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ENVIRONMENT

環境マイクロプラスチックとは?問題と対策を解説

環境マイクロプラスチックとは?問題と対策を解説

私たちの生活に欠かせないプラスチック製品ですが、その便利さの裏側で深刻な環境問題が進行しています。レジ袋やペットボトル、食品容器などのプラスチックごみが海に流れ出し、波や紫外線によって細かく砕かれることで生まれる「マイクロプラスチック」。この目に見えないほど小さなプラスチック片が、今、世界中の海を汚染し、海の生き物だけでなく私たち人間にも影響を及ぼす可能性が指摘されています。日本周辺の海域では、世界平均の27倍ものマイクロプラスチックが確認されており、この問題は私たちにとって決して他人事ではありません。

マイクロプラスチックとは何か

マイクロプラスチックとは何か

マイクロプラスチックとは、環境中に存在する5mm以下の微細なプラスチック片や粒子の総称です。この大きさは米粒よりもはるかに小さく、肉眼では確認しづらいものも多く含まれます。環境省では「5mm未満の微細なプラスチックごみ」と定義しており、近年、海洋生態系への深刻な影響が懸念されています。

マイクロプラスチックの最大の問題は、プラスチックが自然界で分解されないという性質にあります。通常のプラスチック製品は数百年から数千年も環境中に残り続けると言われており、一度海に流れ出たマイクロプラスチックは長期間にわたって海域に滞留し、蓄積していきます。そのため、現在も世界中の海でマイクロプラスチックの量は増え続けているのです。

マイクロプラスチックの定義

マイクロプラスチックは、大きさによって明確に区分されています。環境省や国際的な研究機関では、5mm以下のプラスチック片をマイクロプラスチックと呼んでいます。この基準は世界共通で使われており、それより大きなものは通常のプラスチックごみとして分類されます。

さらに細かく見ると、研究者の中には1mm以下の顕微鏡レベルの微細なプラスチックを特に注目する場合もあります。これらは「ナノプラスチック」と呼ばれることもあり、より小さいために生物の体内に取り込まれやすいという特徴があります。海水中を漂うもの、海底に沈んだもの、海岸に打ち上げられたものなど、存在する場所もさまざまです。

一次マイクロプラスチックと二次マイクロプラスチック

マイクロプラスチックは、その発生過程によって2つの種類に分けられます。それぞれ発生源が異なるため、対策方法も変わってきます。

一次マイクロプラスチックは、最初から小さなサイズで製造されたプラスチック粒子です。代表的なものに、洗顔料や化粧品に含まれるスクラブ剤(マイクロビーズ)があります。これらは直径0.5mm以下の極小サイズで、洗顔時に排水として流され、下水処理では完全に除去できずに海へ流出してしまいます。また、プラスチック製品の原料となるレジンペレットや、農業用の肥料カプセルなども一次マイクロプラスチックに含まれます。

二次マイクロプラスチックは、大きなプラスチック製品が環境中で劣化し、細かく砕けたものです。ペットボトルやレジ袋、釣り糸などが海に流出した後、波による物理的な力や太陽光の紫外線によって徐々に分解され、小さな破片になっていきます。実は、海洋中のマイクロプラスチックの大半はこの二次マイクロプラスチックだと考えられています。

マイクロプラスチックが発生する原因

マイクロプラスチックが発生する原因

マイクロプラスチックは私たちの日常生活のさまざまな場面から発生しています。特別な工場や施設からだけでなく、家庭での何気ない行動が海洋汚染につながっているのです。その発生メカニズムを理解することが、問題解決の第一歩となります。

全世界で年間約4億トンものプラスチック製品が製造されており、その約半分は容器や包装といった使い捨て用途に使われています。日本国内だけでも年間約300億枚のレジ袋が消費され、1世帯あたり1日に数百グラムのプラスチックごみが発生しています。これらが適切に処理されずにポイ捨てされたり、ごみ箱から溢れて放置されたりすることで、風雨によって川や下水道に入り込み、最終的に海へと流れ着くのです。

日常生活から生まれるマイクロプラスチック

家庭での洗濯は、マイクロプラスチックの主要な発生源の一つです。ポリエステルやナイロンなどの合成繊維でできた衣類を洗濯すると、生地から微細な繊維くずが抜け落ちます。研究によれば、1回の洗濯で数十万本から数百万本もの合成繊維が排水に混ざるとされています。これらの繊維くずは1mm以下と非常に小さいため、下水処理場のフィルターを通り抜けて海へ流出してしまいます。実際、環境中のマイクロプラスチックの大半が合成繊維から構成されている可能性が指摘されています。

また、人工芝やプラスチック製のマットも意外な発生源です。サッカー場や公園に敷かれた人工芝は、使用によって少しずつ摩耗し、小さな破片が発生します。これらが雨水とともに排水溝から流れ出ることで、マイクロプラスチックとして環境中に広がります。同様に、タイヤが路面と擦れることで生じる微粒子も、雨によって川へ流れ込む原因となっています。

主な発生源と流出経路

マイクロプラスチックの発生源は多岐にわたります。環境省の調査によると、発生源は大きく分けて製品由来のものと、プラスチックごみの劣化によるものに分類されます。

製品由来のものとしては、前述の洗顔料や化粧品のマイクロビーズ、衣料品の合成繊維、人工芝、タイヤの摩耗粉などがあります。これらは使用時や製造時に直接排水や大気中に放出され、雨水とともに河川に流れ込みます。特に都市部では、道路の排水溝から直接川へつながるルートが多く、マイクロプラスチックの流出を防ぐことが難しい構造になっています。

一方、プラスチックごみの劣化によるマイクロプラスチックは、不適切に廃棄されたペットボトル、レジ袋、食品容器などが発生源です。これらのごみは、街中に捨てられると風で飛ばされたり、雨で流されたりして河川に入り込みます。河川から海へ運ばれたプラスチックごみは、波の力や紫外線によって数ヶ月から数年かけて徐々に細かく砕かれ、マイクロプラスチックへと変化していくのです。

流出経路として最も重要なのは河川です。日本の河川は短く流れが速いため、上流で発生したプラスチックごみは比較的短期間で海に到達します。また、都市部の下水処理場では、処理過程で大きなごみは除去できますが、マイクロプラスチックのような微細な粒子は完全には取り除けず、処理水とともに放流されてしまいます。

マイクロプラスチックによる環境への影響

マイクロプラスチックによる環境への影響

マイクロプラスチックが環境に与える影響は、単にごみが増えるという問題だけではありません。その微細なサイズゆえに、生態系全体に広がり、さまざまな形で悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。特に懸念されているのが、海洋生物への直接的な影響と、食物連鎖を通じた生態系全体への影響です。

マイクロプラスチックには、もう一つ深刻な問題があります。それは、海水中の有害な化学物質を吸着しやすいという性質です。海底には過去に使用されていた残留性有機汚染物質(POPs)などの有害物質が残っており、これらがマイクロプラスチックの表面に付着します。この有害物質を含んだマイクロプラスチックを生物が摂取することで、化学汚染物質が生態系に取り込まれる危険性が指摘されているのです。

海洋生態系への影響

海洋生物がマイクロプラスチックを誤って食べてしまう事例は、世界中で報告されています。実験室での研究では、マイクロプラスチックを摂取したゴカイやイガイなどの生物に、炎症反応や摂食障害が確認されています。これらの生物は海の食物連鎖の底辺に位置しており、影響が上位の生物へと広がる可能性があります。

マイクロプラスチックは、その小ささゆえにプランクトンと見分けがつかず、魚や貝類が餌と間違えて食べてしまいます。摂取されたマイクロプラスチックは消化管に詰まり、物理的な閉塞や損傷を引き起こすことがあります。また、マイクロプラスチックで胃が満たされることで、本来必要な栄養を摂取できなくなり、栄養不足に陥る危険性も指摘されています。

さらに深刻なのは、食物連鎖を通じてマイクロプラスチックが上位の生物へ移行する可能性です。小魚がマイクロプラスチックを含むプランクトンを食べ、その小魚を大きな魚が食べる。このプロセスで有害物質が生物濃縮され、食物連鎖の上位にいる生物ほど高濃度の汚染物質を体内に蓄積してしまう恐れがあります。北極や南極といったプラスチックが廃棄されない地域でもマイクロプラスチックが観測されており、海流によって地球規模で汚染が広がっていることがわかっています。

人体への影響の可能性

マイクロプラスチックは、私たち人間にも影響を及ぼす可能性があります。魚介類を食べることで、体内に取り込まれる危険性が懸念されているのです。特に、内臓ごと食べる小魚や貝類には、マイクロプラスチックが蓄積している可能性が高いとされています。

現時点では、マイクロプラスチックの人体への具体的な影響については未解明な部分が多く、国際的にも研究が続けられています。しかし、マイクロプラスチックに吸着した有害な化学物質が、食物連鎖を通じて人体に取り込まれることで、健康に悪影響を与える可能性は否定できません。残留性有機汚染物質の中には、内分泌をかく乱する作用を持つものもあり、生殖機能や成長に影響を与えることが知られています。

また、さらに小さなナノサイズのプラスチック粒子は、腸から吸収されて血液中に入り込む可能性も指摘されています。これらの微粒子が体内の臓器に蓄積した場合、どのような影響があるのかは、今後の研究で明らかにしていく必要があります。予防原則の観点から、影響が完全に解明される前に、マイクロプラスチックの発生と流出を抑制することが重要だと考えられています。

マイクロプラスチック問題の現状

マイクロプラスチック問題の現状

マイクロプラスチックによる海洋汚染は、今や地球規模の環境問題となっています。毎年約800万トンものプラスチックごみが海に流出しており、そのうちマイクロプラスチックだけでも数百万トン以上が海洋に流れ込んでいると推計されています。このままのペースで流出が続けば、2050年には海洋中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超えるという衝撃的な試算も発表されています。

国際連合環境計画(UNEP)の調査によると、2015年時点で全世界における環境への排出量は約828万トンに達し、そのうちマイクロプラスチックは約4割弱の約301万トンを占めています。さらに、九州大学や東京海洋大学などの共同研究では、プラスチックごみの海洋流出が増え続けた場合、太平洋のマイクロプラスチック量は2030年までに現在の約2倍、2060年までには約4倍になると予測されています。

日本周辺海域の状況

日本周辺の海域は、世界的に見てもマイクロプラスチックの濃度が特に高い地域です。2014年の環境省による調査では、日本周辺海域のマイクロプラスチック量は北太平洋の16倍、世界の海の平均の27倍という驚くべき結果が報告されています。

この高濃度の原因として、2つの要因が考えられています。第一に、日本は使い捨てプラスチックの国民一人当たりの消費量が世界第2位であり、大量のプラスチックを使用・廃棄していることです。食品の過剰包装や、コンビニエンスストアでの使い捨て容器の多用など、日常的にプラスチック製品を消費する文化が定着しています。第二に、日本周辺は海流の影響で他国から流れてくるプラスチックごみも集まりやすい海域であるという地理的な要因があります。

環境省が全国10地点で実施した海岸漂着物の調査では、容積および個数ベースでプラスチック類が最も高い割合を占めていました。地域によって状況は異なり、奄美では外国製のペットボトルが8割以上、対馬や種子島では4割から6割を占める一方、北海道の根室や函館では日本製が5割から7割を占めています。外国からのごみだけでなく、私たち自身が排出したごみも確実に海を汚染しているのです。

世界的な広がり

マイクロプラスチック汚染は、特定の地域だけの問題ではありません。世界中の海域でマイクロプラスチックが確認されており、人が住んでいない北極や南極の海氷中からも検出されています。これは、海流によってマイクロプラスチックが地球規模で運ばれていることを示しています。

経済協力開発機構(OECD)の分析によると、マイクロプラスチックの主要な排出地域はアジアの途上国で、全体の約4割から5割を占めています。続いてOECD米州が18パーセント、中東・アフリカが14パーセント、OECD欧州が13パーセントとなっています。特に東アジア地域と東南アジア地域が主要排出源とされており、この地域からの流出を抑制することが世界全体の課題となっています。

2019年に開催されたG20大阪サミットでは、「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が提唱されました。これは2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにすることを目指すもので、現在までに87の国と地域がこのビジョンを共有しています。さらに2023年のG7広島サミットでは、2040年までに追加的なプラスチック汚染をゼロにする野心的な目標に合意し、より積極的な取り組みが進められています。

マイクロプラスチック削減に向けた取り組み

マイクロプラスチック削減に向けた取り組み

マイクロプラスチック問題の解決には、国や企業、そして私たち一人ひとりの行動が欠かせません。環境中に流出してしまったマイクロプラスチックを回収することは極めて困難なため、発生を抑制し、流出を防ぐことが最も重要な対策となります。

日本では、2019年に改正された海岸漂着物処理推進法の基本方針において、事業者はマイクロプラスチックの使用抑制に努めることが明記されました。特に、洗顔料などに含まれるマイクロビーズの削減が求められています。また、プラスチック資源循環戦略では、使い捨てプラスチックの削減や、バイオマスプラスチックへの転換などが推進されています。

国や企業の対策

環境省は、マイクロプラスチック対策を多方面から進めています。発生抑制、流出抑制、代替素材の開発、回収技術の向上など、さまざまなアプローチで問題に取り組んでいます。2024年度版の「マイクロプラスチック削減に向けたグッド・プラクティス集」では、日本企業が持つ先進的な技術やノウハウが紹介されており、国内外への普及が図られています。

具体的な企業の取り組みとしては、洗濯時に衣類から出る合成繊維の流出を抑制する洗濯ネットの開発、化粧品のマイクロビーズをセルロースなどの天然素材で代替する技術、人工芝の破片流出を防ぐシステムの開発などがあります。また、海洋生分解性プラスチックの実用化も進んでおり、万が一海に流出しても自然に分解される素材の開発が期待されています。

自治体レベルでも、マイクロプラスチックの調査や啓発活動が行われています。環境省は「河川・湖沼マイクロプラスチック調査ガイドライン」を策定し、地方公共団体が河川や湖沼でのマイクロプラスチックの分布実態を把握できるよう支援しています。発生源を特定し、効果的な対策を打ち出すための科学的データの蓄積が進められているのです。

私たちにできること

マイクロプラスチック問題の解決には、私たち一人ひとりの日常的な行動の変化が不可欠です。まず最も重要なのは、プラスチックごみを適切に処理し、環境中に流出させないことです。ポイ捨てをしない、ごみは分別してきちんと処分する、という基本的な行動が海洋汚染を防ぐ第一歩となります。

使い捨てプラスチックの使用を減らすことも効果的です。マイバッグやマイボトルを持ち歩く、過剰包装の商品を避ける、詰め替え用商品を選ぶなど、日々の買い物での選択が大きな違いを生みます。日本では年間約300億枚のレジ袋が使われていますが、マイバッグの利用が広がれば、この数字を大きく減らすことができます。

洗濯の際には、合成繊維の衣類から出るマイクロプラスチックを減らす工夫ができます。洗濯ネットの使用や、繊維くずを捕捉する専用の洗濯ボールを使うことで、排水に流れ出る合成繊維を大幅に削減できます。また、洗顔料や化粧品を購入する際には、マイクロビーズが含まれていない製品を選ぶことも重要です。多くの企業がマイクロビーズを使わない製品への転換を進めており、消費者の選択がこの動きをさらに加速させます。

地域の清掃活動に参加することも有効な行動です。海岸や河川敷のごみ拾いは、プラスチックごみが海に流れ込む前に回収する直接的な対策となります。また、こうした活動を通じて問題の実態を知り、周囲の人々に伝えることで、社会全体の意識を高めることにもつながります。

まとめ

まとめ

マイクロプラスチックは、私たちの便利な生活の代償として生まれた深刻な環境問題です。5mm以下という微細なサイズゆえに回収が困難で、一度環境中に流出すると半永久的に残り続けます。日本周辺海域では世界平均の27倍ものマイクロプラスチックが確認されており、海洋生態系への影響だけでなく、食物連鎖を通じた人体への影響も懸念されています。

この問題の解決には、国や企業による技術開発や制度整備とともに、私たち一人ひとりの意識と行動の変化が欠かせません。プラスチックごみの適切な処理、使い捨てプラスチックの削減、環境に配慮した製品の選択など、日々の小さな行動の積み重ねが、未来の海を守ることにつながります。2050年に海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにするという国際目標の実現に向けて、今できることから始めることが大切です。


参照元

・環境省 一般向けマイクロプラチック発生抑制・流出抑制対策リーフレット https://www.env.go.jp/page_00357.html

・大阪市 マイクロプラスチックについて https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000463800.html

・環境省 令和元年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r01/html/hj19010301.html

・環境省 海洋プラスチックごみ(ecojin) https://www.env.go.jp/guide/info/ecojin/eye/20230705.html

・環境省 マイクロプラスチック削減に向けたグッド・プラクティス集 https://www.env.go.jp/water/post_113.html

・環境省 マイクロプラスチック削減に向けたグッド・プラクティス集の取りまとめについて https://www.env.go.jp/press/press_04739.html

・環境省 河川・湖沼マイクロプラスチック調査ガイドライン https://www.env.go.jp/content/900543325.pdf

・環境省 マイクロプラスチック問題の現状と対策(2023年5月) https://www.erca.go.jp/suishinhi/kenkyuseika/pdf/20230529/02.pdf

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