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環境アセスメントとは|制度の仕組みと「企業のESG評価」との違いを取材記者が解説

Photo by Valentin Klopfenstein on Unsplash

サステナビリティ報道の現場で企業の非財務開示やESG投資を取材していると、取材相手の口から「環境アセスメント」という言葉が何度も出てきます。ただし厄介なことに、この言葉は法律に基づく国の制度を指す場合と、企業が自主的に行う環境リスク評価を指す場合とで、まったく違う中身を意味することがあります。実際に取材メモを読み返していて、両者を混同したまま原稿を書きかけて慌てて確認し直した経験があります。この記事では、法律上の環境アセスメントの基本的な仕組みと、混同されやすい企業側の評価との違い、そして読者が実際の手続き情報に触れる方法まで、できるだけ具体的に整理します。

環境アセスメントとは何か 法律上の位置づけ

環境アセスメント(環境影響評価)とは、道路やダム、発電所といった大規模な事業を実施する前に、その事業が環境にどのような影響を及ぼすかを事業者自身が調査・予測・評価し、結果を公表して住民や行政の意見を聞く制度です。日本では1997年(平成9年)に環境影響評価法が制定され、1999年から本格的に施行されています。単なる企業の自主的な取り組みではなく、法律に基づく手続きである点がまず押さえておきたいポイントです。

対象になる事業は法律や政令で規模ごとに決められており、大きく分けて必ず手続きが必要な「第一種事業」と、規模によって必要かどうかを個別に判定する「第二種事業」があります。代表的な対象事業には次のようなものがあります。

  • 高速道路や一般国道など大規模な道路事業
  • ダムや堰などの河川事業
  • 鉄道や新幹線などの軌道事業
  • 空港の新設・拡張事業
  • 火力・水力・地熱発電所などの発電所事業
  • 一定規模以上の風力発電所
  • 埋立て・干拓や土地区画整理などの土地造成事業

風力発電が対象事業に加わったのは比較的新しく、施設の大型化にともない騒音や生態系への影響が指摘されるようになったことが背景にあるとされます。再生可能エネルギーの導入が広がるほど、この制度が扱う事業の顔ぶれも変わってきているということです。

手続きの流れ 配慮書から評価書まで住民はどこで関われるか

環境アセスメントは「調査して終わり」ではなく、計画の初期段階から事業完了後まで続く一連のプロセスです。おおまかな流れは、事業の計画段階でごく大まかな環境配慮を示す「配慮書」の作成にはじまり、対象事業かどうかを判定する「スクリーニング」、調査項目や方法を絞り込む「方法書(スコーピング)」の公表、実際の現地調査・予測・評価、その結果をまとめた「準備書」の公告・縦覧、住民や地方自治体からの意見募集、それを踏まえた「評価書」の確定、そして工事や供用後の「事後調査」へと続きます。

この一連の手続きには数年単位の期間がかかることが一般的とされており、事業者にとっては大きな負担にもなっています。実際に洋上風力など再生可能エネルギーの導入拡大が政策課題になる中で、手続きを簡素化・迅速化しようとする議論が続いていることも押さえておきたいところです。制度の目的は環境保全であって、手続きの速さそのものではありませんが、両立をどう図るかは今後も注目すべき論点です。

準備書の縦覧と意見書|住民が実際に参加できるタイミング

制度の中で一般の住民が直接関われる最大の機会が「準備書」の縦覧と意見書の提出です。事業者は準備書を都道府県庁や市区町村役場、インターネット上などで一定期間公開し、その期間中であれば誰でも意見書を提出できます。取材の過程で複数の準備書を実際に読んでみたことがありますが、専門用語が多く分量も膨大で、正直なところ一般の読者がすべてに目を通すのは簡単ではありません。それでも、概要版や要約資料が用意されているケースも多く、まず概要だけでも確認する価値はあります。

「環境アセスメント」と「企業のESG評価」は何が違うのか

ここが取材の現場で実際に混乱が起きやすいポイントです。企業のサステナビリティ報告書や統合報告書を読んでいると、「環境アセスメント」という言葉が、法律に基づく手続きとはまったく別の意味で使われていることがあります。例えば工場の新設に伴う社内リスク評価や、取引先を含めたサプライチェーンの環境リスク点検を指して同じ言葉が使われるケースです。両者は名前が似ているだけで、法的な義務の有無も、評価の対象範囲も、結果の公開義務も異なります。

さらにややこしいのが「ライフサイクルアセスメント(LCA)」です。こちらは製品やサービスの原材料調達から廃棄までの環境負荷を定量的に評価する手法で、法律上の環境アセスメントとは目的も手法もまったく別物です。ESG投資の文脈で使われる「環境格付け」や第三者機関による「ESG評価」も同様に、法定の環境影響評価とは別制度です。複数の企業の開示資料を横断的に読み比べていると、こうした用語の使い分けが企業によってまちまちで、読者が誤解したまま検索してしまう場面は少なくないと感じています。検索で「環境アセスメントとは」を調べる読者の中には、実は自社や取引先の環境評価の意味を知りたかった、というケースも一定数含まれているはずです。まず自分が探しているのが法律の手続きなのか、企業の自主的な評価なのかを切り分けることが、遠回りに見えて一番の近道です。

今日からできること 近くの事業の準備書情報を探してみる

環境省は「環境影響評価情報支援ネットワーク」というサイトで、全国の環境アセスメント手続きの状況を公開しています。自分の住んでいる地域や関心のある地域で、どんな事業が対象になっているか、いつ準備書が公告されるかを一度検索してみることをおすすめします。すぐに意見書を書く必要はありません。まずは自分の生活圏でどんな開発計画が動いているのかを知ること自体に意味があります。

この記事はMIRASUS編集チームが公的資料・企業公式情報をもとに作成しています。(執筆メンバー: https://mirasus.jp/members/ )

参考文献

  • 環境省「環境影響評価情報支援ネットワーク」(assess.env.go.jp)
  • e-Gov法令検索「環境影響評価法」(laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000081)
  • 資源エネルギー庁「風力発電」関連ページ(enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/wind/)

  • 環境アセスメントは法律(環境影響評価法)に基づく国の制度で、企業の自主的な評価とは別物
  • 手続きは配慮書から評価書まで段階を踏み、準備書の縦覧・意見書提出が住民参加の主な機会
  • ESG評価やLCAと名前が似ていても目的・対象範囲は異なるため検索時は切り分けが必要

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