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自然再生とは?誰でもわかりやすくかんたん解説|日本の事例と参加の方法

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自然再生とは、開発や農林業の衰退などで過去に損なわれた自然を、地域の人たちが話し合いながら取り戻していく取り組みです。2002年に制定された自然再生推進法がその土台で、いまも湿原や草原、海などで続いています。守るだけの「保護」とは違い、傷んだ自然に手を入れて回復させ、回復したあとも見守り続ける点が特徴です。この記事では、定義を押さえたうえで、よくある誤解、制度の現状、日本3地域の実例、そして読者が関わる方法までを順に整理します。

この記事で学べること

  • 自然再生と、保全・植樹・代償措置との違い
  • 自然再生推進法と協議会の現状(2025年の基本方針の変更を含む)
  • 釧路湿原・阿蘇・竹ヶ島の3つの実例から見える、地域ごとの手法の違い
  • ネイチャーポジティブや30by30の中での自然再生の位置づけ
  • 参加先の探し方と、参加前に確認したい3つのポイント

自然再生は何をする取り組みか|保全・再生・創出・維持管理の4つ

自然再生は、一つの作業の名前ではなく、四つの活動をまとめた考え方です。環境省は、自然再生を「過去に損なわれた生態系その他の自然環境を取り戻すこと」を目的に、行政、地域住民、NPO、専門家など地域の多様な主体が参加して進める取り組みと説明しています。河川、湿原、干潟、藻場、里地、里山、森林などが対象です。

四つの活動は、現在の自然の状態によって使い分けます。

保全と再生

「保全」は、まだ良好な自然が残っている場所で、その状態を積極的に維持することです。「再生」は、すでに損なわれた場所で、失われた環境を取り戻すことを指します。たとえば、まっすぐに改修された川を元の蛇行した流れに戻す作業は再生にあたります。

創出と維持管理

「創出」は、大都市のように自然がほとんど失われた地域で、大規模な緑の空間をつくるなどして、その地域の生態系を取り戻す行為です。「維持管理」は、再生した自然の状態を監視し、長く保つために必要な手入れを続けることです。

保護との違いは「手を入れること」

単に自然を残す保護と違い、自然再生では人が計画的に手を入れます。ただし、一度工事をして終わりではありません。再生後の経過を見て、うまくいかなければ計画を直しながら進めます。維持管理が活動の一つに数えられているのは、そのためです。

誤解されやすい3つのポイント|植樹・代償・「元通り」

自然再生という言葉から、「木を植えること」や「昔の景色をそっくり復元すること」を思い浮かべる人は少なくありません。ところが、実際の自然再生はそのどちらとも少し違います。ここでは、読者が最初につまずきやすい3点を整理します。

木を植えれば自然再生になるとは限らない

その場所に本来ある生態系を取り戻すことが目標なので、植える種類や場所を間違えると、かえって元の環境から遠ざかることがあります。湿原や草原のように、もともと樹木が少ない場所もあります。自然再生では、まず「この地域で何が、なぜ失われたのか」を調べ、そのうえで手法を選びます。植樹は手段の一つにすぎません。

開発の埋め合わせ(代償地づくり)とは別物

自然再生は、開発で壊れる自然の「代わり」を近くにつくる取り組みではありません。環境省は、過去に損なわれた自然環境を積極的に「取り戻す」ことを目的にしていると説明しています。開発の影響を埋め合わせる代償措置とは、目的も進め方も異なります。ニュースなどで「緑地を造成した」という話を見たときは、自然再生なのか代償措置なのかを区別して読むと、中身が見えやすくなります。

「完全な元通り」は目標にしない

昔の姿をそのまま再現することは、現実にはできません。気候も周辺の土地利用も変わっているためです。自然再生の事業では、長期のモニタリングを続け、問題があれば計画を修正する「順応的管理」という考え方が使われます。目標は過去の写真の複製ではなく、その土地の生きものと水や土の循環が、再び自力で回る状態に近づけることです。

制度のしくみ|自然再生推進法と協議会は今どうなっているのか

自然再生は、法律に基づいて進められています。ここでは、制度の骨組みと最新の動きを確認します。

自然再生推進法と2025年の基本方針の変更

自然再生推進法は2002年12月に議員立法で制定され、2003年1月1日に施行されました。環境省・農林水産省・国土交通省の3省が共同で所管し、国は2003年4月に「自然再生基本方針」を決定しています。この方針はおおむね5年ごとに見直され、2008年、2014年、2019年の変更を経て、2025年2月28日にも変更が閣議決定されました。環境省の発表によると、今回は地域生物多様性増進法などとの連携による相乗効果を発揮する内容が加えられています。

協議会は全国に28、地域の合意が出発点

法律のもとでは、地域の関係者が「自然再生協議会」をつくり、対象区域や目標を定めた全体構想をまとめます。そのうえで、具体的な実施計画を作成します。2026年3月31日に3省が公表した進捗状況では、2025年度末までに28の協議会が設立され、27の全体構想が作成されています。2024年4月公表の2023年度末時点では27協議会・26全体構想でしたから、数としては着実に、しかしゆっくりと増えている段階です。

件数が多くないのは、合意づくりに時間をかける仕組みだからだと考えられます。釧路湿原のように、協議会の発足から20年以上続いている地域もあります。

国が決めるのではなく、地域から始まる

この制度の特徴は、国が上から指示するのではなく、地域からの発意で始まることです。国会審議では、これを「ボトムアップ」という言葉で表していました。市民、農家、漁業者、企業、研究者、行政が同じ場で話し合い、その地域に合った計画をつくります。そのため、同じ「自然再生」でも、場所によって中身がまったく異なります。

3つの地域に見る自然再生|湿原・草原・海でなぜ手法が違うのか

実例を並べると、自然再生の姿が具体的になります。ここでは、失われた原因がそれぞれ違う3地域を取り上げます。

釧路湿原|川の流れを戻し、湿原の水を取り戻す

釧路湿原は約2万ヘクタールの日本最大の湿原で、20世紀後半に農地造成や市街地開発などで2割以上が失われたと環境省は説明しています。乾燥化や土砂の流入も進み、釧路湿原自然再生協議会は2003年11月に発足しました。全体構想は2005年3月に策定されています。

象徴的な事業が、釧路川の茅沼地区(河口から約32キロ)で行われた蛇行の復元です。北海道大学の中村太士教授らの研究グループが、事業後の調査結果を2014年に学術誌「Restoration Ecology」で報告しています。報告によると、復元した蛇行区間では、まっすぐな区間より魚類と水生昆虫の種数が多く、魚の個体数も増えました。洪水時に水が周囲の氾濫原へ広がりやすくなり、地下水位が上がって、約30ヘクタールの湿原植生が増えたとされています。失われたものが「水の流れ」だったため、再生の中心も川の形を戻す工事になりました。

阿蘇の草原|人が手を入れ続けて保たれてきた自然を守る

阿蘇の草原は、もともと自然のままの姿ではありません。環境省の資料によると、放牧や採草、野焼きといった人の営みが続いたことで広い草原が保たれ、多様な動植物が暮らしてきました。ところが農業の担い手が減り、高齢化も進んで、日本一の広さを誇る草原の面積は減り続けていると説明されています。

2005年に設立された阿蘇草原再生協議会には、牧野組合、NPO、地元住民、行政などが参加しています。草刈りで得た野草を堆肥に使う取り組み、放牧する牛の増加、そして野焼きや輪地切り(野焼きの延焼を防ぐ防火帯づくり)への支援ボランティアの参加が進められています。ここで失われかけているのは、人手そのものです。再生の中心は、手入れを担う人の輪を広げることにあります。

徳島・竹ヶ島の海|防波堤の副作用に向き合うサンゴの再生

徳島県海陽町の竹ヶ島海域公園では、2005年9月に協議会が設立されました。目標は、造礁サンゴの一種であるエダミドリイシが健全に生き続けられる環境を取り戻すことです。協議会の資料によると、湾の入り口に防波堤が整備されて湾内は穏やかになった一方、外海の水との交流が減って透明度が下がり、エダミドリイシが激減しました。

取り組みは、サンゴの特性の把握、海域公園周辺の環境改善、陸からの環境負荷の軽減などです。山・川・海のつながりで考えられています。長年の観察と研究で、サンゴの産卵時期の特定にも成功したと報告されています。

3つを並べて見えること

3地域を比べると、失われた原因が「水の流れの改変」「担い手の減少」「構造物の副作用」とそれぞれ違い、再生の手法もまったく違います。共通しているのは、原因を調べ、目標を決め、結果を測りながら修正していく進め方です。自然再生で大切なのは、特定の工法ではなく、この診断と見直しの手順だといえます。

ネイチャーポジティブと30by30の中での位置づけ|なぜ今、再生が求められるのか

自然再生は、国際的な目標の流れの中でも重みを増しています。背景を押さえると、ニュースで見かける用語とのつながりも分かります。

世界目標「劣化した地域の30%を復元」

2022年12月にCOP15で採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」では、2030年までに少なくとも30%の劣化した地域を復元することがターゲット2に掲げられました。日本の「生物多様性国家戦略2023-2030」も、2030年のネイチャーポジティブ(自然再興)の実現を目指しています。つまり自然再生は、「残す」だけでなく「回復させる」ための具体的な手段として位置づけられています。

自然共生サイトと自然再生はどう違うのか

名前が似ていて混同されやすいのが、「自然共生サイト」です。これは、企業の森や里地里山、都市の緑地など、民間の取り組みで生物多様性が守られている区域を環境大臣が認定する制度です。環境省の2025年2月の発表では、第4回の認定で75か所が加わり、累計は328か所、約9万3千ヘクタールになりました。2025年4月には、この制度を位置づける地域生物多様性増進法が施行されています。

両者の違いは、おおまかに次のように整理できます。自然共生サイトは、すでにある良い自然の価値を認めて維持する側面が強い制度です。自然再生は、損なわれた自然を取り戻す事業を、地域の合意のもとで進める制度です。2025年の基本方針の変更で、この二つの連携が明記されたことは、守る取り組みと取り戻す取り組みが一体で語られる時代になったことを示しています。

自分に何ができるか|参加の入口と選び方

ここまで読むと、「自分には遠い話」と感じるかもしれません。ただ、地域の自然再生には、住民が参加できる入口が用意されていることが少なくありません。釧路湿原の協議会も、発足時の構成員は105名で、行政や専門家だけの集まりではありませんでした。

参加先の探し方

最初の一歩は、自分の住む地域や、関心のある場所の協議会や団体を調べることです。環境省の自然再生のページには、各協議会の情報へのリンクがあります。観察会や清掃、調査の手伝いなど、専門知識がなくても参加できる催しを案内している地域もあります。募集の時期や条件は団体ごとに異なるため、公式サイトで最新の案内を確認してください。

参加前に確認したい3つのこと

  • 何を取り戻そうとしている活動なのか(目標と対象の生きもの・環境)- 参加する作業の安全面(服装、装備、保険、集合場所までの移動手段)
  • 作業が年間計画のどこにあたるのか(一度きりのイベントか、継続的な活動か)

阿蘇の野焼きのように、火や急斜面を扱う作業は、事前の説明と安全管理が欠かせません。無理のない範囲で、できることから関わるのが長続きのコツです。

いまの時期にできること

秋は、自然観察を始めるのに向いた季節です。近所の川や公園で、草花や鳥、虫を見て、写真と日付をメモに残すだけでも、地域の自然の変化に気づく手がかりになります。野焼きのように冬から春に行われる活動に関心がある場合は、来春に向けて、今のうちに募集時期や条件を調べておくのも一つの方法です。

また、日常の暮らしの中でも、ごみを減らす、水を汚さないといった行動は、川や海の環境を間接的に支えます。自然再生は特別な人だけのものではなく、地域の自然との付き合い方を見直すきっかけになります。

まとめ

自然再生は、損なわれた自然を取り戻すために、保全・再生・創出・維持管理の四つを組み合わせて進める取り組みです。木を植えることでも、開発の埋め合わせでもなく、地域の関係者が合意しながら原因を調べ、結果を見て計画を直していく点に特徴があります。法に基づく協議会は2025年度末で28あり、2025年2月には基本方針も変更されました。

釧路湿原、阿蘇、竹ヶ島の3例では、失われた原因が違うため、再生の手法も大きく異なっていました。川の形を戻す、手入れをする人の輪を広げる、海の水の流れと環境負荷に向き合うなど、地域の事情から手法が決まります。国際的にも、劣化した地域の30%を復元する目標が掲げられ、自然再生の役割は大きくなっています。

まずは、住んでいる地域や関心のある場所の自然再生の取り組みを、一つだけ調べてみてください。そこから、自分にできる関わり方が見つかるはずです。

  • 自然再生は、保全・再生・創出・維持管理の四つの活動をまとめた考え方
  • 植樹や代償地づくりとは別物で、「完全な元通り」ではなく順応的管理で進める
  • 法に基づく協議会は2025年度末で28あり、地域の合意が出発点になる
  • 釧路湿原・阿蘇・竹ヶ島では、失われた原因に応じて手法が大きく異なる
  • 参加前に、目標・安全面・活動の継続性の3点を確認する

参考文献

  • 記事を書いたライター
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