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ENVIRONMENT

ZEBとは?ゼロエネルギービルの仕組みと種類を基礎からわかりやすく解説

Photo by Loveleen Cherub on Unsplash

「ZEBって省エネが進んだ建物のことですよね?うちの会社には関係なさそう」——学生団体のメンターとしてさまざまな企業・団体の環境プロジェクトを支援してきた経験から言うと、このような反応が一番多く聞かれます。しかし、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)は今や中小規模のオフィスや学校まで広がりを見せており、建物に関わるすべての人に無関係ではありません。この記事では「ZEBって結局何が違うの?」「どうすれば実現できるの?」という素朴な疑問に答えながら、基礎から整理していきます。

ZEBとは何か|「ゼロエネルギー」の本当の意味

「ZEB=エネルギーをまったく使わない建物」と誤解している方も少なくありません。実際には、そうではありません。

ZEB(Net Zero Energy Building)とは、建物で消費するエネルギーの量を、省エネ設備の導入と再生可能エネルギーの活用によって実質的にゼロにすることを目指した建物のことです。経済産業省・国土交通省・環境省の3省が策定した「ZEBロードマップ検討委員会とりまとめ」(2015年)では、「年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建物」と定義されています。

つまりポイントは「使わない」のではなく「差し引きゼロにする」という考え方です。建物内でどうしても必要なエネルギー(照明・空調・給湯など)を徹底的に減らしたうえで、太陽光発電などの再生可能エネルギーで補い、年間収支をプラスマイナスゼロに近づけることを目指します。

ZEBの4段階|「ZEB」「Nearly ZEB」「ZEB Ready」「ZEB Oriented」の違い

「どのくらい達成できているかで呼び名が変わる」と聞いて戸惑う方もいますが、実はこの段階設定が、ZEBを現実的な目標にするための工夫です。一気に100%は難しくても、段階を踏んで近づける道筋が示されています。

ZEB(100%以上の削減)

省エネと再生可能エネルギーの合計で、基準となる一次エネルギー消費量から100%以上削減できている状態です。再エネを含めた収支がゼロ以下になります。これが最高ランクのZEBです。

Nearly ZEB(75%以上の削減)

省エネと再エネの組み合わせで75%以上削減できている状態です。完全なZEBにはあと一歩という段階で、実際に認定を受けている建物の中でも多いカテゴリです。

ZEB Ready(50%以上の削減)

省エネ技術のみ(再エネを除く)で50%以上削減できている状態です。将来的に太陽光発電などを追加すれば上位ランクを目指せる「ZEBに向けた準備が整った建物」という位置付けです。大規模建築物(延べ面積10,000㎡超)はこのランクが当面の現実的な目標とされています〔要確認:最新の政策目標は環境省・経産省資料で要照合〕。

ZEB Oriented(省エネのみで30〜40%以上の削減)

延べ面積10,000㎡超の事務所・学校・工場などを対象に設けられたカテゴリです。再エネ導入が難しい大規模建物のために用意された入口のようなランクで、省エネ設備で一定の削減を達成していることが条件です〔要確認:用途ごとの基準値は国土交通省資料を参照〕。

なぜ今ZEBが求められているのか|建物が排出するCO2の現実

「省エネといえば工場や輸送のイメージ」と思う方も多いのですが、建物セクターも無視できない規模のCO2排出源です。

日本のCO2排出量全体のうち、業務部門(事務所・商業施設・学校など)と家庭部門を合わせた建物に関連するエネルギー消費は、全体の約3割を占めるとされています(環境省「日本の温室効果ガス排出量データ」より)〔要確認:最新年度の割合は環境省資料で要照合〕。製造業や輸送部門と並ぶ主要な排出源であることは、政府の各種白書でも一貫して示されてきた事実です。

さらに日本政府は2050年カーボンニュートラルの実現を宣言しており、そのためには建物のエネルギー消費を抜本的に削減することが不可欠です。2030年度目標として、新築建物については「ZEBの標準化」が政策目標として位置付けられています〔要確認:目標値の最新状況は経産省・国交省のロードマップを参照〕。

こうした背景から、ZEBは単なる環境への取り組みではなく、近い将来の「建物の標準仕様」になりつつあると見ておくことが現実的です。

ZEBを実現する3つの技術アプローチ

「実際にどうやって実現するの?」という疑問を持つ方は多いです。ZEBを達成するための技術は、大きく「省エネ」「創エネ」「蓄エネ」の3方向に整理できます。

省エネ|まず使うエネルギーを減らす

ZEB実現の基本は、まず消費エネルギーを徹底的に削減することです。代表的な手法として、高断熱・高気密の外皮設計(壁・屋根・窓の断熱強化)、LED照明への全面切り替え、高効率空調設備(ヒートポンプ式・全熱交換器など)、昼光利用制御(自然光に応じて照明を自動調整するシステム)などが挙げられます。外皮性能の改善だけで冷暖房負荷を大幅に下げられる点は、多くのZEB実証事例で共通して確認されています。

創エネ|再生可能エネルギーで補う

省エネで削りきれなかった分を、建物内・建物上で発電して補います。屋根や壁面への太陽光パネル設置が最も一般的です。地域によっては小型風力や地中熱ヒートポンプの活用事例もあります。「どこまで発電できるか」は建物の形状・立地・屋根面積に大きく依存するため、設計段階からシミュレーションを行うことが重要です。

蓄エネ・制御|エネルギーを賢く使いきる

発電した電力をムダなく活用するために、蓄電池やBEMS(建物エネルギー管理システム)を組み合わせて「いつ・どこで・どれだけ使うか」を最適制御する仕組みが有効です。BEMSは省エネ補助金の対象にもなっており、導入ハードルは以前より下がっています〔要確認:補助制度の最新状況はSII等の公式サイトを確認〕。

ZEB認定の現状|広がる導入事例

「実際に達成している建物ってどのくらいあるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。環境省が運営する「ZEB登録・評価機関」による認定制度のもと、ZEB認定を受けた建物の数は年々増加しています。オフィスビルにとどまらず、学校・病院・ホテル・庁舎など多様な用途での導入実績が積み上がっています〔要確認:最新の認定件数は環境省・一般社団法人 環境共創イニシアチブ(SII)の公開資料を参照〕。

支援してきたプロジェクトの中にも、地方の中小企業が新社屋の建て替えに合わせてZEB Readyを取得したケースがありました。「補助金を組み合わせれば初期投資の差額は数年で回収できる」という試算が意思決定の後押しになったと聞いています。ZEBを大企業・大規模建物だけのものと考えるのは、もったいない先入観です。

ZEBと補助金|使える制度をどう探すか

「初期コストが心配」というのはZEBを検討するほぼすべての方が口にする懸念です。率直に言って、ZEBに対応した建物は従来の建物より建設コストが高くなることが多いです。ただし、それを補う補助・融資制度が複数用意されています。

代表的な支援制度として、経済産業省・環境省が実施してきた「ZEB実証事業」「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」などがあります。また、環境共創イニシアチブ(SII)が窓口となる補助事業では、ZEB化に伴う設備費・工事費の一部を補助する仕組みが設けられてきました〔要確認:各補助事業の最新の公募状況はSII(https://sii.or.jp)または経産省・環境省の公式発表を必ずご確認ください〕。

補助制度は年度ごとに内容が変わります。「去年の情報をそのまま使って申請期限を逃した」という事例を複数見てきた経験から言うと、最新の公募情報を直接公式サイトで確認する習慣を持つことが何より大切です。

ZEBとZEH|よく混同される隣のキーワード

「ZEHとは何が違うの?」という質問はとても多いです。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)は住宅版のゼロエネルギー建物で、ZEBは非住宅(業務用建物)版です。仕組みの基本的な考え方は共通していますが、対象とする建物の用途・規模・補助制度の窓口が異なります。

自宅のことを調べているならZEH、会社やテナントビルのことを検討しているならZEBと覚えておくと整理しやすいです。なお、住宅でも集合住宅(マンション)の場合はZEH-M(マンション版ZEH)という区分があり、こちらも補助制度が整備されています〔要確認〕。

「ZEBと言われても自分には関係ない」と思うあなたへ|公開情報から見えてくるパターン

さまざまな業種・規模の組織がZEB化を検討する場面に立ち会ってきた中で、よく見られるのが「うちのような規模では無理」という思い込みです。しかし、ZEB Readyの認定事例を見ると、延べ面積が数百㎡規模の小さなオフィスや診療所、地方の公共施設なども含まれています。

一方で、ZEBに取り組んだ組織が口を揃えて言うのが「省エネ効果が数字で見えるようになってから、スタッフの意識が変わった」という点です。BEMSで電力消費の「見える化」が進むと、日常の行動(空調の設定温度・在席確認照明の活用など)との連動が起きやすくなります。ZEBは建物の問題であると同時に、組織文化にも影響する取り組みだという側面があります。

建物の設計・建設を検討する機会がない方でも、自分が働く建物がZEB認定を取得しているかどうか調べてみることはできます。環境省の「ZEB登録・評価機関」が公開しているデータベースで検索することで、身近な建物の認定状況を確認することが可能です〔要確認:データベースの公開形式は変更される場合があります〕。

今日からできる1アクション

ZEBは設計士や施主だけの話ではありません。まず今日できる1つのことは、自分が働いている、あるいは通っている建物の「エネルギー性能」を意識してみることです。

具体的には、環境共創イニシアチブ(SII)が運営するZEB登録・評価機関のウェブサイト(https://www.sii.or.jp)で「ZEB」と検索すると、認定を受けた建物の情報を確認できます。あなたの身近な建物が入っていれば、その省エネ設備を改めて観察してみてください。入っていなければ、「もし自分の職場がZEBを目指すとしたら何から変えられるか」を同僚と話してみるだけでも、建物のエネルギーへの視点が変わります。

まとめ|ZEBを正しく知るための5つのポイント

ZEBはエネルギーを「ゼロにする」のではなく「差し引きゼロを目指す」発想の建物です。段階的なランク設計があるので、いきなり完全達成でなくても前進できます。

  • ZEBとは「省エネ+創エネで年間一次エネルギー収支をゼロにする建物」のこと。エネルギーをまったく使わないわけではない
  • 達成度に応じてZEB・Nearly ZEB・ZEB Ready・ZEB Orientedの4段階があり、段階的な取り組みが推奨されている
  • 省エネ(断熱・高効率設備)→創エネ(太陽光発電など)→蓄エネ・BEMS制御の3アプローチで実現する
  • ZEBはZEH(住宅版)と混同されやすいが、対象は非住宅(業務用建物)。補助制度の窓口も異なる
  • 補助制度は年度ごとに変わるため、SII・経産省・環境省の最新公募情報を直接確認することが重要

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