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シェアハウスは環境にやさしい?入居前に見たい6つの確認点

Photo by Sandra on Unsplash

「シェアハウスは、ひとり暮らしより環境負荷が小さいのでは」と考えて住まい探しを始める人は少なくありません。冷蔵庫や洗濯機、給湯器を複数人で使えば、その分だけ資源やエネルギーが節約できそうに見えるからです。ただ、結論を先に言うと、シェアハウスだから自動的にエコになるわけではありません。物件の断熱性能、光熱費の分担ルール、入居者の入れ替わりといった条件で、結果は変わります。

この記事では、総務省統計局などの公開統計で世帯の姿と空き家の現状を確認します。そのうえで、環境負荷が下がりやすい場面と下がりにくい場面を切り分け、内見や入居前に確かめたい6つのポイントを紹介します。

この記事で学べること

  • シェアハウスが環境面で語られる背景を、国勢調査と住宅・土地統計調査の数字で確認できる
  • 環境負荷が下がりやすい場面と、下がりにくい場面の違いが分かる
  • 公開情報で見かける共同生活の悩みを、3つのパターンで把握できる
  • 内見や入居前に確認したい6つのポイントを、そのまま持ち出せる

シェアハウスが環境面で語られる背景|小さくなる世帯と増える空き家

シェアハウスと環境の話が結びつくのは、日本の住まいの姿が変わってきたからです。数字で見ると、この結びつきの根拠と限界の両方が分かります。

総務省統計局の2020年国勢調査では、一般世帯の平均世帯人員は2.21人、単独世帯は全体の38.0%でした。同じ住宅に住む人数が減ると、冷蔵庫・洗濯機・給湯器・通信機器といった「世帯ごとに1セット必要な設備」が、人数のわりに多く必要になります。これが、住まいを共有する発想が環境面で語られる土台です。

世帯の小規模化と家庭のエネルギー使用

環境省は「家庭部門のCO2排出実態統計調査」で、世帯人数や住宅の種類ごとのエネルギー消費やCO2排出量を公表しています。世帯人数が少ないほど、1人あたりのエネルギー消費やCO2排出量は多くなりやすいと報告されています。調理や給湯、暖房といった生活の基盤部分は、人数に比例して増えるわけではないためです。

ここから「シェアハウスなら必ず1人あたりの排出量が下がる」とは言えません。共同生活では、共用部の照明や空調が長時間つくことがあります。入居者ごとに生活時間帯が違えば、冷暖房が止まる時間も短くなります。統計が示すのは、世帯の規模と1人あたりの使用量に傾向がある、というところまでです。

空き家の活用という日本ならではの文脈

もうひとつの背景が空き家です。総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査(2023年)では、全国の空き家は約900万戸、住宅全体に占める割合は13.8%で、いずれも過去最多とされています。

使われていない住宅を改装して住まいとして再生すれば、新しく建てる場合に比べて建材の新規調達や建設時の排出を抑えられる可能性があります。実際に、戸建てや社宅、寮などを転用したシェアハウスは各地にあります。ただし、築年数の古い建物は断熱性能が低いことも多いです。再生か新築かだけでなく、改修の内容まで見る必要があります。

環境負荷が下がりやすい場面と、下がりにくい場面

環境面の評価は、共有する「もの」と「使い方」の両方で決まります。下がりやすい条件と、そうでない条件を並べて見てみます。

シェアハウスの環境メリットは、設備や物の重複が減ることから生まれます。逆に、個室ごとに設備が増える、人の入れ替わりで物が増える、といった条件が重なると、メリットは小さくなります。

下がりやすいのは設備や物を重ねて持たない場面

次のような点は、共同生活で環境負荷が下がりやすいと考えられます。

  • 冷蔵庫・洗濯機・電子レンジを共用し、台数を増やさない
  • 掃除機・調理器具・工具など、使用頻度の低い物を共有する
  • リビングに集まる時間が長く、個室の暖房を使う時間が短い
  • まとめ買いや食材のシェアで、食品ロスを減らせる

特に食品は、ひとり暮らしだと使い切れず傷ませてしまうことがあります。複数人で食材を回せば、買いすぎや廃棄を減らしやすくなります。調理を持ち回りにすれば、調理にかかるエネルギーも集約できます。

下がりにくいのは個別化が進む場面

一方で、次のような条件では、共有の利点が薄れます。

  • 個室ごとにエアコンや電気ヒーターを使い、リビングは誰もいないのに点灯している
  • 入居者の入れ替わりのたびに、家具や家電が買い足される
  • 断熱が弱く、暖房や冷房の効きが悪い
  • 通勤や通学で、自家用車の利用が増える立地にある

共有することが目的になると、設備の数だけが増えることもあります。「共用だから節約になっている」と思い込まず、実際の使い方を見る視点が欠かせません。

公開情報で見かける共同生活の悩み|3つのパターンに整理できる

シェアハウスの運営会社の説明ページや、入居体験を紹介する公開情報を見ると、環境や省エネに関わる悩みには似た型があります。統計調査ではなく公開情報の傾向ですが、物件選びの観点としては役立ちます。

ここでは3つのパターンに整理します。個人や特定の物件を指すものではなく、よく見られる論点を一般化したものです。

光熱費の分担ルールが省エネ意欲を左右する

定額制の物件では、使用量が増えても自分の負担は変わらないため、節約の動機が働きにくいという声があります。実費を人数で割る方式では、使いすぎた月の請求が上がるので、全員が意識しやすくなります。一方で、実費方式は使用量の多い人と少ない人で不公平感が出ることもあります。

どちらが環境に良いと一概には言えません。大切なのは、使用量が見える仕組みがあるかどうかです。月ごとの電気・ガス・水道の使用量を入居者が確認できる物件は、省エネの話し合いがしやすくなります。

ごみの分別や出し方のずれ

ごみの分別ルールは自治体ごとに違います。入居者の出身地域が異なると、「前に住んでいた所では資源だった」といったずれが起きやすくなります。管理会社が分別表を掲示しているか、入居時に説明があるかで、混入や出し間違いの頻度は変わると考えられます。

ごみ置き場の整理や回収日の管理は、共同生活では誰かの善意に頼りがちです。持ち回りの当番表があるなど、仕組みで回っているかを確かめておくと安心です。

共用家電の使い方と手入れ

共用の洗濯機や冷蔵庫は、使う人が多い分だけ、フィルター掃除や霜取りが後回しになりやすい設備です。手入れが不十分だと、効率が落ちて電力消費が増えることがあります。

設備の担当者や清掃のルールが決まっているか、故障時に管理会社が対応してくれるかは、環境面でも確認する価値があります。

内見・入居前に見たい6つの確認点

ここからは、物件を探す際に役立つ確認点を6つ紹介します。完璧に満たす物件を探す必要はありません。気になる点を内見時に質問し、納得できるかどうかを基準にしてください。

環境面の確認といっても、特別な知識は要りません。建物・お金・ルール・暮らし方の4方向から見れば、おおよそ実態をつかめます。

1. 断熱と窓の仕様

築年数に加えて、窓が二重か、サッシの種類は何か、リビングの隙間風はないかを確かめましょう。冬に暖房を入れても部屋が暖まらない物件では、エネルギーの使用量が増えやすくなります。窓際に立ったときの冷気や、カーテンの厚さも判断材料になります。

2. 給湯器の種類とシャワーの数

給湯は家庭のエネルギー使用の大きな部分を占めます。給湯器の種類や、同時にお湯を使える人数、湯船を使う習慣があるかを聞いてみましょう。入居者数に対してシャワーが極端に少ないと、待ち時間が長くなり、生活リズムにも影響します。

3. 光熱費の請求方式と見える化

定額か実費か、定額の場合は上限があるかを確認します。そのうえで、月ごとの使用量を入居者が確認できるかを聞いておくと、省エネの意識を保ちやすくなります。

4. 共用部のルール

共用部の消灯、エアコンの設定温度、ごみ分別、洗濯の曜日といった決まりがあるかを見ます。ルールが多すぎる必要はなく、「困ったときに話し合う場がある」ことのほうが重要です。ハウスミーティングの頻度などを聞いてみてください。

5. 備え付けの家具・家電の状態

家具・家電付きの物件は、新たに買い足す必要がなく、物の総量を抑えられる利点があります。ただし、製造から年数が経った冷蔵庫やエアコンは、電力消費が大きい場合があります。年式や、故障時の対応を聞いておくと、後の負担を減らせます。

6. 通勤・通学の手段と立地

駅までの距離や、自転車・徒歩で移動できる範囲も、暮らし全体の環境負荷に関わります。住まいで省エネできても、移動で自家用車を多用すれば、効果が薄れることがあります。生活動線全体で考えるのが現実的です。

今日から試せる1アクション|「いまの暮らしで共有できる物」を1つ書き出す

シェアハウスに住むかどうかを決める前に、いまの住まいで試せることがあります。それは、家の中で「使用頻度が低いのに、自分専用で持っているもの」を1つ書き出すことです。

たとえば、掃除機、ホットプレート、工具、スーツケースなどが候補です。友人や家族と共有できるか、レンタルやシェアサービスで代えられないかを考えます。この作業で、自分が「共有に向く物」と「手元に置きたい物」をどう分けているかが見えてきます。

この感覚は、シェアハウスを選ぶときにも役立ちます。何を共有し、何を個人で持ちたいかが分かると、物件の設備や雰囲気が自分に合うかを判断しやすくなります。まず1つだけ書き出してみてください。

共有やものの持ち方を、暮らしの消費全体から考え直したい方には、エシカル消費を扱った次の記事も参考になります。

まとめ

世帯が小さくなり、空き家が増えている日本では、住まいを共有する発想には一定の合理性があります。環境省の家庭CO2統計では、世帯人数が少ないほど1人あたりの排出が多くなる傾向が報告されており、設備や物を重ねて持たない暮らしは、資源の使い方を見直すきっかけになります。

ただし、シェアハウスであること自体が環境配慮の証拠にはなりません。断熱の弱い建物、個室ごとの冷暖房、入居者の入れ替わりでの買い替えなどが重なると、メリットは小さくなります。大切なのは、光熱費の見える化、ごみのルール、設備の手入れが仕組みとして回っているかを、入居前に確かめることです。

自分に合う物件かどうかは、環境面だけでは決まりません。生活リズムや人との距離感も含めて、納得できる条件を探してみてください。

  • 平均世帯人員は2.21人、単独世帯は38.0%という数字が、住まいの共有を考える背景にある
  • 設備や物を重ねて持たない場面では環境負荷が下がりやすいが、個別化が進むと効果は薄れる
  • 光熱費の見える化・ごみのルール・共用家電の手入れが、共同生活の省エネを支える
  • 内見では、断熱、給湯、請求方式、共用ルール、備え付け家電、立地の6点を確かめる

参考文献

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