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介護をめぐる社会課題「2025年問題」の実態|家族と企業ができる備え方

Photo by Margaret Stokman on Unsplash

「2025年問題」という言葉を初めて聞いたとき、正直なところピンと来ませんでした。団塊の世代が全員75歳以上になる年、という説明だけでは、自分の暮らしとどうつながるのか実感しづらかったからです。ところが企業のサステナビリティ報告やESG開示を取材する中で、介護分野の人手不足や家族の負担が数字としてじわじわ表れているのを見て、これは遠い誰かの話ではないと考えを改めました。

介護の「2025年問題」が指す社会課題とは

2025年問題とは、いわゆる団塊の世代が2025年までに75歳以上の後期高齢者になり、医療・介護の需要が急速に高まるという将来推計を指す言葉です。高齢化そのものは以前から続いてきた傾向ですが、後期高齢者の急増によって要介護認定者数や医療費が押し上げられる局面が2025年前後に集中する点が特徴とされています。ただし、この記事で伝えたいのは「2025年問題とは何か」という定義だけではありません。実際に取材で見えてきたのは、介護の担い手不足が家族の生活設計や企業の人材戦略にまで及んでいるという、もう一段具体的な現実です。

数字で見えてきた介護現場の担い手不足

厚生労働省は介護保険事業計画の策定にあわせて将来の介護職員必要数を推計しており、高齢化のピークにあたる2025年度前後には現状の採用ペースを上回る規模の人材が必要になるとされています〔具体的な必要数・不足数は計画の改定年によって数値が変動するため要確認〕。介護現場を取材していると、この推計値そのものよりも「なぜ人が集まらないのか」という現場の声のほうが切実に響きます。賃金水準や夜勤の負担、キャリアパスの見えにくさが複合的に絡み合っており、単純な処遇改善だけでは解決しきれない構造があるように感じます。

家族側の負担も見過ごせません。総務省統計局の就業構造基本調査では、家族の介護や看護を理由に離職する人が全国で年間十万人規模にのぼると報告されています。介護離職は本人のキャリアだけでなく世帯の家計にも影響するため、社会保障制度と労働政策の両方にまたがる課題だと捉える必要があります。

ヤングケアラーという見えにくい担い手

介護の担い手というと大人を思い浮かべがちですが、家族の世話をする子どもや若者、いわゆるヤングケアラーの存在も社会課題として認識され始めています。こども家庭庁(調査当時は文部科学省・厚生労働省)が実施した実態調査では、中学2年生のうち一定割合が家族の世話をしていると回答したことが報告されており、学業や進路選択への影響が懸念されています。取材の過程で感じたのは、こうした子どもたちの負担は本人が「特別なこと」と自覚しにくいために、周囲が気づきにくいという点です。教育機会の格差につながりかねないこの問題は、次の記事でも詳しく取り上げています。

介護大手企業は処遇改善とDXにどう動いているか

複数の介護事業者の統合報告書や有価証券報告書を見比べていると、各社が処遇改善加算の取得状況や離職率、テクノロジー投資について開示を進めていることが分かります。SOMPOケアやニチイホールディングス、ツクイホールディングスといった介護大手各社は、介護職員の賃金改善やキャリアパス整備に加え、見守りセンサーや記録業務の自動化といったDX投資を公表しています。パナソニックのように介護ロボットや見守り機器の開発を通じて現場の身体的負担を軽減しようとするメーカーの動きも見られます。

ここで一つ気づいたことがあります。同じ業界内でも、離職率や処遇改善加算の取得率をどこまで具体的な数値で開示しているかは企業によって差があり、開示の充実度が必ずしも実態の良し悪しと一致するとは限らないという点です。読者の方が介護事業者や就職先を比較する際には、公表資料の数値だけでなく、都道府県が運営する介護事業所検索サイトの実績情報もあわせて確認すると、より立体的に実態をつかめると思います。単独の指標だけで「良い会社」と判断しないことが、遠回りに見えて確実な比較方法です。

家族が今日からできる実践的な備え

介護の社会課題は制度や企業の動きだけで解決するものではなく、家族一人ひとりが早めに情報にアクセスしておくことで負担を軽減できる部分もあります。実際に身近な相談窓口を確認したところ、多くの自治体で地域包括支援センターが介護保険の申請から生活支援まで幅広く相談に応じていることが分かりました。制度を知らないまま抱え込んでしまうケースは想像以上に多いようです。

  • 地域包括支援センターに早めに相談し、要介護認定の申請時期を把握しておく
  • 勤務先の介護休業・介護休暇制度の対象範囲と申請方法を事前に確認しておく
  • 家族内でヤングケアラーに該当する子どもがいないか、家事や世話の分担を見直す
  • 介護事業所を選ぶ際は開示資料と現地見学の両方で判断材料を集める

高齢の親と離れて暮らしている場合、いざというときに慌てないよう、まずは自分の住む自治体か親の住む自治体の地域包括支援センターの連絡先を控えておくことをおすすめします。制度の詳細を今すぐ覚える必要はありませんが、相談窓口を知っているかどうかで、いざというときの初動が大きく変わります。

介護と健康の関係についても、取材を通じて見過ごせない視点を得ました。介護する側・される側双方の心身の健康維持は、制度設計だけでなく日々のセルフケアの積み重ねが土台になっています。

まとめ 介護の社会課題に向き合う最初の一歩

2025年問題という言葉の背景には、介護職員の不足、家族の介護離職、ヤングケアラーの負担など、複数の課題が重なり合っています。制度や企業の取り組みを知ることも大切ですが、まずは自分や家族に関わる相談窓口を一つ確認しておくことから始めてみてください。今日、地域包括支援センターの連絡先を検索してメモしておく、それだけでも十分な備えの第一歩になります。

  • 2025年問題は団塊の世代が75歳以上になることで介護・医療需要が急増する将来推計を指す
  • 介護職員不足や介護離職、ヤングケアラーの負担が重なり合う社会課題である
  • 地域包括支援センターや勤務先の介護休業制度を事前に確認しておくことが備えになる

本記事はMIRASUS編集チームが公的資料・企業公式情報をもとに作成しています。

参考文献

  • 内閣府「高齢社会白書」(https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/index-w.html)
  • こども家庭庁 ヤングケアラーについて(https://www.cfa.go.jp/policies/young-carer/)
  • 総務省統計局「就業構造基本調査」(https://www.stat.go.jp/data/shugyou/index.html)

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