対面で使える支援先と利用手順

Photo by Grant Whitty on Unsplash

内閣府の調査によると、配偶者の暴力を受けながらも被害にあった女性の約4割は「相談するほどのことではない」「自分にも悪いところがある」「自分さえ我慢すればいい」などと考えて、誰にも相談していないと報告されています。相談しない理由として被害の矮小化が大きな壁になっていることがわかります。

しかし、身体への暴力にとどまらず、言葉による精神的な攻撃、性的な強要、経済的な支配、行動の監視といった行為もDV(ドメスティック・バイオレンス)に該当します。「大げさではないか」と感じる状況でも、公的な相談窓口は広く門戸を開いています。この記事では、電話・チャット・対面のそれぞれで利用できる相談窓口を整理し、実際にどう動けばよいかを具体的に説明します。

DV防止法が定める「配偶者暴力」の範囲

「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)」は2001年に施行され、その後複数回の改正を経て適用範囲が拡充されてきました。法律が定める「配偶者からの暴力」には、身体への有形力行使だけでなく、精神的暴力・性的暴力・経済的暴力が含まれます。また、2023年の改正(2024年4月施行)により、婚姻関係にある配偶者だけでなく、生活の本拠を共にする交際相手からの暴力も保護対象に加えられました〔要確認:最新施行状況を公式発表で確認〕。

警察庁の統計〔要確認:最新年度〕によると、配偶者間の暴力事案の認知件数は年々増加傾向にあり、2023年には8万件を超えたとされています〔要確認:警察庁「令和5年における配偶者からの暴力事案等の概況」で数値を照合〕。一方、配偶者暴力相談支援センターへの相談件数は年間およそ10万件前後で推移しているとされ、潜在的な被害者数はさらに多いとみられます。数字はあくまで参考ですが、「自分だけが特別な状況にあるのではない」という事実は、相談を検討する一つの後押しになるかもしれません。

まず知っておきたい3種類の相談窓口

相談窓口は大きく「電話」「オンライン(チャット・メール)」「対面(センター窓口)」の3つに分けられます。どれが合うかは状況によって異なりますが、最初の一歩として電話かチャットを選ぶ人が多いようです。

電話|DV相談ナビ(#8008)

電話|DV相談ナビ(#8008)

「#8008(はれれば)」に電話すると、発信地などの情報から最寄りの相談機関(配偶者暴力相談支援センター)に電話が自動転送され、直接相談できます。 政府広報オンラインによると、匿名でも相談できるとされており、氏名を名乗る必要はありません。通話料は通常の固定電話へかけた場合と同額で、各センターの受付時間内のみ利用できます。 NTTアナログ固定電話またはNTTひかり固定電話の一部地域でつながらないケースがあるため、その場合は都道府県もしくは市区町村の配偶者暴力相談支援センターへ直接問い合わせることが推奨されています。

電話・チャット|DV相談+(プラス)

「DV相談+(プラス)」は、電話番号0120-279-889(つなぐはやく)で24時間受付しており、チャットでの相談にも対応しています。また外国語(10か国語)に対応しています。 日本語が母語でない方も利用でき、電話番号は語呂合わせで覚えやすくなっています。

対面|配偶者暴力相談支援センター

全国の都道府県に設置されている配偶者暴力相談支援センターでは、対面による相談・カウンセリング、一時保護の調整、法的手続きの情報提供などを行っています。 都道府県によっては女性相談支援センターのほかに男女共同参画センター、福祉事務所などを配偶者暴力相談支援センターに指定しているところもあります。事前に電話で連絡した上で、相談等に行くことをお勧めします。

「DVかどうかわからない」と感じるとき|見えにくい暴力のパターン

フェアトレードや社会的公正のテーマを扱ってきた立場から感じるのは、DVの問題も「力の不均衡」という構造的な側面が大きいということです。身体的な傷跡が残らない形の暴力——たとえば金銭の管理を完全に相手に握られている、外出や交友関係を制限される、子どもを盾に要求を飲まされる——は、当事者自身が「これは暴力だ」と認識しにくい傾向があります。

公開されている相談傾向を整理すると、次のようなパターンがよく語られます。

  • 「怒鳴られたり、物を投げられたりするが、叩かれたわけではないのでDVとは言えないと思っていた」
  • 「生活費をほとんど渡してもらえず、自分の収入もコントロールされている」
  • 「子どもの前で激しく罵倒される。子どもへの影響が心配で動けない」
  • 「相手がSNSやスマートフォンを常時監視しており、外出もひとりではできない」

こうした状況は、DV防止法が定める「精神的暴力」「経済的暴力」「社会的暴力」に該当しうるものです。「身体への暴力がなければDVではない」という思い込みは、相談の妨げになることがあります。

男性・外国人・LGBTQ+の被害者が使える相談先

DV被害は女性に限らず、男性や性的マイノリティの当事者も経験しています。内閣府の「男女間における暴力に関する調査」(2021年)では、男性被害者も一定数いることが示されており、相談窓口の多くは性別を問わず利用できることが明示されています。ただし、実態として男性向けの対面支援の選択肢は女性向けに比べて少ない地域もあるのが現状です。

男性向け相談

DV相談ナビ(#8008)とDV相談+(プラス)はいずれも性別を問わず相談を受け付けています。また、法務省が運営する「みんなの人権110番」(0570-003-110)では、DVを含む人権侵害一般の相談に対応しています。男性であることを恥と感じず、選択肢として知っておくだけでも違います。

外国籍の方・日本語が得意でない方向け

DV相談+(プラス)は10か国語以上の外国語に対応しており、英語・中国語・韓国語・タガログ語・ポルトガル語・スペイン語などに対応しているとされています〔要確認:対応言語の最新一覧は内閣府公式サイトで照合〕。また、法務省の「外国語人権相談ダイヤル」(0570-090-911)でも多言語相談が可能です。

LGBTQ+の当事者向け

同性パートナーや性的マイノリティの当事者が受けるDVについては、公的支援の整備が十分でない地域もあります。民間支援団体(NPO法人ReBit、LGBT法連合会など)が相談窓口や当事者ネットワークを設けているケースがあるため、自治体の窓口と並行して探してみることが選択肢のひとつです。

相談から保護・支援までの大まかな流れ

「相談した後、何が起きるのか」が見えないと、連絡することをためらってしまいます。ここでは一般的な流れを整理します。

ステップ1|まず相談(電話・チャット)

電話やチャットで状況を話すことが最初の一歩です。この段階では、「相談した=何かが決まる・動く」わけではありません。どう感じているか、今どんな状況にあるかを話すだけでも構いません。相談員は守秘義務があり、本人の同意なく情報が外部に共有されることはありません(緊急性が高い場合や法律で定められた場合を除く)。

ステップ2|必要に応じて対面相談・支援コーディネート

電話相談のあとに対面相談を希望する場合、配偶者暴力相談支援センターや女性相談支援センターが同席や面談の場を設けます。法律に基づく支援として、一時保護(シェルターへの入所)、住居確保の支援、就労支援、裁判所への接近禁止命令(保護命令)の申立てへの情報提供などが用意されています。

ステップ3|保護命令・警察への相談

身の危険を感じる場合は、警察への110番通報や最寄りの警察署への相談も有効です。警察は「生活安全課」の担当者がDV相談に応じており、緊急時には被害者の保護措置を取ることができます。また、裁判所に申立てを行うことで接近禁止命令(保護命令)が発令されることもあります。「決定的な証拠がなければ申立てできない」と思い込まず、まずは法テラス(0570-078374)や弁護士に確認することをお勧めします〔要確認:最新の裁判所実務については法テラス公式サイトで照合〕。

相談前に知っておきたい4つの準備

「今すぐ相談できる状況ではないが、いざというときに動けるよう備えたい」という声も多くあります。緊急でない段階でできる準備として、次の点が参考になります。

  • 記録を残す:暴力があった日時・状況・身体的なけがの写真など。メモでも有効とされています。
  • 緊急連絡先を確認しておく:#8008・0120-279-889・近くの警察署の番号をメモや端末に保存しておく。
  • 重要書類の場所を把握する:通帳・印鑑・マイナンバーカード・パスポートの保管場所を確認しておく。
  • 信頼できる人に話しておく:家族・友人・職場の同僚など、いざというときに連絡できる人を1人決めておく。

相談窓口に連絡するか迷っている状況でも、こうした準備はハードルが低く、動きやすい一歩になります。

「誰にも言えなかった」を解きほぐす視点

エシカル消費や社会的公正を扱うメディアとして、DVの問題を取り上げる際に欠かせないのが「構造」の視点です。DV被害の多くは、経済的依存・社会的孤立・「家庭内のことは外に出さない」という規範意識が複合して、被害者が動けない状況をつくり出しています。これは個人の弱さではなく、社会的な構造の問題です。

配偶者からの暴力の被害者の多くは女性です。その背景には女性を男性より低く見る意識、男女の固定的な役割分担意識、経済力の格差等があり、構造的な社会問題でもあるとされています。内閣府の調査(2021年)では、暴力を受けながら誰にも相談しなかった女性の理由として「相談するほどのことではない」が最多で、「自分にも悪いところがある」「自分さえ我慢すればいい」も上位にあったと報告されています。こうした自己否定・自己責任化は、長期的なDV被害の中で形成されやすい認知のゆがみとして支援者の間でも認識されており、「相談しないのは当事者の問題」ではありません。

また、加害者が「外では穏やかな人」である場合、被害者が「信じてもらえないかもしれない」と感じて相談をためらうケースも少なくありません。相談窓口の支援者はこうした状況に慣れており、証拠の有無よりも「今どういう状況にあるか」を聞くことが相談の入口になっています。

DV相談・支援に関わる社会課題については、ジェンダー平等や不平等の解消という大きなテーマとも重なります。

今日からできる1アクション

今すぐ相談が必要な状況でなくても、「#8008」と「0120-279-889」の2つの番号を、スマートフォンの連絡先に登録しておいてください。万が一のときに番号を調べる時間が省けるだけでなく、「自分には選択肢がある」という感覚が、いざというときの行動につながります。自分のためでも、身近な人のためでも、知っておいて損はありません。

まとめ|DV相談窓口は今日から使える

DV被害は身体的な傷跡がなくても存在し、相談窓口はその状況に広く対応しています。電話・チャット・対面のいずれの方法でも相談でき、匿名での問い合わせも可能です。

  • DV防止法は身体的暴力だけでなく、精神的・経済的・性的暴力を含む(2024年改正で交際相手も対象拡大)
  • #8008(DV相談ナビ)は最寄りのセンターに自動転送、0120-279-889(DV相談+)は24時間・多言語対応
  • 男性・外国籍・LGBTQ+当事者も相談できる窓口があり、性別・国籍を問わず門戸は開かれている
  • 相談しても「即座に何かが決まる」わけではなく、話を聞いてもらうだけでも構わない
  • 記録・緊急連絡先・重要書類の場所把握など、緊急でない段階からできる準備がある

格差や社会的孤立の問題と深く関わるDV支援について、さらに広い文脈で関心をお持ちの方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。

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