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ENVIRONMENT

梱包の環境配慮は何から始める?箱・緩衝材・テープの判断基準

Photo by Stefan on Unsplash

企業のサステナビリティ報告を読んでいると、包装や梱包に関する記述は、環境データの中で目立ちにくい位置に置かれがちです。CO2排出量や再エネ比率に比べると地味な項目です。ただ、通販を使う人も、フリマアプリで荷物を送る人も、小さなショップを運営する人も、梱包は避けて通れません。

梱包の環境配慮は「紙にすれば正解」「減らせば正解」と言い切れる分野ではありません。守る力を落とせば破損や再発送が起き、かえって資源を無駄にします。この記事では、日本の制度での梱包の位置づけと、箱・緩衝材・テープを選ぶときの判断基準を整理します。読み終えたときに「次の発送で何を変えるか」を1つ決められる状態を目指します。

この記事で学べること

  • 梱包の環境配慮で、最初に見るべき3つの視点
  • 容器包装リサイクル法など、日本の制度での梱包の位置づけ
  • 箱のサイズ・緩衝材・テープを選ぶときの具体的な判断基準
  • 環境配慮のつもりが逆効果になりやすい3つのパターン

梱包の環境配慮で最初に押さえたい視点

梱包の環境配慮と聞くと、プラスチックを紙に替える話だと思われがちです。素材の置き換えは選択肢の1つにすぎません。出発点にしたいのは「中身を無事に届けるために、必要な資源を必要な分だけ使う」という考え方です。

梱包は「守る」ための資源である

梱包材の役目は、輸送中の衝撃・湿気・圧力から中身を守ることです。目的が守ることである以上、減らすことそのものがゴールにはなりません。

商品が壊れて届けば、新しい商品の製造、再発送の輸送、壊れた商品の廃棄まで、一連の環境負荷が余計に発生します。梱包を軽くしすぎて破損率が上がれば、環境面では逆効果になりえます。環境配慮の第一条件は、まず「壊れない」ことです。

負荷は箱だけでなく「輸送」にも表れる

箱が大きすぎると、荷物1個あたりの体積が増えます。同じトラックに積める荷物の数が減り、運ぶ回数が増える方向に働きます。空間の多い箱に緩衝材を大量に詰めている状態は、資源を二重に使っているともいえます。

ですから、梱包の環境配慮は素材選びだけで考えません。サイズ、重さ、積みやすさまで含めて見るのが基本です。中身にぴったり合った箱を選ぶことは、緩衝材の量を減らすことにも、輸送の効率を上げることにもつながります。

見るべき3つの視点

実務では、次の3点に分けて考えると判断しやすくなります。

  1. 量を見直す(箱のサイズ、緩衝材の量、外装の重ね包み)
  2. 素材を見直す(分別しやすさ、再生しやすさ、単一素材かどうか)
  3. 次の使い道を見直す(再利用、回収、受け取った人の処分のしやすさ)

この順番にも意味があります。量を減らすのが最も確実で、素材を替えるのはその次です。素材を替えても、使う量が増えれば効果は薄れます。

日本の制度で見る、梱包の位置づけ

梱包の環境配慮は個人の心がけだけの話ではありません。日本には、容器包装にかかわる事業者の責任を定めた法制度があります。制度の骨格を知っておくと、企業の開示を読むときにも役立ちます。

容器包装リサイクル法の基本的な考え方

容器包装リサイクル法は、家庭ごみの中で大きな割合を占める容器や包装を、分別収集して再商品化する仕組みを定めた法律です。環境省が制度の概要を公開しています。自治体が分別収集を担い、容器包装を利用して商品を販売する事業者や、容器包装を製造・輸入する事業者が、再商品化の義務を負う構図です。

つまり、梱包に使う資材は、事業者にとっては「法律上の責任を伴う資源」です。

ただし、すべての梱包材が同じ扱いではありません。たとえば段ボールは、古紙として市場で取引される仕組みがすでにあります。そのため、指定法人を通じた再商品化義務の対象とは別の整理がされています。一定規模以下の事業者は義務の対象外とされるなど、細かな条件もあります。実際の適用は事業の形態によって変わるので、自社が該当するかは環境省や所管の窓口の最新情報で確認してください。

プラスチック資源循環法との違い

2022年4月1日には、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進法)が施行されました。この法律が正面から対象にしているのは、無償で提供されることが多いワンウェイのスプーンやフォークなど、特定のプラスチック製品です。環境省のポータルサイトに概要が載っています。

梱包材そのものは、主に容器包装リサイクル法の側で扱われます。ただ、プラスチックの使用量を減らし、できるだけ再生しやすい設計にするという方向性は、梱包材の選び方にも通じます。

発送する側も当事者になる

ECサイトの運営者だけでなく、個人で荷物を送る人も、梱包材の選び方で資源の使われ方に関わっています。フリマアプリでの発送は、個人が小さな発送事業者になる行為です。毎回の選択は小さくても、日本全体の荷物の数は膨大です。選び方の積み重ねが、廃棄される梱包材の量に響きます。

箱・緩衝材・テープを選ぶ具体的な判断基準

ここからは実践の話です。専門的な設備がなくても使える、判断の軸をまとめます。

箱のサイズを合わせる

最初に見直したいのは箱のサイズです。目安は、中身を入れたときに、緩衝材を入れる余白が必要最小限になることです。

確認する手順は次のとおりです。

  1. 中身を測り、縦・横・高さに余裕を足して箱を選ぶ
  2. 空きスペースが大きいときは、1サイズ小さい箱で入るか試す
  3. 薄い物は、箱ではなく薄型の専用資材や封筒型で足りるかを確認する

宅配事業者の多くは、薄型や小型の荷物向けの専用資材と料金区分を用意しています。料金体系が小さな荷物に有利なことも多いため、サイズを見直すことは費用面でもメリットがあります。環境配慮を、コスト削減と同じ方向で進められる場面です。

緩衝材は「入れすぎない」「分けやすい」で選ぶ

緩衝材には、紙製(クラフト紙を丸めたものや紙パッド)、再生段ボールの切れ端、気泡緩衝材、発泡素材などがあります。どれが優れているかは、中身の壊れやすさと重さで変わります。

判断の軸は2つです。1つ目は、必要な保護力を満たすかどうか。2つ目は、受け取った人が分別しやすいかどうかです。

紙製の緩衝材は、段ボールと一緒に古紙として出しやすい利点があります。一方、重い精密機器や割れ物では、保護力で気泡緩衝材のほうが適する場面もあります。「紙だから必ず環境によい」とは言えません。破損のリスクと照らして選んでください。

テープ・ラベルは素材をそろえる

見落とされやすいのがテープです。古紙として出すときは、粘着テープを剥がすよう案内する自治体もあれば、そのまま出せるとする自治体もあります。ルールは地域で異なるため、受け取る側の自治体の案内を確認するのが確実です。

選ぶ側としては、貼る量を減らすことが最も手堅い工夫です。1か所を何重にも貼らず、必要な箇所に必要な分だけ貼ります。紙製のテープなら、箱と同じ紙素材として扱いやすくなります。

再利用できる梱包を考える

届いた段ボール箱を、別の荷物の発送に再利用する方法もあります。再利用は、新しい資源を使わずに済むので、環境面では効果の高い行動です。

ただし、再利用箱は強度が落ちていることがあります。角のつぶれや湿気を受けた箱は避け、重い荷物には新しい箱を使うといった線引きは必要です。古い送り状は剥がすか、上から完全に隠します。誤配送を防ぐためです。受け取る人が不快に感じない状態かどうかも、あわせて確認してください。

つまずきやすい3つのパターン

ここでは、梱包の環境配慮でつまずきやすい点を、3つのパターンに整理します。

素材だけ替えて、破損が増える

よくあるのが、プラスチック緩衝材を紙に替えたものの、保護力が足りず破損が増える例です。保護力を確かめないまま替えると、前に書いたとおり、破損による再発送と廃棄で負荷が膨らみます。

素材を替えるときは、いきなり全数を切り替えません。まず少数で試し、壊れ方を確認してから広げます。

複数の素材が貼り合わさっている

紙とプラスチックが貼り合わさった資材は、見た目は紙でも、リサイクルの段階で分けにくいことがあります。「紙っぽい見た目」と「紙として再生できること」は別の話です。

梱包材を選ぶときは、できるだけ単一素材のものを優先します。素材の表示や、事業者の案内で分別方法を確認してください。

「バイオマス」「生分解」の表示を読み違える

バイオマス素材や生分解性をうたう資材もあります。ただ、それが環境負荷の低さにそのままつながるわけではありません。バイオマス由来のプラスチックでも、使い捨てなら資源の使い方は変わらないことがあります。生分解性は、特定の条件下で分解するという意味で、家庭ごみや自然環境でそのまま分解されるとは限りません。

根拠のない「環境にやさしい」という表現を、そのまま受け取らないことが大切です。事業者側は、何がどの条件で減るのかを具体的に示す責任があります。購入する側も、表示の意味を確認する習慣を持つと判断を誤りにくくなります。

次の発送で試せる1アクション

ここまでの内容を、1つの行動に絞ります。次に荷物を送るときに、箱に中身を入れた状態で、空きスペースを確認してみてください。

隙間が手のひら1枚分以上あるなら、1サイズ小さい箱が使えないか、探してみましょう。見つからなければ、緩衝材を入れる量を少し減らして、軽く振って中身が動かないか確かめます。動かなければ、それで十分です。

大がかりな準備はいりません。箱と緩衝材の量を見直すだけで、資源の使い方は変わります。1回でも続けてみると、自分の荷物に合った梱包のかたちが見えてきます。

まとめ

梱包の環境配慮は、素材の置き換えだけで決まる話ではありません。「中身を無事に届ける」ことを前提に、量・素材・次の使い道の順で見直すのが基本です。破損すれば、新たな製造や再発送につながり、環境面でも逆効果になります。

日本には、容器包装リサイクル法のように、事業者の責任を定めた制度があります。段ボールなど資材の種類によって扱いが異なる点にも、注意が必要です。バイオマスや生分解といった表示は、意味と条件を確認してから判断してください。

まずは次の発送で、箱の空きスペースを1つ確かめてみてください。小さな見直しでも、続けることで資源の使い方が変わっていきます。

  • 梱包の環境配慮は「守ること」を前提に、量・素材・次の使い道の順で見直す
  • 箱のサイズを中身に合わせると、緩衝材と輸送の無駄を同時に減らせる
  • 紙だから必ずよいとは限らず、中身の壊れやすさと分別のしやすさで選ぶ
  • バイオマス・生分解の表示は、意味と条件を確かめてから判断する

参考文献

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