国際NGO ViVIDは、2021年5月からガーナ共和国首都アクラ市アシィエ地区のシングルマザーのエンパワーメントを目指し、精神面の支援と職業訓練を実施しています。現在は、シングルマザーと共に現地でパン屋とファッションブランドをスモールスタートさせ、ビジネスの安定化・拡大を目指しているそうです。
国際NGO ViVIDが挑戦するクラウドファンディングのプロジェクトをご紹介します。
以下、国際NGO ViVIDさんの掲載文章から引用
はじめに
こんにちは。西アフリカガーナ共和国でコミュニティ開発事業を展開している国際NGO ViVIDです。当プロジェクトにご興味・ご関心をお寄せいただき、誠にありがとうございます。我々は「あらゆる人々を巻き込んだ地域コミュニティ開発でアフリカをより色鮮やかに!」を団体のビジョンに掲げ、当団体代表の蔵田克己が2011年より支援し続けてきたガーナ共和国クマシ市近郊のセイチェレ村と、共同創設者で副代表の方しおんの母親の友人で現ViVID Ghanaのアシィエチームマネージャーのエリケムが在住する同国首都アクラ市アシィエ地区で、地域住民の生活の質の向上を目指して、現地ガーナ人スタッフと共に日々活動しています。
今回のクラウドファンディングは、当組織が2022年5月より同国アシィエ地区において、シングルマザーのエンパワーメントを目的として展開している「ガーナ共和国アシィエ地区シングルマザー支援事業」の事業費用の補填を目的に実施させていただいております。
当シングルマザー支援事業の事業期間は、Phase IからPhase IIIに分けられ、Phase Iでは、カウンセリングやワークショップを通じて、政府による片親世帯への支援が不十分なために社会的・経済的に不利な立場にたたされているシングルマザーの精神面の支援を行いました。また、Phase IIでは、収支表の付け方やマーケティングの重要性など、ビジネスの基礎知識の強化と、パン製造や洋裁の職業訓練による実践的な技術力の向上を行いました。現在はPre-Phase IIIとして、現地で実際にシングルマザーと共にパン屋とファッションブランドを立ち上げ、ビジネスをスモールスタートさせています。
当クラウドファンディングでお預かりした支援金によって、Phase IIIにて、ビジネスの安定化と拡大化を図り、支援しているシングルマザーの収入の安定化を行います。また、支援が必要なアシィエ地区に在住するマイノリティーの精神面の支援と安定的な雇用先の提供による収入増加で、アシィエ地区のマイノリティのエンパワーメントを推進させていきたいと考えております。
ViVIDが支援しているガーナ共和国アシィエ地区について
当事業実施地であるアシィエ地区は、ガーナ共和国の首都であるアクラ市のアデンタという地域に位置しています。アクラの中心地から車で約40分の距離になります。地方とアクラの中心地を繋ぐ国道を除いて、ほとんど全ての道路は舗装されておらず、バイクタクシーに乗る際は必死に運転手にしがみつかなければいけないほどの悪路が広がっています。また、5時間以上の停電が3日に1回は発生し、決してインフラが整っている地域とは言えません。しかしながら、牛、ニワトリ、ヤギ、など家畜の鳴き声や現地の子どもたちの明るい声でいつも町は賑わっており、親切で陽気な住民たちが互いに助け合って生活しています。
【人口】
3,000人程度
【仕事】
アシィエ地区では、主に建設業を中心とした小規模から中規模の産業が盛んです。建設業の他にも住民たちの職業は教師や仕立屋、運転手、美容師など、多岐にわたります。
【教育】
地域の就学率は高く、10校以上の学校が存在し、特に貧困層から中流階級の学生を対象としています。ほとんどの児童は自宅に机、電気、文房具があり放課後に勉強する環境が整っています。
【食】
地元の食べ物としては、広くガーナで一般的なバンクー、ケンケ、フフと呼ばれる料理や米などが親しまれています。米を除くこれらの料理は手を使って食べます。
【医療】
医療面においては、大きな病院はなく、個人経営のクリニックがあります。マラリアの発生は少ないですが、一部で若年妊娠がみられます。
【宗教・氏族】
アシィエ地区にはキリスト教徒のほかにイスラム教徒も存在しますが、前者が後者よりも裕福とされています。主な氏族はGa族ですが氏族間の関係は良好です。
アシィエ地区が抱えているシングルマザー問題
日本と同様に、アフリカ諸国でもシングルマザーの増加が近年大きな社会問題になっています。ガーナ共和国では、一般的にシングルマザーは、政府からの支援を受けられず、また安定的な収入の得られる職業に就いていない為、社会的・経済的に不利な立場に立たされています。アシィエ地区におけるシングルマザー支援事業の実施に先立ち、現地の問題と対策を把握するために、現地コーディネーターで当事業提案者であるエリケムが、2021年5月から8月にかけて、28人のシングルマザーの家庭を訪問し、聞き取り調査を行いました。調査の結果、アシィェ地区のシングルマザーの多くが精神的・経済的な問題を抱えていることが分かりました。
経済的負担の主な背景として、シングルマザーの所帯平均月収が300〜350GHS(日本円でおよそ6,000円〜7,000円)であり、ガーナ人の所帯平均月収の半分以下に留まることが挙げられます。シングルマザーの所帯平均月収の低い理由として、離婚や死別に伴い、パートナーからの収入が途絶えたことに加え、シングルマザーの学歴も影響していることが分かりました。
調査を行ったシングルマザーの8割以上は初等教育か中等教育しか受けておらず、4割以上はガーナの公用語である英語の読み書きに問題を抱えており、十分な収入を得られる職に就くことができていません。シングルマザーの月収以外の収入源として一般的にパートナーからの仕送りや政府からの支援が重要とされますが、アシィエ地区ではパートナーからの支援も少なく、政府からの支援サービスもありません。調査の結果、アシィエ地区の中でシングルマザー自身が収入を増加させる必要があると結論づけました。
一方で、シングルマザーが抱える経済面の問題と精神面の問題が関連していることも分かりました。具体的には、十分な収入を得られる職に就けないシングルマザーは平均で週6日働き、子育てと仕事を両立させる必要があり、子育てに時間をかけられない為、精神的負担を抱えています。また、精神的負担を抱えるシングルマザーの中で、1名を除く全員がカウンセリングを希望しており、シングルマザー同士が相談できる環境を整えることや、臨床心理士など専門家によるカウンセリングが、精神的な問題や子育てや仕事における悩みの解決に繋がると結論づけました。
▼ クラウドファンディングの詳細についてはこちらから
シングルマザーの夢を叶える!〜パン屋とファッションブランド立ち上げプロジェクト〜