気候変動は、私たちの毎日の食を支える農業に、静かに、しかし確実に影を落としています。猛暑による品質の低下や、これまで通用した栽培の常識が揺らぐ現場の声は、年々増えています。その課題に、生産者だけでなく多様な人たちが手を取り合って向き合う動きが広がっています。株式会社日本農業新聞は2026年6月8日、運営するコンソーシアム「みどりGXラボ」の会員数が2000を超えたと発表しました。2024年7月の設立時はわずか238会員。この1年でおよそ2倍に拡大し、設立から3年で大きな輪へと育っています。
農家だけでは解けない課題に、みんなで挑む
みどりGXラボは、気候変動への適応や農業の環境負荷の低減、脱炭素、生物多様性の保全を通じて「持続可能な食と農」を目指す取り組みです。その特徴は、間口の広さにあります。農家やJAなどの農業関係者だけでなく、自治体や企業、消費者、学生、研究者まで、個人と法人を問わず誰でも入会できます。会員数は2013(6月2日現在)で、内訳は農業者や農業団体を中心とするみどり会員が817、自治体や消費者、研究者などのグリーン会員が1176などとなっています。
農業が抱える課題は、生産現場の努力だけでは解ききれないものが少なくありません。気候変動への適応も、環境負荷の低減も、消費者の理解や企業の技術、行政の支えがあって初めて前に進みます。立場の違う人たちが同じテーブルにつくことで、これまで見えなかった解決の糸口が生まれる。ラボはそうした連携の場として機能しています。

設立から3年、広がり続ける輪
設立時に238だった会員は、2025年5月には1000を超え、そこからさらに倍増しました。参加者の急速な広がりは、持続可能な食と農への関心が、農業関係者の枠をこえて社会全体に広がりつつあることを映しています。パートナー会員には食品や製紙、自動車、農機など幅広い分野の企業が名を連ね、賛助会員には大学や研究機関も加わっています。

学びの場から、実践の場へ
設立から2年は、オンラインセミナーや交流イベントを通じて、学びと仲間づくりを地道に重ねてきました。活動3年目の今年度は、より実践的な段階へと踏み込みます。先進的な産地への視察や、課題解決につながる製品やサービスを持つ企業と生産現場とのマッチングなど、現場の変化に直接結びつく取り組みを深めるとしています。2025年12月には、その活動が評価され「気候変動アクション環境大臣表彰」も受賞しました。

つくる人と食べる人の距離を縮める
ラボの枝元代表は、多くの方に評価いただきうれしい、混迷する時代に負けないよう会員とともに持続可能な農業と農村を築いていきたい、と話しています。食と農の脱炭素は、生産現場だけが背負う課題ではありません。何を選んで食べるかという、私たち消費者の日々の行動とも地続きです。つくる人と食べる人が同じ場で学び合う仕組みは、遠ざかりがちなその距離を、もう一度近づけていく試みといえます。
食卓から始まる持続可能性
私たちは毎日、何かを食べて暮らしています。その食材がどこで、どんな環境で、どんな人の手で育ったのかに少し関心を向けるだけで、農業と環境のつながりが見えてきます。環境に配慮して育てられた農産物を選ぶことは、遠回りに見えて、持続可能な食を支える確かな一票になります。日々の小さな選択の積み重ねが、田畑の風景を未来へつなぐ力になります。
大きなことをいきなり始める必要はありません。気になる方は、まず無料のオンラインセミナーを1回のぞいてみてください。食と農の未来を考える入り口は、思っているよりずっと身近な、画面の向こうに開かれています。

