認知症の予防というと、病院や専門機関の話に思えるかもしれません。けれど、その入り口が身近なコンビニに広がろうとしています。エーザイ株式会社は2026年6月9日、株式会社ローソン、ウェルネスダイニング株式会社と、認知機能の低下および認知症のリスク低減をめざした連携を始めると発表しました。
愛媛・今治のローソンから始まる
取り組みは、2026年6月11日から愛媛県今治市内のローソン店舗で始まります。内容は3つです。1つ目は、MCI(軽度認知障害)や認知症について学ぶ「あたまの健康セミナー」です。2つ目は、脳の機能をチェックできるツール「のうKNOW」の短縮版の販売で、価格は税込550円です。3つ目は、認知機能に配慮した「おもいで彩り宅配食」の販売です。販売の期間は半年間を予定しています。

食と学びの両面から支える
「おもいで彩り宅配食」は、国立長寿医療研究センターの監修のもと、ウェルネスダイニングが栄養バランスと食べやすさの両立をめざして開発しました。エーザイは認知症のリスク低減に関するガイダンスを作成しており、学びの機会と日々の食事という両面から、リスク低減の取り組みを後押しします。専門機関だけでなく、コンビニという日常の場が関わる点に、この連携の新しさがあります。
コンビニは、全国に店舗があり、年齢を問わず多くの人が日常的に立ち寄る場所です。専門の窓口へ足を運ぶのはハードルが高くても、いつもの買い物のついでであれば、健康や予防の情報に触れやすくなります。日常の動線の中に入り口があることが、この取り組みの強みです。
2040年、認知症は584万人と推計される
認知症は、これからの社会にとって身近なテーマです。厚生労働省の研究班が2024年に公表した推計では、2040年の認知症の高齢者数はおよそ584万人で、65歳以上の約15%にあたるとされています。その前段階とされるMCI(軽度認知障害)も、およそ613万人と推計されています。MCIは、早めの対応によって状態が改善する可能性もある段階だと指摘されており、早く気づき、備えることの大切さが注目されています。
「共生する社会」をめざして
2024年には、認知症の人が尊厳を保ちながら希望を持って暮らせる社会を目指す認知症基本法が施行されました。エーザイは、誰一人取り残さない「認知症と共生する社会」の実現を掲げています。同社は、他産業との連携でエコシステムを築く「hhc_eco企業」を掲げ、神経領域を戦略的に重要な領域と位置づけています。コンビニという日常の場に予防や啓発の入り口を設けることは、認知症をより身近なテーマとして考えるきっかけになります。
まずは「知る」ことから
認知症のリスクを完全になくすことはできませんが、生活習慣病の管理や運動、人とのつながりを保つことなどが、リスクと向き合ううえで役立つと考えられています。今回の推計が前回より下方修正された背景にも、喫煙率の低下や生活習慣病の管理の改善といった、社会全体の健康意識の高まりがあるとされています。日々の暮らしの中で少しずつ整えられることがある、というのは、前向きに受け止められる事実です。
認知症は、本人にとっても家族にとっても、早く知るほど備えやすいテーマです。特別な準備がなくても、できることはあります。
まずは、あたまの健康について、家族と一度話してみることから始めてみてください。近くのお店でその入り口に出会えることが、これからは当たり前になっていくかもしれません。

