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ENVIRONMENT

森林認証PEFCと日本のSGEC|違いと商品の選び方ガイド

Photo by Jayde Keroi on Unsplash

フェアトレード商品を選ぶときにコーヒーやチョコレートの認証マークを確認する習慣がついている方でも、コピー用紙やノート、住宅の建材に付いている緑色の木のマークを見て「これは何だろう」と立ち止まった経験があるのではないでしょうか。それが森林認証のPEFCマークです。フェアトレードが生産者の暮らしを守る仕組みだとすれば、森林認証は森という資源そのものが持続的に使われ続けるための仕組みです。この記事では、PEFCという国際的な枠組みと、日本の窓口になっているSGECとの関係、そして買い物の場面でどう見分ければよいのかを整理していきます。

この記事で学べること

  • PEFCという森林認証の仕組みと、日本国内での運用主体であるSGECとの関係
  • PEFCとFSCという2大認証の違いと、それぞれの特徴
  • 日本国内でPEFC・SGEC認証がどのように活用されているか
  • 店頭や商品パッケージでPEFCマークを見分けるコツ
  • 今日から実践できる、認証材を意識した買い物の始め方

PEFCという仕組みと日本の窓口SGEC

PEFCはProgramme for the Endorsement of Forest Certification Schemesの略で、特定の一つの認証基準を全世界に適用するのではなく、各国・各地域にすでにある森林認証制度を審査したうえで相互に承認し合う「認証の傘」のような国際組織です。スイス・ジュネーブに本部を置き、加盟国ごとの制度を束ねる形をとっているため、国や地域の森林の実情に合わせた基準づくりがしやすいという特徴があるとされています。世界的に見ても認証面積の規模が大きい枠組みのひとつとして紹介されることが多く、家族経営の小規模な森林所有者でも参加しやすい仕組みづくりが意識されてきた、と説明されています。

SGECとPEFCの関係

日本国内でPEFCの窓口になっているのが、緑の循環認証会議、通称SGEC(Sustainable Green Ecosystem Council)です。SGECは日本の森林・林業の実情に合わせて設計された国内制度で、2003年に発足し、その後PEFCから国際的な承認を受けて、日本の森林認証としてPEFCネットワークに組み込まれてきた経緯があります。現在は「SGEC/PEFCジャパン」という名称で運営されており、国内で森林認証やCoC認証(後述する加工・流通過程の管理認証)を取得したいと考えている森林所有者や事業者は、このSGECの制度を通じてPEFCの認証を得る形になります。つまり、店頭で見かけるPEFCマークの多くは、実質的にSGECの審査を経た国産材が背景にあるケースが多い、という理解をしておくと日本の状況がつかみやすくなります。

FSCとの違いを整理する

森林認証と聞いてPEFCよりも先にFSC(Forest Stewardship Council)を思い浮かべる方も多いかもしれません。FSCは1993年に発足した国際NGOで、単一の国際基準を各国の森林に直接適用するスタイルをとっています。一方のPEFCは前述のとおり各国制度を承認する形をとるため、運用の考え方そのものが異なります。どちらが優れているというより、対象とする森林所有者の規模や地域性への配慮の仕方に違いがある、と捉えるのが実態に近いでしょう。実際に店頭で商品を手に取ると、大規模な人工林由来の紙製品ではPEFC、熱帯材や輸入家具ではFSCの表示を見かける割合がやや高い、という印象を持つ読者もいるかもしれませんが、これは業界内の慣習的な傾向であって、どちらか一方でなければならないという決まりではありません。

日本の森林認証はどれくらい普及しているか

日本は国土の約7割を森林が占める、森林率の高い国とされています。これだけ森林資源に恵まれていながら、認証を取得している森林の面積は森林全体からするとまだ限られた割合にとどまっている、というのが国内の森林認証を語るうえでの前提です。認証取得には審査費用や書類整備の手間がかかるため、特に小規模な森林所有者にとってはハードルになりやすい面があると指摘されています。それでも、公共建築物や大型施設での木材利用が広がるにつれて、発注側から認証材を求められる場面が増えてきており、認証取得のメリットを感じる所有者や事業体は徐々に増えている、と業界内で語られています。

日本国内でPEFCやSGECの認証材への関心が一気に高まった出来事として、2020年に開催された東京オリンピック・パラリンピックの木材調達があります。大会の持続可能性に配慮した調達コードでは、選手村や競技施設で使用する木材について、合法性の確認に加えてFSCやPEFC(SGECを含む)といった第三者認証を受けた木材の活用が求められました。この機会をきっかけに、認証材の存在を初めて知ったという建築・建設関係者や一般の読者も少なくなかったのではないかと思います。国際的なスポーツイベントという注目度の高い場が、日本国内での森林認証の認知を広げる一つのきっかけになった、という見方は今も業界内でよく語られます。

企業や自治体の活用の広がり

木材や紙を扱う企業の中には、調達方針の中にPEFCやFSCといった第三者認証材の利用割合を掲げているところが増えてきています。製紙業界では原料となるパルプ材の調達において認証材の比率を公表する動きが見られますし、住宅メーカーの中にも建材の一部にSGEC・PEFC認証材を採用していることを自社サイトで紹介する企業があります。自治体レベルでも、建築物木材利用促進法(2010年制定時の名称は「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」だったが、2021年の改正で対象が公共建築物から建築物一般に拡大され、「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物における木材の利用の促進に関する法律」に名称変更されている)の枠組みの中で、地域の認証材を優先的に使う方針を打ち出すところが出てきています。こうした動きは一社だけの取り組みというより、業界全体でじわじわと広がってきた傾向として捉えるのが実態に近いでしょう。

商品パッケージでPEFCマークを見分けるコツ

PEFCのロゴマークは、緑色の円の中に木のシルエットが描かれたデザインが特徴です。FSCのロゴが木にチェックマークが組み合わさったデザインであるのに対して、PEFCはよりシンプルな木の形状になっているため、見比べると違いが分かりやすくなります。ただし商品パッケージには小さく印刷されていることが多く、ぱっと見ただけでは気づきにくいのが正直なところです。

もう一つ知っておきたいのが、森林認証には「森林管理の認証」と「CoC認証(Chain of Custody、加工・流通過程の管理認証)」の二段階があるという点です。森で伐採された木材が、製材、加工、印刷、販売といった各段階で認証材と非認証材が混ざらないよう管理されて初めて、最終製品にPEFCマークを表示できます。つまりパッケージにマークが付いているということは、森から店頭までの流通経路がひとつながりで確認されている、ということを意味します。

買い物で見落としがちなポイント

実際に文房具売り場でノートや紙製品を選んでみると、同じメーカーの同じシリーズでも、商品によってPEFC表示があるものとないものが混在していることに気づきます。筆者自身、最初にPEFCマークを見つけたときはFSCマークと見分けがつかず、しばらく同じものだと思い込んでいました。よく見ると木のデザインが違うことに気づき、調べて初めて別々の認証制度だと理解した、という経緯があります。見落としがちなポイントとして、マークの有無だけでなく、どちらの認証制度かまで確認する読者は少ないかもしれませんが、どちらであっても第三者機関による審査を経た木材である点は共通しているので、まずは「マークがあるかどうか」を確認するところから始めれば十分です。

PEFCとFSCどちらを選ぶべきか

購入時にPEFCとFSCのどちらを優先すべきか、という質問を受けることがありますが、消費者の立場としてはどちらか一方に絞り込む必要は基本的にありません。国内産の木材製品を選びたい場合はSGEC経由のPEFC表示が見つかりやすく、輸入家具や海外原産の紙製品を選ぶ場合はFSC表示に出会う機会が多い、という程度の傾向をつかんでおけば、店頭での判断に困ることは少なくなります。どちらの認証も、無秩序な伐採や違法伐採を防ぐための第三者チェックが入っている点は共通しているため、まずは無印の商品と認証マーク付きの商品を並べて比較し、価格差や品揃えの傾向を自分の目で確かめてみることをおすすめします。

今日からできる小さな一歩

森林認証について調べ始めると情報量の多さに圧倒されがちですが、最初の一歩はとてもシンプルです。次に文房具店やホームセンターで紙製品や木製品を手に取ったときに、パッケージや商品タグの隅にあるマークをひとつだけ確認してみてください。PEFCかFSCか、あるいはどちらもないか。それだけでも、自分がふだん何気なく手にしている木材や紙がどこから来ているのか、意識するきっかけになります。無理に認証材だけを選ぼうとする必要はなく、まずは「見る習慣」をつけることから始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

PEFCは各国の森林認証制度を相互に承認し合う国際的な枠組みであり、日本国内ではSGECがその窓口として運用されています。FSCとは仕組みの成り立ちが異なりますが、どちらも第三者機関による審査を経た木材であるという点は共通しており、消費者としてはどちらか一方にこだわりすぎる必要はありません。東京オリンピック・パラリンピックの木材調達をきっかけに認知が広がった経緯もあり、今後は住宅建材や紙製品を中心に、認証マークを目にする機会がさらに増えていくと考えられます。

まずはパッケージのマークを確認するところから始めて、少しずつ自分なりの選び方を見つけていってください。

  • PEFCは各国の森林認証制度を相互承認する国際的な枠組み
  • 日本の窓口はSGEC(緑の循環認証会議)で「SGEC/PEFCジャパン」として運用
  • FSCとは仕組みの成り立ちが異なるが、第三者審査を経ている点は共通
  • 東京2020の木材調達コードが国内の認知拡大のきっかけの一つ
  • まずは商品パッケージのマークを確認する習慣から始めるとよい

参考文献

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