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再生可能エネルギー、2026年は転換点|世界で加速する導入と日本の課題

再生可能エネルギー、2026年は転換点|世界で加速する導入と日本の課題

再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、水力など、使い続けても枯渇しにくい自然の力から電気をつくる仕組みの総称です。この再生可能エネルギーをめぐり、2026年は「転換点」と呼ばれる年になっています。世界の発電量で、再エネが初めて石炭を上回ったことが2026年に公表されたためです。

ただし、世界の追い風がそのまま日本に吹いているわけではありません。国内では洋上風力の大型案件が撤退に追い込まれ、系統や制度の課題も残っています。この記事では、世界と日本の最新データを並べて、「何が加速し、何が足踏みしているのか」「私たちはどう選べばよいのか」を整理します。

この記事で学べること

  • 世界の発電で再エネが石炭を上回った背景と、IEAが描く2030年までの見通し
  • 日本の再エネ比率の現在地と、2040年度の目標との距離
  • 三菱商事の洋上風力撤退から見える、国内の制度とコストの課題
  • 「再エネ全体が失速した」といった誤解されやすい点の見分け方
  • この秋から冬にかけて家庭でできる、電力プランと省エネの選び方
目次

2026年が「転換点」と言われる理由|再エネが石炭を上回った

2026年が転換点と言われるのは、予測ではなく実績で節目を越えたからです。エネルギー分野のシンクタンクEmberが公表した「Global Electricity Review 2026」によると、2025年の世界の発電量に占める再エネの割合は33.8%に達しました。石炭は33.0%で、再エネが石炭を上回ったのは、同レポートが扱う近代の統計で初めてとされています。

太陽光が電力需要の増加分のほとんどを賄った

2025年の世界の電力需要は849TWh増えました。同レポートによれば、この増加分はすべてクリーンな電源で賄われています。なかでも太陽光は発電量が過去最大の636TWh、率にして30%増え、需要増加分の約75%を担いました。風力と合わせると、増加分のほぼ99%に当たります。

中国とインドで化石燃料の発電が減り始めた

電力需要が伸びているのに、化石燃料の発電が減った国もあります。Emberによると、中国の化石燃料発電は56TWh(0.9%)減り、2015年以来の減少でした。インドでも52TWh(3.3%)減り、今世紀で初めての減少です。世界全体の石炭発電も63TWh(0.6%)減り、世界の発電量に占める割合は3分の1を下回りました。

「再エネを増やしても、需要の伸びに追いつかず化石燃料も増える」というのが、これまでの典型的な見方でした。2025年はその構図が崩れ始めた年として記録されます。

再エネと、より広い意味のグリーンエネルギーの違いを整理したい方は、次の記事もあわせてご覧ください。

IEAが描く2030年|追加容量の約8割は太陽光

実績に加えて、今後の見通しも確認しておきます。IEA(国際エネルギー機関)の「Renewables 2025」は、世界の再エネ発電容量が2030年までに4,600GW増え、現在の約2倍になると予測しています。これは中国、EU、日本の発電設備容量を合計した規模に相当します。

太陽光は増加分の約80%を占める

増加分の約80%は太陽光発電です。IEAは、モジュール価格の低さ、許認可の早さ、社会的な受け入れやすさを理由に挙げています。大規模な発電所だけでなく、屋根に載せる分散型の太陽光も伸びる見通しです。

洋上風力は予測が25%以上引き下げられた

一方で、すべての分野が順調なわけではありません。IEAは、洋上風力の今後5年間の成長予測を25%以上引き下げました。それでも2030年までに約140GWの追加は見込まれており、年間の導入量は2024年の9.2GWから2030年には37GW超へ増える見通しです。ただしその増加分の約半分を中国が占めるとされ、地域による偏りが大きくなります。

コストの上昇やサプライチェーンの逼迫は、世界の洋上風力に共通する逆風です。次に見る日本の事例も、この大きな流れの中に位置づけられます。

「導入量の予測」と「実際に使える電気」は別の話

注意したいのは、導入容量が増えることと、必要なときに電気が使えることは別だという点です。太陽光は昼間に集中して発電するため、電気が余る時間帯が増えます。そこで重要になるのが蓄電池と、電力を送る系統の整備です。

蓄電池とAI電力需要|転換を支える2つの力

太陽光と風力の拡大を支えているのが、蓄電池の急速な普及と、データセンターを中心とした新しい電力需要です。

蓄電池の価格が下がり、昼の電気を夜に回せるようになった

Emberによれば、2025年に蓄電池のコストは45%下がり、前年の2024年にも20%下がりました。導入量は46%増えて約250GWhに達し、新たな太陽光発電の約14%を、日照のピークを過ぎた時間帯にずらして使えるようになったと報告されています。

電力が余ると、価格が極端に安くなる「マイナス価格」や、発電を一時的に止める「出力制御」が起きます。IEAもこうした現象の増加を指摘し、蓄電池や系統への投資を急ぐ必要があると述べています。日本でも九州などで再エネの出力制御が行われており、余った昼間の電気を無駄にしない仕組みが課題です。

AIとデータセンターが再エネの買い手になっている

もう一つの力が、AIの普及によるデータセンターの電力需要です。大手IT企業は、脱炭素の目標と膨大な電力消費を両立させるため、再エネ事業者と長期の電力購入契約(PPA)を結ぶ動きを強めています。企業が再エネを長期で買い続けると、発電所を建てる側にとっては資金を集めやすくなります。

日本企業が再エネ100%を目指すときにぶつかる壁や、実際の調達事例は次の記事で詳しく扱っています。

日本の現在地|再エネ23.1%と、2040年度の目標との距離

世界の動きを確認したところで、日本の数字を見ていきます。

2024年度の再エネ比率は23.1%

資源エネルギー庁が2026年4月にまとめた2024年度のエネルギー需給実績(確報)によると、日本の発電電力量に占める割合は、火力が67.5%、再エネが23.1%、原子力が9.4%でした。再エネの内訳は、太陽光9.9%、水力7.4%、バイオマス4.2%、風力1.2%、地熱0.4%です。2023年度の速報値は22.9%だったため、微増にとどまっています。

世界で再エネが3分の1を超えたのと比べると、日本は火力への依存が依然として高い状態です。太陽光は伸びていますが、風力の割合は小さく、まだ主力と呼べる規模ではありません。

第7次エネルギー基本計画が示す2040年度の姿

2025年2月18日に閣議決定された第7次エネルギー基本計画は、2040年度の電源構成の見通しを、再エネ4〜5割程度、原子力2割程度、火力3〜4割程度としました。再エネは初めて「最大の電源」と位置づけられ、再エネと原子力は「共に最大限活用する」方針です。

2024年度の23.1%から4〜5割へ進むには、太陽光の追加だけでは足りず、風力や蓄電池、系統の整備を同時に進める必要があります。エネルギーの自給という観点から日本の現状を知りたい方は、次の記事が参考になります。

昼の余剰と系統の制約が次の壁になる

太陽光が増えるほど、昼間に電気が余って出力制御が増え、発電しても送れない問題が目立ちます。解決の鍵は、系統用蓄電池の整備と、電力の地域間の融通を増やすことです。屋根や壁などに設置しやすいフィルム型のペロブスカイト太陽電池のような次世代型の技術も、設置場所の制約を和らげる手段として実用化が進められています。

洋上風力の逆風|三菱商事の撤退が示した制度の課題

日本の再エネで、2025年に最も大きな転機となったのが洋上風力です。

撤退に至った経緯

三菱商事は2025年8月27日、秋田県と千葉県の3海域で計画していた洋上風力発電事業から撤退すると発表しました。対象は、秋田県能代市・三種町・男鹿市沖、由利本荘市沖、千葉県銚子市沖で、合計の発電容量は約170万kWです。同社は2021年12月の第1ラウンド公募で、この3海域をすべて落札していました。

撤退の理由について同社は、想定を上回る事業環境の変化を挙げています。インフレや為替、金利の上昇、サプライチェーンの逼迫などにより、建設費が入札時の見込みから2倍以上の水準に膨らんだと報じられています。入札時に他の陣営より安い価格を提示して選ばれた事業が、採算を維持できなくなったという構図です。

再公募に向けた制度の見直し

経済産業省は、この教訓を踏まえて公募の仕組みを見直す案を示しました。報道によると、応札価格に下限を設けて極端な安値入札を防ぎ、価格だけでなく事業計画の実現性を重く評価します。あわせて、撤退した事業者が次の公募に参加できないことも明確にするとされています。3海域の再公募は、2026年度中のできるだけ早い時期の実施を目指す方針と伝えられています。最新の公募状況は、経済産業省と国土交通省の発表で確認してください。

これは日本だけの問題ではない

前の章で触れたとおり、IEAは世界全体の洋上風力の予測を引き下げています。コスト上昇は日本固有の問題ではなく、世界的な事業環境の変化の表れです。ただ、落札後に採算が合わなくなる仕組みそのものを見直したことは、今後の案件の信頼性を高めるうえで意味があります。

誤解されやすい3つのポイント

ここまでの情報から、読み違えやすい点を3つ整理します。

洋上風力の撤退は「再エネ全体の失速」ではない

洋上風力で大型案件が撤退したことは事実ですが、それをもって再エネ全体が失速したとは言えません。世界でも日本でも、太陽光と蓄電池の導入は伸びています。分野ごとに状況が違うため、「再エネ」と一括りにせず、電源の種類ごとに見ることが大切です。

世界の追い風が日本にもそのまま当てはまるわけではない

中国やインドで化石燃料の発電が減ったのは、再エネの導入量が桁違いに大きいからです。日本は国土が狭く、平地が限られ、系統も地域ごとに分かれています。世界の数字を日本に当てはめるときは、前提条件の違いを意識する必要があります。

「再エネ由来」の電気プランは、自宅で発電しているという意味ではない

電力会社の「再エネ100%プラン」は、自宅の屋根で発電するものではありません。再エネ由来の電気を購入したことを、証書などで裏付ける仕組みであることが多いです。仕組みの詳細は、プラン選びの前に確認しておきたい部分です。

今できること|この秋から冬に向けた家庭の選択

10月は、暖房の使用が増える冬を前に、電気契約や省エネを見直しやすい時期です。世界のエネルギー転換は大きな話に見えますが、家庭の選択も無関係ではありません。

電力プランは「再エネ比率の根拠」を見て選ぶ

再エネ由来を打ち出すプランは、電源の内訳や使用する証書の種類が会社によって異なります。比較するときは、再エネ比率が何を根拠に算出されているか、CO2排出係数が公表されているか、料金が現在の契約と比べてどう変わるか、の3点を確認すると判断しやすくなります。

屋根の太陽光と蓄電池は、地域の制度を調べてから考える

住宅用の太陽光や蓄電池には、自治体ごとに補助制度が設けられている場合があります。東京都など、新築住宅への太陽光パネルの設置を求める制度が始まっている地域もあります。内容や受付期間は地域により異なるため、お住まいの自治体の情報を確認してください。導入費用が回収できるかどうかは、日当たりや電気の使い方によって大きく変わります。

省エネは、再エネを増やす取り組みと並行して効く

電気をつくる側の転換と並んで、使う量を減らすことも大切です。断熱性の高い窓への交換や、古い家電の買い替えは、冬の電気代を抑えながら、全体の電力需要を下げる効果があります。

まとめ

2026年に「転換点」と言われるのは、世界の発電で再エネが33.8%に達し、石炭を初めて上回ったという実績があるためです。太陽光と蓄電池が加速して、中国やインドでは電力需要が伸びるなかでも化石燃料の発電が減りました。IEAは、2030年までに世界の再エネ容量がほぼ2倍になり、その約8割を太陽光が占めると見込んでいます。

一方、日本の2024年度の再エネ比率は23.1%で、2040年度の「4〜5割程度」という目標との距離は小さくありません。洋上風力では三菱商事の撤退を受けて、公募制度の見直しが進んでいます。再エネの状況は分野によって明暗が分かれるため、「拡大か停滞か」の二択ではなく、電源ごとに見ることが大切です。

私たちにできることも増えています。まずは今の電力プランの内訳を確認する、という小さな一歩から始めてみてください。

  • 2025年の世界の発電で、再エネが33.8%となり石炭の33.0%を上回った
  • IEAは、2030年までの再エネ増加分の約80%を太陽光が占めると予測している
  • 日本の2024年度の再エネ比率は23.1%で、2040年度は4〜5割程度が目標
  • 洋上風力は世界的にコストが上昇し、日本では公募制度の見直しが進んでいる
  • 電力プランは、再エネ比率の根拠や排出係数を確認して選ぶ

参考文献

  • 記事を書いたライター
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