公式LINEアカウントでも絶賛配信中!

友だち追加
ENVIRONMENT

廃棄物発電の日本の現状|415施設・年間10,448GWhの実力と課題

Photo by Dimitar Yanchev on Unsplash

「ごみを燃やして電気をつくる」と聞くと、環境にいいのか、それとも燃やすこと自体が問題なのか、迷う方は多いのではないでしょうか。結論から言うと、日本の廃棄物発電は「焼却せざるを得ないごみのエネルギーを捨てずに使う」仕組みとして広がっています。一方で、ごみを増やしてまで発電する発想とは相容れません。

環境省が2026年3月に公表した最新の調査(令和6年度分)では、日本のごみ焼却施設991施設のうち415施設が発電設備を持ち、年間の総発電電力量は10,448GWhでした。この記事では、この数字を過去の調査と並べて、日本の廃棄物発電がどこまで来て、何が課題なのかを整理します。

この記事で学べること

  • 日本のごみ焼却施設で発電している施設の数と、年間の発電電力量
  • 5年ほどの推移から見える「施設は減っても発電は続く」という傾向
  • 「CO2は出ないのか」「発電効率は低いのでは」といったよくある疑問への答え
  • お住まいの地域の施設を調べる具体的な手順

日本の廃棄物発電はどこまで進んでいるのか

まず、現在地を公的な統計で確認します。「ごみ発電が増えている」という印象だけで語られがちなので、数字で見ておきましょう。

令和6年度の最新データ

環境省が2026年3月27日に公表した「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和6年度)」によると、全国のごみ焼却施設は991施設で、前年度より1.3%減っています。このうち発電設備を持つ施設は415施設で、全体の41.9%にあたります。

総発電能力は2,289MWで前年度比2.6%増、総発電電力量は10,448GWhで前年度比1.9%増でした。環境省はこの電力量を、約267万世帯分の年間電力使用量に相当すると示しています。同じ年度のごみ総排出量は3,811万トン、最終処分量(埋立処分される量)は306万トンです。

5年の推移を並べてみる

「実際には増えているのか、横ばいなのか」と気になる方のために、環境省が公表している過去の調査と並べてみます。

令和2年度は、発電設備を持つ施設が387施設(36.6%)、総発電電力量が10,153GWhでした。令和6年度は415施設(41.9%)、10,448GWhです。発電する施設の数と割合は着実に増えましたが、発電電力量そのものは大きくは伸びていません。令和3年度の10,452GWhと令和6年度の10,448GWhを見比べると、ほぼ同水準です。

ここから読み取れるのは、「発電の裾野は広がったが、燃やすごみの量が減っているため、電力量は頭打ちに近い」という構図です。これは公表された数値を並べた筆者の読み方であり、公式見解ではない点にご注意ください。

国全体のエネルギーの中ではどんな位置づけか

廃棄物発電は、太陽光や風力のように設備を増やせば発電量が伸びる電源ではありません。燃やすごみがあってはじめて成り立つため、ごみの量に左右されます。日本の電力供給全体から見れば大きな割合ではなく、ごみ処理に付随して生まれる電気という性格が強いと言えます。

その分、天候に左右されにくく、ごみが毎日出る限り安定して発電できるという特徴があります。地域の電力を下支えする役割と、ごみ処理の副産物を活かす役割の両面があります。

「ごみを燃やして発電」は本当にエコなのか|よくある疑問に答える

ここからは、読者の方から出やすい疑問を順に取り上げます。

疑問1 そもそも、なぜごみで発電できるのですか

日本ではごみの約8割が焼却処理されています。焼却炉の熱でボイラーの水を蒸気に変え、その蒸気でタービンを回して発電します。火力発電と同じ原理です。

ポイントは、発電のためにごみを燃やしているのではなく、衛生面や埋立地の確保のために燃やさざるを得ないごみの熱を使っているということです。熱を捨てずに電気や温水として使うのが、廃棄物発電の基本的な考え方です。

疑問2 燃やせばCO2が出るのでは

出ます。ここは誤解のないようにお伝えしたい点です。ごみを燃やせばCO2が発生し、廃棄物発電もその例外ではありません。

ただし、ごみの中身によって扱いが変わります。紙や生ごみなど植物由来のものは、燃やしてもカーボンニュートラルとみなされます。一方、プラスチックなど化石由来のものを燃やした分は、温室効果ガスの排出としてカウントされます。固定価格買取制度(FIT)では、ごみ質の分析結果から再エネとみなすバイオマスの比率を算定し、その比率は約33%が想定されているとされています。

つまり、廃棄物発電は「全量が再生可能エネルギー」というわけではありません。グリーンな電気と言い切るのではなく、「埋め立てや単純焼却よりエネルギーを有効に使える処理方法」と受け止めるのが正確です。

疑問3 発電効率は低いと聞きますが

火力発電所と比べると、ごみ焼却は燃料の質が一定でなく、発電効率は高くしにくい面があります。国もこの点を課題と捉えています。廃棄物処理施設整備計画(令和5年6月30日閣議決定)では、計画期間中に整備されるごみ焼却施設の発電効率の平均値を、20%から22%へ引き上げる目標が掲げられているとされています。

後押しとして、環境省は高効率なごみ発電設備などを導入する事業を交付金で支援しており、条件を満たす場合の交付率は最大2分の1です。発電だけでなく、周辺施設へ電気や熱を供給する「地域エネルギーセンター」としての役割も期待されています。

日本の廃棄物発電が抱える3つの課題

数字を見るかぎり順調に見えますが、課題も見えてきます。

ごみが減ると、発電量も減る

ごみ総排出量は令和6年度で前年度比2.2%減、1人1日あたりの排出量は839グラムで1.5%減でした。ごみの減量は環境面では望ましい成果ですが、廃棄物発電の側から見ると燃料が減ることを意味します。

廃棄物発電は「ごみを減らす」目標と一部で緊張関係にあります。発電量を維持するためにごみを確保する発想は本末転倒です。3R(発生抑制・再使用・再生利用)を優先したうえで、残ったごみの熱を使うという順序を、私たちも政策側も崩さないことが大切です。

施設の更新と集約という流れ

ごみ焼却施設の総数は、前年度の1,004施設から991施設へ減っています。この数字だけで理由は断定できませんが、老朽化した施設の更新や、複数の自治体による広域化・集約化が進んでいる影響とも考えられます。

新しい施設は高効率の発電設備を備えやすい一方、建設には大きな費用がかかります。自治体にとっては、発電による売電収入と、整備コストや維持費をどう両立させるかが問われます。

地域でどう使い切るか

発電した電気をどこで使うかも課題です。施設内で使い、余った分を売電するのが一般的ですが、近くの公共施設や学校、温水プールなどに供給する例もあります。電気だけでなく熱も使い切れる立地かどうかで、施設の価値は大きく変わります。

この点は地域差が大きく、同じ廃棄物発電でも取り組みの深さはさまざまです。だからこそ、自分の地域の施設を知ることに意味があります。

今日から試せる1アクション|お住まいの地域の焼却施設を調べる

「国の数字はわかったけれど、自分の暮らしとどうつながるの?」と思われたかもしれません。そこで、次のことを一つだけ試してみてください。

  1. 市区町村名と「ごみ焼却施設」で検索し、自治体のサイトで施設の紹介ページを開く
  2. 発電設備の有無、発電能力、余熱の使い道(温水プール、地域への熱供給など)を確認する
  3. 見学の受け付けがあれば、日程を確かめる

10月は環境省などが呼びかける「3R推進月間」にあたります。ごみを減らす行動と、残ったごみがどうエネルギーになっているかを知ることを、あわせて考えるきっかけにしやすい時期です。発電していない施設であっても、それは「この地域がどんな選択をしているか」を知る手がかりになります。

まとめ

日本の廃棄物発電は、令和6年度時点で415施設・10,448GWhに達しています。発電する施設の割合は令和2年度の36.6%から41.9%へ上がり、国も発電効率の引き上げを目標に掲げています。一方で、発電電力量は頭打ちに近く、ごみの減量が進むほど燃料が減るという構造的な課題も抱えています。

廃棄物発電は、ごみ処理の副産物としてエネルギーを有効に使う仕組みであって、ごみを増やす理由にはなりません。CO2も出ますし、全量が再生可能エネルギーでもありません。その前提で、まずは自分の地域の施設を知るところから始めてみてください。

  • 令和6年度は991施設のうち415施設(41.9%)が発電し、総発電電力量は10,448GWh
  • 発電する施設は増えたが、電力量は5年ほぼ横ばいで、ごみの減量とは緊張関係にある
  • 焼却すればCO2は出るため、3Rを優先したうえで残ったごみの熱を使うことが基本
  • まず自分の市区町村の焼却施設が発電しているかを調べるところから始められる

参考文献

RELATED

PAGE TOP