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330年続く和歌山の醤油蔵を未来へ|堀河屋野村が文化財の修理にクラウドファンディング

和歌山で330年続く堀河屋野村の醤油蔵のイメージ

古いものを壊して建て替えるのではなく、直して次の世代へ手渡す。和歌山で330年以上続く醤油蔵が、その選択に挑んでいます。堀河屋野村は2026年6月9日、国の登録有形文化財である「店舗兼主屋」を含む建物の修理と耐震補強のため、クラウドファンディングサービス「READYFOR」で資金の募集を始めたと発表しました。第一目標は700万円、最終目標は2700万円で、募集期間は2026年6月9日から8月7日までです。

元禄元年から続く、和歌山の醤油蔵

堀河屋野村があるのは、和歌山県御坊市です。創業は元禄元年、西暦1688年にさかのぼります。もとは紀州の地で、船を使って荷を運ぶ廻船問屋として始まりました。今に伝わる話では、江戸へ向かう航海で船が難破し、遠く北の島まで漂着したことをきっかけに廻船業から退き、もともと贈答の品として手がけていた醤油と味噌づくりを本業に切り替えたとされています。

看板商品は「三ツ星醤油」と「徑山寺(きんざんじ)味噌」です。手で麹をつくる手麹、薪で炊く薪炊き、添加物に頼らない天然醸造という古式の製法を、今もかたくなに守り続けています。醤油づくりが古くから根づいた和歌山の地で、その歴史を今に伝える蔵の一つです。

古式製法で仕込まれる醤油や徑山寺味噌のイメージ

5棟が国の登録有形文化財に

堀河屋野村の建物は、店舗兼主屋や仕込蔵などの計5棟が、2014年に国の登録有形文化財に登録されています。登録有形文化財は、文化財保護法に基づき、保存と活用がとくに必要とされる建造物などを国に登録する制度です。日々使いながら守り伝えていく、暮らしに息づく文化財という位置づけです。長い時間、人の手と暮らしの中で受け継がれてきたことが、この蔵の価値を支えています。

和歌山は、古くから醤油づくりが盛んな土地として知られています。堀河屋野村は、その和歌山で今に残る蔵の中でも、最も古い部類に数えられます。徑山寺味噌をつくる過程から生まれたと伝えられる醤油の歴史を、建物とともに今に伝えている存在です。だからこそ、この蔵を守ることは、一つの店の話にとどまらず、地域の食文化の記憶を未来へ残すことにもつながります。

修理と耐震補強を待つ文化財の建物のイメージ

いつ崩れてもおかしくない、という現実

長い歳月は、建物に確かな傷みをもたらしました。梁の亀裂、柱の腐食、屋根の陥没、白アリの被害、雨漏れが確認されており、堀河屋野村はいつ崩れてもおかしくない状態だと説明しています。近い将来の発生が懸念される南海トラフ巨大地震への備えも欠かせません。今回のクラウドファンディングは、この店舗兼主屋を中心に、修理と耐震補強を施すためのものです。

食文化を伝える「伝え」の場として

十八代の野村圭佑氏は、この建物は単なる販売店舗ではなく、日本の食文化を伝えてきた「伝え」の場であると語り、支援を呼びかけています。集まった資金は、文化財である建物の修理と耐震補強に充てられます。支援者へのリターンには、看板の醤油や味噌、蔵の見学のほか、北海道の六花亭と手を組んだコラボのお菓子、食事の体験コースなどが用意されています。受け継いできた味や場を、支援者とともに分かち合おうという内容です。

受け継ぐという、もう一つの選択肢

ものを大量につくっては捨てる時代に、直しながら長く使い続けるという選択は、サステナビリティの観点からも見直されています。建物も、味も、技も、一度失えば簡単には取り戻せません。330年を超えて受け継がれてきたものを次の世代へつなぐ試みは、遠い世界の話ではなく、私たちが日々何を選び、何を大切にするのかという問いにもつながっています。

受け継がれてきた建物や味を未来へつなぐ取り組みに、関心を持つことから始まる支援もあります。気になった方は、まずプロジェクトのページをのぞいて、その歴史に触れてみてください。詳しくはこちらのクラウドファンディングページ

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