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ファストファッションがもたらす環境問題とは? その原因と対策を知る

「ファストファッション」とは、ベーシックなデザインだけでなく最新のトレンドも取り入れた衣料品を大量生産し、安価に販売する業態を指します。

1900年代頃から知名度が高まり、今では私たちの生活に定着しています。
「欲しいものを安く買える」ことから、多くの人がファストファッションで作られた洋服を1枚は持っているのではないでしょうか?

しかし近年、このビジネスモデルが自然環境に与える影響が問題視されています。
そこで今回は、「ファストファッションがもたらす環境問題」について解説します。

ファストファッションがもたらす環境問題とは?

ファストファッションがもたらす環境問題とは?

ファストファッションの環境に対する問題は、洋服が作られ、輸送されて私たちの手元に届き、さらに廃棄されるまでの大きく3つの過程で発生しています。

アパレル業界そのものが自然環境に与える影響が大きいと言われる中でも特に、ファストファッションという業態であるがゆえに起きる環境への問題を見ていきましょう。

製造時に発生する環境問題

洋服を作る際のCO2(二酸化炭素)排出量や水の消費量は、自然環境に高い負荷を与えます。

環境省の発表によると、洋服1枚を作る過程で排出されるCO2の量は、500mlのペットボトル約255本分としています。

さらに、水の消費量は約2,300ml。
これは、浴槽約11杯分に相当します。

これだけの高い環境負荷を与える洋服を、ファストファッションでは大量に、かつ短いサイクルで製造しています。

また、布地を作るためのコットンの原料である綿花を育てたり、化学繊維を作ったりする過程でも大量の水を消費し、土壌や河川を汚しています。

輸送時に発生する環境問題

日本で販売される洋服の約98%は、海外で作られ、輸入されています。
日本に運び入れるには、飛行機や船の使用が必要です。

しかし、飛行機や船はCO2の排出量が多く、地球温暖化を加速させる要因のひとつとなります。

一方、電車やトラックなど陸路による輸送であれば、CO2の排出量を抑えることができます。
そのため、国内生産が望ましいと言えますが、コストを限界まで抑えたいファストファッションの場合、国内生産では人件費が高くつき、実現が難しいのです。

廃棄時に発生する環境問題

洋服の廃棄にいたるルートは、2つあります。

1つは、消費者が購入した後に廃棄するルートです。
消費者が洋服を廃棄する場合、68%がリサイクル・リユースされることなくごみとして捨てられています。
その量は、年間約48万tです。

ファストファッションは価格が安く気軽に購入できるため、捨てる際も躊躇せず簡単に捨ててしまいがちです。
また、修理したりリサイクルに出す方が高くついてしまう場合もあり、捨てる方が経済的ということになってしまうのです。

2つめは、売れ残りによって店舗で廃棄されるルートです。
大量生産された結果、需要よりも供給量が上回り、購入されることなく廃棄されてしまうのです。

特にファストファッションでは短いサイクルでトレンドを追い、大量生産しているため、必然的に廃棄量が増えていきます。

いずれも焼却時には多量のCO2を排出します。
また、焼却後の灰でできた埋め立て地は土壌汚染や液状化のリスクがあるため、有効活用する場合も検査コストがかかるといった問題があります。

ファストファッションが環境問題を引き起こす2つの原因

ファストファッションが環境問題を引き起こす2つの原因

ファストファッションによる環境問題の原因は、大きく分けて2つあります。

1つは、安い価格で大量に販売する“薄利多売”のビジネスモデルです。
そしてもう1つは、ファストファッションに限らず、アパレル業界全体として問題視される”トレンド“の問題です。

薄利多売のビジネスモデル

消費者である私たちにとって、購入しようと思ったものが安価であることは嬉しいことですよね?

しかし消費者が安いものを求め続けた結果、洋服メーカーは価格競争を強いられ、安価で販売できるようあらゆるコストを抑え、大量に販売することで利益を維持するビジネスモデルを確立しました。

人件費を抑えるため、海外で製造を始めた結果、CO2の排出量が多い船や飛行機での輸送が必要となりました。

また、原料費を抑えるためコストの高い天然繊維を避け、化学繊維を使っています。
化学繊維は生地の作成や染色、廃棄の際に化学物質を流出し、水質汚染の原因となります。

短いサイクルでトレンドを追う傾向

アパレル業界では、シーズンごとにトレンドが生み出されています。
そのトレンドに合わせたデザインの洋服が販売されますが、トレンドから外れた商品はすべて廃棄されることとなります。

つまり、トレンドがあることによって多くの洋服がごみとして廃棄され、水質汚染や大気汚染を引き起こしているのです。

ファストファッションがもたらす環境問題への企業による対策

ファストファッションがもたらす環境問題への企業による対策

現在、ファッション業界の各企業で、環境へのさまざまな取り組みがおこなわれています。

ここ数年で特に広がりを見せている対策について、紹介します。

不要衣類の回収

近年浸透しているのが、不要になった衣類の回収サービスです。

ユニクロやH&M(エイチ アンド エム)では数年前からおこなわれており、洋服のリユース、繊維のリサイクルを目的としています。

アップサイクルした製品の販売

アップサイクルとは、本来は廃棄されていたものにアイデアやデザインを加えることで、製品の新たな価値を生み出すことです。

現在、アップサイクルした製品を売り出すアパレルブランドが増えています。

この生産・販売方法は、廃棄されるはずの衣類の生地で文庫カバーを作る、廃棄されたビニル傘を回収してバッグを作るなど、新たな原料を必要としないサステナブルな方法と言えます。

レンタルサービス、シェアリングサービスの展開

環境負荷を抑える活動として注目されているのが、洋服のレンタルサービスやシェアリングサービスです。

環境にとって良いというだけでなく、消費者にとっても高級ブランドの洋服を気軽に着られる、管理方法や収納場所を気にせずに済むといったメリットがあり注目されています。

品質の向上

服の廃棄量を減らすため、そして環境負荷を低減させるため、各ブランドは販売する洋服のより良い品質を追求しています。

また、ロングシーズン着られるデザイン・機能の開発やコーディネートの提案もおこなわれています。

ファストファッションがもたらす環境問題を解決するため 私たちにできること

ファストファッションがもたらす環境問題を解決するため 私たちにできること

今、私たちがすべきことは「消費行動の見直し」です。
具体的には、今買おうとしているものが自分にとって本当に必要なのか吟味することではないでしょうか。

「ムダなものを買わず、買ったらムダにしない」という意識を持ちましょう。
購入したものには最後まで責任を持ち、長く愛用する。
サイズが合わなくなったものはリペアをしたり、トレンドや好みに合わなくなったものはフリマアプリや回収に出したりしてリユースを心がけましょう。

消費行動の見直しとしてもうひとつ大切なのが、正しい情報を得ることです。
「買い物は投票である」という言葉をよく聞くようになりましたが、私たちの持つ1票でどんな企業を支持するのか見極めるために、正しい情報が必要となります。

目の前にある洋服は誰がどこでどう作ったのか、原料の調達方法や生産において環境配慮されているかという情報によって購入判断することで、私たちの環境に対する意思を表すことができるのではないでしょうか。

参照元:SUSTAINABLE FASHION│環境省

  • 記事を書いたライター
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Aya

会社員とのパラレルキャリアを経て、独立。 執筆ジャンルは主に、SDGs、旅行、ファッション。現在、複数のメディアで記事を掲載。 SDGsに関心を持ったきっかけは、ハワイへの語学留学中、日本のSDGsに関する取り組みの遅れを感じたこと。 より多くの人に、環境への取り組みを知ってほしいと思い、2021年6月より「MIRASUS」にて執筆を開始。

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